見出し画像

#5: 0歳児を育てる母親が考える子育て政策

第一子を2か月前に出産し、1か月検診を終えてすぐに活動を再開しました!
毎日夜はくたくたで気を失っていますが笑、日々地元で多くの方にお祝いしていただけて嬉しい限りです。

SNS上で出産しましたと投稿した際、多くのコメントをいただきました。政治への期待感が薄れている状況下でも、まだ議員ではない私に向けて多くの方が声を届けてくださったことがとても嬉しく、すべてのご意見に目を通しました。
そのうえで、これまで地元をまわる中で、またSNS上で、皆さまからいただいてきたご意見をただ受け止めるだけでなく、それらが一刻も早く実現されるためにまずは現職の国会議員に皆さまのご要望をお伝えしたいと考え、
私と同様「地盤看板カバン無し」で公募を通じて政治の世界に入られ、内閣府特命担当大臣として少子化対策に取り組まれてきた小倉まさのぶ先生にお時間をいただきました(お伺いしたのは5月末なのですが、noteを書く時間がなかなか取れず…)。
小倉まさのぶ Official Site (ogura-m.jp)
お忙しい中、貴重なお時間をいただきまして感謝しております。
大臣の経験を持つ国会議員と一対一で面会し議論する機会をいただけるのは間違いなく自民党の選挙区支部長であることの強みだなと改めて感じました。

先月、子育て支援策についてXに投稿した際は、まだ議員ではない立場で自分に何ができるのかを含め考えが整理しきれていない状況だったため現行の子育て支援策のまとめに留めた内容を投稿したのですが、私が現行の支援策で十分だと思っているかのような印象を多くの方に与えてしまったようでとても反省しています。
以前もSNSで投稿しておりますとおり、私は現行の子育て政策には改善すべき点が多いと考えています。しかし、今の私に実現出来るか分からないことを「やります」と言うのは無責任、かと言って多くの方からいただいたご意見に向き合わないのも誠意に欠けると私なりに考えての発信内容だったのですが…誤解を招くような発信をしてしまい申し訳ございませんでした。

子育て政策を充実させるには

小倉先生との面会のなかで、地元・SNS上でいただいた子育て政策関連のご要望をお伝えしたうえで、子育て政策に関する現状と課題についてお伺いしました。意見交換の内容や、私が個人で調べた内容を総括すると、日本の子育て政策を充実させるために何よりもまず必要なのは「予算の確保」、これに尽きるなと思いました。

少子化対策を強化していくべき、というのは何十年も前からなされている議論ですが、大きく改善されずに月日が流れてきました。これまで日本において大胆な子育て政策が実現しなかったのは、政治の世界に子育て当事者が少なすぎることが影響していると私は思います。
どの領域でも言えることですが、充実した政策の実現のためには、その政策に強い思い入れを持った政治家が政策の緊急性・重要性を訴え、国が抱える数多くの課題のなかで政策の優先度を押し上げ、十分な予算を確保するために行動する必要があります。しかしながら、今もなお、子育て世代の国会議員はまだまだ少なく、とりわけ子育て中の母親としての声を国政に届けられる女性議員はほとんどいないのが現状です。実際にこれまでの日本の子育てや教育関係の公的予算のGDP比は他国と比較して低い状況でした。
岸田総理は子育て政策にかかる予算を倍増することをすでに決定していますが、財源の確保はまだできていません。まずは予算の拡充を進めなければ、子育て世代として経済的負担の軽減を実感できるような政策を打ち出すことは難しいと思います。そのうえで、子育ての現状を国政に直接届け、これからの日本に必要な政策を最後まで責任をもってかたちにしていくことが、小さな子どもを育てる母親である私に求められている役割なのだろうと思います。

ただ、個人的には財源確保のプロセス自体、見直しが必要だと考えています。現状、それぞれの政策について何を財源にするか、というのが細かく定められており、政策と財源が一対一の関係にあるそうです。「子育て政策の予算は、社会保障の見直しにより生じた財源を充てる」といったかたちです。数か月前まで有権者だった身からすると、そこって重要なの?国の予算全体で歳出と財源のバランスが取れていれば十分なのでは?と思いますし、この一対一の関係性がある限り、マクロの視点が失われ、政策の決定プロセスも煩雑になりそうだと感じざるを得ません。このような形式になっているのは省庁ごとに調整のプロセスが走っているからではないかと思いますが、その縦割りの制度も見直しが必要なのではと感じます。このあたりはまた別途まとめてみようと思います。

私が特に実現したい子育て政策

ここからは、私が特に実現したい子育て政策について書いていこうと思います。これ以外やらない、というわけではなく、妊娠・出産・産後それぞれの時期について特に力を入れたいと思っている政策を書いてみました。

①妊娠:働く妊婦の負担軽減につながる働き方の実現

現在、妊娠判明時に働いている女性は全体の7割ほど、そこから仕事を継続するのはその4割ほどと言われています。妊娠しても働く方がいる以上、その方たちの負担を少しでも軽減できるような働き方の実現が急務だと思います。もちろん、働かずにゆっくりと妊娠期間を過ごせるよう、個人の収入を上げていくことや、産休の適用範囲の拡大なども必要だとは思います。
私自身も出産の1週間ほど前まで政治活動をしていましたが、特に安定期に入る前までは本当に多くのことに気を使いながら生活をしていました。人とすれ違う際におなかをかばったり、電車で少し押されただけでも「今の衝撃大丈夫だったかな」と気にしたり、常に気を張っているような状態でした。ただ、妊婦と妊娠したことがない方々とでは、妊娠に対する感覚がまったく違うのだなと感じざるを得ない場面が多くありました(マタニティマークをつけていても電車で席を譲ってもらえなかったり…)。また、自身が妊婦になってみると、いかに多くの妊婦さんが出勤されているか、ということにも目が行くようになりました。
妊娠すると身体的な変化や精神面での不安などにより、さまざまな場面で仕事に影響が出ます。ただ、男性ばかりの職場の場合は特に、妊娠への理解が薄く、母体健康管理の取り組みに関する制度が整っていない企業もまだまだ多い現状があります。妊婦がつらくても言い出しにくく、事業者側から「本人の都合」と解釈されてしまう恐れもあります。
現在は働く妊婦さん向けに「母健連絡カード」というものがあります。医師から通勤緩和や休憩等の指導を受けた場合にその内容を事業主に伝えるために利用するもので、診断書と同等の効力があり、事業主側は従う義務があります。ただ、このような制度があっても、肉体的・精神的負担が高い仕事をしている女性が早産・流産する割合が高く、働く女性の5人に1人が妊娠時に不利益な取り扱いや嫌がらせを受けたというデータもあります。
これを受けて私が強く感じるのは、やはり根本的に働き方を見直す必要があるということです。普段から身体的・精神的負担を強いられる働き方をしている中で、妊婦にだけ配慮をすることが本当にできるのか疑問ですし、母健連絡カードを使った場合も具体的な措置は「勤務先とよく話し合って決めること」と事業主側に委ねられるようなかたちになっています。個々の事業者の働き方を見直すことは、生産性を上げて従業員の所得を上げることにもつながります。ここはぜひ前職のコンサルとしての知見を活かして主導していきたいです。

②出産:無痛分娩の普及

無痛分娩は麻酔によるリスクもあるため、望まない人に強制する意図はもちろんありません。ただ、多くのお母さんたちとお話する中で、誰もが無痛分娩を選択できる状況を作りたいと強く思いました。歯を抜くときですら当たり前のように麻酔を使うのに、「どこが痛いか分からないほど痛い」「体を八つ裂きにされている感じ」と言われるほど大きな痛みを伴う出産において、麻酔をしたくてもできないのはあまりに酷だと思います…
無痛分娩は「産むときに痛くない」ということ以外にも、母体にかかる痛み・ストレスが少ないことで産後の回復がはやいこと、緊急手術に移行しやすいことなど多くのメリットがあります。実際に無痛分娩を経験した人の7割が無痛分娩に満足しているとのデータもあります。しかし、日本においては専門の医師の不足や、対応施設の少なさ、高額な分娩費用、「お腹を痛めて産む」ことを良しとする価値観などによりまだまだメジャーではないのが実情です。
現状、正常分娩は病気ではないとして保険適用外になっていますが、今年に入ってようやく出産費用の保険適用を検討する方針が打ち出され、医療機関ごとの出産費用を公表することも発表されました。出産に伴う経済的負担の軽減に向けた動きは加速していると思います。無痛分娩はまだ保険適用の対象になっていませんが、出産後に職場復帰するお母さんや、子育てをしながら出産する経産婦さんの負担軽減につながる無痛分娩をより多くの方が選択できるよう、尽力してまいります。

③産後:産後ケアの拡充

第一子を妊娠・出産した身からすると、あらゆる情報が錯綜しすぎて何が正解か分からない中、手探りで日々赤ちゃんに向き合わなければいけないのがきついなと感じています。基本的に産後1週間ほどで退院し、あとは頑張れ!という感じなので、かなり不安な状態で退院したのを覚えています。
現状、病院での検診は妊娠中は4週(初期)・2週(中期)・1週(後期)ごとですが、産後は1か月検診まで間が空きます。もっと頻繁に相談したいなあというのが母親としての私の感覚でしたし、おそらく今後子育てをしていくうえで、すぐに専門家に相談したいと思う場面が多いのではないかと思います。ただ産院側が産後の親子の状況を何年間にもわたって継続的に見ていくのはかなり負担が重くあまり現実的ではないとも感じます。
子どもの状況は本当に子どもによって大きく異なります。子どもの成長のスピードや体質など、同じ子はひとりとしていません。その子の産まれた時の状況や成長の過程を継続的に見てアドバイスをもらえるような環境を整えることは、親の心的ストレスの緩和につながります。子どもの継続的かつ包括的なサポートを提供し、必要に応じて医療機関につなぐことで、親と医療機関双方の負担軽減につながるのではないでしょうか。

ちなみに医療機関が独自でやっているところもあるようです。私のイメージに合致するため載せておきます。
子どもの発達・育児支援「すくすく外来」|東京医科歯科大学小児科 (tmd.ac.jp)

子育て政策で成功した国ってあるの?

「日本の子育て政策が悪かったから少子化が進んだ」とするならば、逆に「政策の結果として出生率が上がった」国ってあるのだろうかと思い、他国の事例を調べてみました。
ちなみに私は前職で海外調査をもとに政策立案を行なっていました。海外の成功事例をそのまま日本に当てはめれば上手くいくとは思いませんが、新たな視点を手に入れられることもあるので、これからも海外の先進的な事例についてはしっかりと情報収集していきたいと思っています。

OECDやUNICEFのレポート等を見てみたのですが、北欧諸国(特にスウェーデン)やフランスは手厚い政策を通じて出生率を回復させてきたようです。
政策の特徴をいくつかピックアップしてみました↓
・多子加算
第3子以降への支援が手厚い。日本の新しい制度にも反映されています。
・両立支援
出産・子育てと就労において幅広い選択ができるような環境の整備。具体的には育児休業制度(日本はすでに世界的に高評価)、柔軟な保育サービスなど。
・切れ目のない子育て支援制度
これは私の実現したい政策(前述)と合致します。経済的な負担軽減だけでなく、子育て中の方々の心身の負担軽減にも努めていることが特徴です。

一方で、出生率は高いが政策的には不介入、という国々(イギリス・アメリカ等)もあり、興味深いなあと。日本と異なり、子育てによるキャリアの空白期間があっても再雇用やキャリアの継続がしやすいという雇用制度の違いが要因として大きそうです。つまり、キャリアの在り方を見直すことも日本の少子化対策に寄与するのではないか、と読み取ることもでき、やはりひとつの政策を縦割りで考えずにマクロの視点をもって対応していくことの必要性をここでも感じました。

【参考】いくつかレポートの抜粋載せておきます
Where Do Rich Countries Stand on Childcare? | Innocenti Global Office of Research and Foresight (unicef.org)
24. Ensuring the availability, quality and affordability of childcare | Joining Forces for Gender Equality : What is Holding us Back? | OECD iLibrary (oecd-ilibrary.org)

最後に

以前のnoteからの繰り返しになりますが…
政策を批判するのは簡単ですが、なぜその政策が今のかたちになったのか、政策を変えていくうえで障壁となっているのは何なのかを理解し、関係者と調整して望ましいかたちに変えていくことは容易ではありません。この時間も労力もかかる「調整」のプロセスを根気強く進める覚悟で、強い信念をもって政治の世界に挑戦する人が出てこなければ、どの領域においてもより良い政策の実現はかなわないと思います。
また、世の中の諸問題について「何かをすればすぐに解決する」といった特効薬的な解決策は存在しません(あればすでに解決しています)。子育て政策も、何かをすればすぐに少子化が止まる、というものはなく、多岐にわたる領域でひとつずつ施策を講じていくという地道な作業を積み重ねていくしかありません。子育て政策を充実させようとすると、子育て世代以外の方々にもご理解いただかなければいけないことが出てきますし、その調整の過程で反発もあるでしょう。ただ、解決が難しい問題こそ、私のようなしがらみのない若手が根気強く向き合い、声を上げていかなければならないと思っています。実現可能性がないことを無責任にできると言ったり、物事を単純化して発信したりすることは簡単ですが、私はそのようなことはせず、着実に成果を積み重ねていけるような政治家になりたいと思います。

これからもただ考えを発信するだけでなく、行動をもって私の信念をお示ししていくことで地元・日本に貢献してまいります。引き続き、皆さまからのご意見をいただきながらより良い子育て政策の実現に向けて尽力したいと思いますので、応援していただけますと嬉しいです。
最後までお読みいただきましてありがとうございました!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?