SSF(Sacred Science Fiction)
「ウィキ~!アチチチチ!こらっアグニ何するんだ!」
サルのインドラが雷をアグニに落とした。
「ヒヒィ~~ン!僕が何したっていうのさあ」
ウマのアグニがインドラの雷を受け止めて痙攣している。
「シャアアア、ハッハッハッハッハ」
ヘビのヴァーユが高笑いしている。
「俺の愛機に傷をつけるからだよ。バカザル~」
インドラの愛機・帝釈天(たいしゃくてん)がヴァーユの愛機・風天(ふうてん)を踏みつけていた。
「うわっ!ごめん!あまりにも小さくって気が付かなかったよ」
風天はヘビのような機体で普段は地べたに転がっている。
動く時はニョロニョロと動くが大抵は踏みつけられることが多く、そして誰もその事実に気が付かないことが多い。
「シャアアア!お前はいつもそうだ!だから、火を付けてやったのさ!」
燃え上がるようにヴァーユの体は炎に包まれ、次の一手をインドラに食らわせようと力を溜めた。
「ヴァーユよ。ここで火事を起こすでない」
イノシシのスーリヤが愛機・日天(にちてん)の中から音声でヴァーユに注意する。
「シャアアアア!うるせ~!!ブタやろ~。出てこい!」
ヴァーユの炎の攻撃がスーリヤの愛機・日天へと飛ぶが、一瞬で消化された。
「やり過ぎよ。ヴァーユ」
ネズミのプリティヴィーがヴァーユの炎を砂でかき消した。
「シャアアアア!なにすんだよ。プリティ。ここは女のネズミが出てくるとこじゃねえんだよ。お前は夢の国にでも行ってろ!」
辺りの光が突然、闇に吸収されるかのようにジリジリと暗くなり始めた。
「な・ん・で・す・っ・て~~~」
ヴァーユが触れてはならないプリティヴィーの琴線に触れてしまったようだ。
プリティヴィーの愛機・地天(ちてん)が阿弥陀如来(あみだにょらい)に変形し、ヴァーユの愛機・風天(ふうてん)を勢い良く引っ張りあげ、今にも引きちぎろうとしていたが、風天を踏んづけていたままのインドラの帝釈天が勢いよくすっ転んでしまった。
インドラの愛機・帝釈天は、ころんだ拍子にアグニの愛機・火天(ひてん)にぶつかり、アグニの愛機・火天がスーリヤの愛機・日天にぶつかり、スーリヤの愛機・日天がプリティヴィーの愛機・地天(変形モード:阿弥陀如来)にぶつかったことで、日天と地天の合体モードが起動し、ヴァーユの愛機・風天は事無きを得てドサッと地面に落ちてきた。
「モー。何してるのさあ~。さあ、みんな。休憩だよ」
ウシのチャンドラが愛機・月天(げってん)からノソノソと降りてきた。
「チャンドラ。いつものお願いね♪」
ネズミのプリティヴィーはウシのチャンドラの出すお酒がこよなくスキだった。
先ほどの怒りはウソのように消し飛び、チャンドラに駆け寄る。
「シャアアアア。しかたねえ~。休憩だ」
ヴァーユもまた、チャンドラのお酒を目当てにニョロニョロと近づいた。
「ウッキ~~~!ちょっと待てえ~~」
インドラが雷をチラチラとチラつかせている。
そこへ伊舎那天(いしゃなてん)と羅刹天(らせつてん)の機体がドスンと次々に入ってきた。
伊舎那天を愛機とするイヌと羅刹天を愛機とするトリだ。
二機はすっ転んでいる帝釈天と火天を助け起こし、やれやれという顔で機体から顔を出した。
「インドラさん。もうそのくらいにするワン」
イヌのヴィシュヌは、インドラの前に前方宙返りで降り立った。
「アグニさん。大丈夫?一緒に休憩しましょう」
トリのニルリティは、巻き込まれたウマのアグニを気にかけ近寄る。
こんな光景は、毎日のようにこのデッキ内で起きていた。
ここは世界の時を守る時空警備「干支」デッキ。
毘沙門天(びしゃもんてん)、梵天(ぼんてん)、焔魔天(えんまてん)の機体は既にデッキインしており、毘沙門天を愛機とするトラのヴァイシュラヴァナと梵天を愛機とするウサギのブラフマーと焔摩天を愛機とするヒツジのヤマは、それぞれ既に休憩場に到着しており、チャンドラが来るのをまだかまだかと待っているところだった。
最後にデッキに入ってきたのは水天(すいてん)。
水天を愛機とするタツノオトシゴのヴァルナ。
「あれ?インドラさん。なんでここにいるの?出番だよ?」
「い、いまから行くとこだよ。遅刻してねえから・・・」
(遅刻だよね)サル以外の全ての干支はみんな声を押し殺していた。
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