序章 境内からプラットフォームへ 「友人」 夏の終わり、水色の園服を着た私は母と一緒に神社の境内にいた。 爪の形をした敷地の先っぽにお社があり、輪郭には背の高い樹木がぐるりと植わっていた。 小さかった私にとって、道や空き地の地面は距離の近しい友人だった。 遊びに出かけた先々で、「友人」はいつも違うページを開いて待っていてくれた。 私はしゃがみ込んで、「友人」の自慢の品を手のひらに乗せた。 潰してのばせば色水になるやわらかい桜の実 アスファルトに線を引くと
やってみます。