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【楽曲レビュー】「夕凪詠草」で知るクレナズムの魅力

こんにちは!otozureのりおんです。
今回は、クレナズムの魅力をどうしても伝えたい!と思ったので、クレナズムと、僕をこの衝動に駆り立てたクレナズムの最新曲「夕凪詠草」を紹介していきます。

皆さんはクレナズムというバンドの曲を聞いたことはありますか?クレナズムの音楽はほかのJ-POPとは一味違います。
クレナズムは、シューゲイザーの影響を受けたJ-POPサウンドと、透き通る歌声と繊細な歌詞で、私たちの心に響く音楽を奏でてくれる福岡発の4人組ロックバンドです。シューゲイザーは、何重にも重なったフィードバックノイズや深いエフェクトのフレーズが特徴的な音楽ジャンルです。クレナズムは、このシューゲイザーのサウンドを、ポップなメロディーに加えることで、唯一無二の世界観を作り出しています。
この記事では、クレナズムのサウンドの変化や進化、その魅力を書いていこうと思ったのですが、、、とにかく夕凪詠草を聞いてほしい!
なので夕凪詠草を中心に紹介しようと思います。
クレナズムの曲をまだ聞いたことがないという方にはぜひ今聞いてほしい曲です。



クレナズムってどんなバンド?

基本情報

クレナズムのアーティスト写真
出展:https://www.culenasm.com/

クレナズムは、2018年に福岡で結成された4人組のロックバンドです 。メンバーは、萌映(もえ)(ボーカル・ギター)、けんじろう(ギター)、まこと(ベース)、しゅうた(ドラムス・キーボード)の4人です 。

クレナズムのサウンドは、シューゲイザーとJ-POPの融合が特徴。
ボーカルの萌映さんの歌声は、伸びやかで透明感があり、儚さを内包した歌声です。クレナズムのサウンドによく馴染み、聴くたびに心を揺さぶられます!

これまでに、4枚のミニアルバムと2枚のフルアルバムをリリースしており、最新作は、2023年10月にリリースされた『Wisper of the heart』です 。また、フジテレビの音楽番組『Love music』や『めざまし8』のエンディングテーマ、映画『ふたりの傷跡』の主題歌など、様々なタイアップも行っています。

バンド名の由来

クレナズムというバンド名、実は「暮れなずむ」という日本語が由来です。

萌映さんは日本語の響きが大好きで、
色々と調べる中で、「暮れなずむ」がいちばんバンド名としての響きが良い!
という結論に至ったそうです!!

『クレナズム』Vo.萌映さんにインタビュー! - 大窪シゲキの9ジラジ (hfm.jp)

ちなみに「暮れなずむ」は、「日が暮れそうでなかなか暮れないでいる。」という意味です。暮れなずむは春の言葉なのですが、春に限らず、夕暮れ時の雰囲気にどっぷり浸かりながら聴きたくなる曲がクレナズムの曲には少なくないです。


くれなずむが描く秋の風景と切ない恋心

夕凪詠草は失恋した心にそっと寄り添ってくれる

 「夕凪詠草」は、秋の透明感があり、静かな夕方の雰囲気にとにかく合う!個人的には秋に合う曲って、秋特有の懐かしさや哀愁、もの寂しさを感じさせるような雰囲気でありながら、秋の澄み渡った空気のような少しの透明感がある曲だと思うんです。
それが「夕凪詠草」。
秋のノスタルジックな気持ちや、過去の辛い別れに温かく寄り添い、包み込んでくれるような曲です。

 とにかく「夕凪詠草」を聴いてほしいです。話はそれから。

 まず触れないといけないのは曲の冒頭のギターのリバースです。めっちゃ良くないですか?  一気に曲の世界観に引き込まれるみたいで僕はすごく好きです。曲中で何度か登場していて、曲の緊張感やドラマチックさを高めています。リバースサウンドは、過去に戻りたいという気持ちや、時間の流れに逆らうという意味があったりするのでは?
 この「夕凪詠草」はじっくり曲の「音」も聴いてほしんですよね。「夕凪詠草」のピアノは、どこな物憂げながらも、その美しい旋律が曲に澄み渡るような雰囲気を与えていますし、ピアノとアコースティックギターの音の交わりもとても心地よいです。そこにシンプルですが、沈み込むようなベースが加わり、幻想的で少し浮遊感がある感じを作り出し、曲に深みと広がりを与えています。音作りにはメンバーのこだわりがあるので、じっくりと曲の音を聴くことも、クレナズムの曲の楽しみ方です。


ねぇ
重い荷物を抱えてここまでやってきたんだね
ゆっくりそこに座って次のバスがまた来るまで

作詞作曲:けんじろう
夕凪詠草 - クレナズム

 そしてその直後の柔らかくてクリアな萌映さんの歌声が、とざした心にもすっと入ってくるよう。この曲の主人公は、「重い荷物」=過去の恋愛を引きずっている気持ちをずっと持ち続けていたわけです。その主人公に対して、「ゆっくりそこに座って」と語りかけて、一度立ち止まっていいんだよと言っているように聞こえます。冒頭のフレーズだけでも傷ついた心が癒される、そんな気がします。
 歌詞の作り込みは一つのクレナズムの魅力だと思っていて、本当に丁寧な言葉選びで、情景や心情を描きます。特に「夕凪詠草」は、秋の風景と失恋の切なさを重ね合わせて、印象的に表現しています。比喩だったり情景描写だったりそいうのが違和感なく曲に馴染んでいます。変に難解とかしっくりこない感じとかが全くないんですよね。皆さんも曲を聴きながら歌詞の意味や、曲が思い起こさせる情景を想像してみてください。

 そして、Cメロのテンポよく畳み掛けるように歌い上げる部分では、現実を受け止め、過去を振り切ろうとする曲の登場人物が鮮明に描かれていますよね。かつての恋人を忘れられない想いは断ち切ればいいし、かつての恋人のような特別な存在となる新しい恋人が現れることを願いたい。そうやって忘れていくんだと現実を受け入れています。
ここでも注目してほしいのは萌映さんの歌声です。どこか儚さの中にも力強さも感じないですか?Cメロの直後でまだ主人公はかつての恋人を結局思い出してしまうことが窺えるのですが、この萌映さんの歌声は、曲の主人公の忘れたくないけど忘れるしかないと吹っ切ろうとする勢いや、そこにある強がりをうまく表現しています。
 落ちサビとラスサビの切なさもたまらないです。
結局曲の主人公はかつての恋人のことを思い出してしまうんですよね。秋になって、肌寒くなってくると、どうしても昔のことに思いを馳せたり、ふとした時にもの寂しさを感じたりするものです。けど、これは単に忘れられなくて引きずっているのかと言われるとそうでないような気がします。鍵は最後のこの歌詞です。

想い一つを抱えてここまでやってきたんだね
ゆっくりそこに座って次のバスがまた来るまで

作詞作曲:けんじろう
夕凪詠草 - クレナズム

曲の冒頭では「重い荷物」を抱えていたのが、「想い一つ」になっているんです。重い荷物だと、ネガティブな印象を受けます。しかし、想い一つだと、かつての恋人を思う気持ちに変わりはないんですけど、自分にとって大事なもの、そんな印象を受けました。かつての恋人への想いが大切なものだったからこそ忘れたくないんじゃないでしょうか。それを主人公は無理に忘れようとはしないけれども、同時に今と向き合って次に進んでいこうとしているように感じました。そうであってほしいですね。

 まだ「夕凪詠草」聴いてない?とにかく聴いてください。

クレナズムの魅力はこれだけじゃない

 ここでは他の曲も取り上げながら。簡単にクレナズムの魅力を伝えられたらなと思います。

「白い記憶」

 シューゲイザーのサウンドが色濃く反映された一曲です。
この曲はイントロが1分以上続き、クレナズムの世界観にじっくりと引き込まれます。初めは昔の記憶を思い出す時のように幻想的ですが、いきなり歪んだギターの音が飛び込んだと思うと、轟音が鳴り響き続けます。苦しい昔の思い出のようです。
 サビでは、切実な歌詞を萌映さんが力強く歌います。ここでもギターの勢いは止まず、音、歌詞、歌声全てに気持ちが乗っかっています。

積乱雲の下で

 これは僕が初めてきいたクレナズムの曲です。
疾走感があって、夏の思い出が駆け巡っていくよう。やはり歌詞からは情景が鮮明に浮かびあがってきますし、一つの物語を見ているような錯覚に陥ります。夏の終わりに聴くとこのまま夏が終わってほしくないと感じさせられる一曲です。

「365」

 この曲はピアノアレンジが入った曲です。メロディアスなピアノの旋律と、静かな曲の雰囲気、透明感のある萌映さんの歌声が、曲に冷たい冷え切った空気感を漂わせています。しかしサビではシューゲイザーのサウンドを感じることができますし、高音を見事に歌い上げています。
 シューゲイザーとJ-POPの融合という言葉がぴったりな曲ではないかと思います。

最後に

今日は、クレナズムの「夕凪詠草」を聴いて感じたことや、クレナズムの音楽の魅力について語ってきました。

クレナズムは、シューゲイザー由来のサウンドとポップなメロディーの絶妙なバランスと、透明感のある歌声と巧みな歌詞で、私たちの感情を揺さぶる音楽を届けてくれるバンドです。

皆さんもぜひ、クレナズムの音楽に触れてみてください。
「夕凪詠草」はもちろん、他の曲も素晴らしいです!
秋の風に吹かれながら、「夕凪詠草」を聞くと、きっとあなたの心聞くと、きっとあなたの心にも染み入るはずです。

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