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おとうさん北海道縦断物語 第2話:出発から倶知安(くっちゃん)まで

前回の【きっかけ・計画編】に続き、今回は旅の準備から初日の目的地倶知安までの話だ。果たして、おとうさんは無事に宗谷岬へたどり着けるのか?若かりし頃の冒険、第2話を紹介する。

前日の買い出し(2008/8/8)

この日は朝7時に起きた。昨日まで抱いていた「本当に行けるのか」という不安は、青空を見ると吹き飛んだ。自転車の装備や食料を揃えるため、9時少し前に家を出発した。

まずは馴染みの自転車屋【サイクルショップ遠藤】へ向かい、予備のタイヤチューブとハンドルのゴムを購入した。チューブは旅の途中でパンクした際、その場で直さずに交換して走り続け、夜に修理する作戦だ。ハンドルのゴムは劣化してベタついていたので、クッション性のあるものに交換した。長距離を走る際、振動による疲労を軽減するためだ。

店主は自転車レースにも出場する自転車好きで、長距離を走る際のアドバイスもくれた。「走ることより、休むことに気を配りなさい」と笑顔で送り出してくれた。

次は、酒類のディスカウントショップ【ますくら】へ。ここには珍しく2kgの無洗米が売っていた(当時は田舎では珍しかった)。ただ、一件目の店舗には在庫がなく、代わりに主食となる缶詰とレトルトカレーを安く大量に購入した。お金に余裕がないので、現地で少しずつ買うよりも安さを優先したのだ。重さは気合でカバー!

続いて、次の【ますくら】へ向かい、ようやく無洗米「きらら397」の2kgを購入した。無洗米にした理由は、米を研ぐ手間を省くためと、水を節約するためだ。自転車の旅ではキャンプ場からキャンプ場へ移動できるとは限らず、野宿になる可能性もある。そんな時、貴重な水を研ぎ水に使うのは避けたかった。無洗米なら水に浸けておけば、テントを張り終わる頃には炊ける状態になる。

次に100円ショップへ行き、調味料を購入した。しょう油、にんにく、そしてマヨネーズだ。にんにくとマヨネーズは缶詰やレトルトカレーに加えて少しでも栄養を摂るためだ。選定基準は高カロリーで常温保存できるものだった。

最後にスーパーで梅干しとバナナを買った。梅干しは100円ショップのものでは美味しくないため、少しいいものを選んだ。バナナはすぐに栄養が摂れるので、休憩時に食べる予定だ。

本屋で【ツーリングまっぷる】を購入。高低差は分かりにくいが、キャンプ場や見どころの情報が充実している。眺めるだけで旅に出たくなる一冊だ。全ての準備が整い、眺めの良い港で一息ついて帰宅。だが、ガスボンベを買い忘れた。この小さなミスが後に大きな問題となる。

1日目(2008/8/9 晴れ)

1日目(2008/8/9晴れ)

いよいよ出発の日。盛大な見送りはなく、かみさんは息子を連れて出かけてしまった。アパートの5階から自転車と荷物を下ろし、旅をスタートしたが、どうにも荷物が不安定だ。重い荷物を積んでの走行は初めてで、5kmほど進んだところで限界を感じ、かみさんに電話して荷物の一部を持ち帰ってもらうことにした。文句を言われつつも、見送られて再出発。

天気は良く、旅の興奮で順調に進んでいたが、隣町に着いたところで早くもパンク。荷崩れのせいで予定より遅れていたが、ここでさらに遅れが生じた。荷物の上げ下ろしが想像以上に大変で、気持ちが折れそうになったが、なんとか修理を終えて再び走り出す。

【洞爺湖】に到着し、夕日の見える公園で休憩していると、ライダーと一人旅のおじさんと出会った。おじさんは昨年奥さんを亡くし、生前一緒に訪れた北海道を愛犬と再び巡っているそうだ。「いい思い出ばかりだから」と笑顔で話してくれた。自分も宗谷岬まで行くんだ、と心を新たにしたが、時計を見るともう3時半。倶知安までは到底たどり着けそうにない。

洞爺湖にはキャンプ場が多く、この日はそこで泊まることにした。初日から計画が崩れたが、それもまた旅の一部だ。気楽に行こう、と自分に言い聞かせた。

走行記録
走行距離:64km
走行時間:4時間7分
平均速度:15.4km/h

次回は【洞爺湖→余市】編だ。楽しみにしてほしい。

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