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東野圭吾さん【白夜行】再読感想

繰り返し何度も読んでしまう小説がいくつかあります。
そのいくつかの小説の中には、何故か気持ちの良くなる物語だったり、
自分の人生の一時と重ね合わせて涙したり、笑ってしまう物語が多いように感じます。その中に唯一と言っていいサスペンス物の小説があり、それが、東野圭吾さんの【白夜行】です。初めて読んだのがいつ頃だったかは思い出せませんが、恐らく10回以上読んでいる小説です。最初に買った文庫は既に手元にないため、現在手元にあるのは2回目に読む際に買った物ですが、かなり年期が入ってきています。

小説を読む目的は人によって様々だと思います。
私が小説を読む目的は、『娯楽』です。笑いたいし、泣きたいし、ゾクゾクしたい。
読んだ後に暫く悩ませてくれる物語が大好きです。自分なりに悩んで考察し、再度読んでみる。やっぱり解からない。もう一回読んでみる。やっぱり解からない。結局解らない。でも好き。
人それぞれの楽しみかたがありますよね。

【白夜行】は決して後味の良い物語ではない。どちらかというと後味は最悪に近い。何度読んでも良い解釈はできない。
しかし、圧倒的に面白いストーリー。ディテールも素晴らしい。そして絶望的な結末。
物語の中で決して交わらない二人が起こしてるであろう様々な事件が、解決される事なく気持ち悪く進んで行く物語。この二人には一体何があったのか。結局真相は分からない。

私は今まで【白夜行】を≪捻じれた純愛が生んだ悲劇≫と思い読んでいました。愛した女性を間違った形で陰から支える捻じれた純愛。その愛がたくさんの悲劇を生んでしまう物語。

約5年ぶりに読んで感じたのは≪贖罪≫なのかなと。
一生をかけて自分が起こしたわけではない罪を償って行く物語なのかな。
読んでいて非常に悲しく感じました。
結局は二人が一番の被害者だったのかな。

「昼間に歩きたい」
「俺の人生は、白夜の中を歩いているようなものやからな」

何年後かにまた読んだ時には何を感じるのか楽しみです。



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