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【連載17】 自分のできないことを認めたら、逆にものづくりの可能性が広がった


なぜ5年間、続けてこられたのか?


-OTO OTOが大切にしてきたことvol.17-


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誰しも、得意なこと、不得意なことがある

そして、それ以前に

できること、できないこともある


作家活動を始めた頃は、とにかく何でも自分でやりたかった。でも苦手だから、ものすごく時間がかかってしまったり。そして、どう頑張ってもできないこともあって、凹んだりもした。

周りを見ると、自分の苦手なことや、できないことを、ささっとやり遂げてしまう人がいる。すごいなあ、憧れるなあ...と思いながら、最後には、自分は何ででけへんのやろ?と考え込んでしまう。

できないことをやろうとしても、できないから、そこで止まってしまう。

多分、作家3年目までは、そんな風に止まって、諦めてきたことがたくさんあったように思います。でも、4年目、わたしは少し考え方を変えました。

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「できないことをちゃんと認めて、誰かに頼ってみよう」と。

そうしたら、今まで止まっていたことが、急に前に進み出して、私の作家活動の可能性は広がりました。新しいことがたくさんできるようになりました。

今回のnoteは、「できないことをちゃんと認めて、誰かに頼ってみよう」と思ったきっかけや、誰かに頼って良かったことを、振り返ってみます。

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1、ハンドメイドアワード受賞の後すごく凹んだ

2017年末、わたしはハンドメイドアワードで賞をとらせていただくことができました。今までに作ったことのない作品で、新たなチャレンジをしたいと考え、初めて編み物をして「輪っか飾りのスヌード」を制作しました。

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初心者向けの編み方本を買ってきて、編み方合っているのか?と、分からないなりに1週間編み続け、長い長いスヌードを完成させてたのでした。

そして有難いことに、作品としてのアイデアを認めていただき、受賞することができました。授賞式は、本当にキラキラの舞台、まさに『spot light』を浴びるような1日でした。

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でも、年が明けて2018年が進んでいき、多分、夏か秋の始め頃。わたしは、すごく凹んでいました。それは、なんというか、分かりやすい言葉で書くと、受賞作家としてのプレッシャーから来ていたものかもしれません。

まず、受賞をしたことをきっかけに、それまで関わることの少なかったジャンルの作家さまと、たくさん出会う機会が増えたのです。見たこともない作品、想像もつかない技術を目の当たりにするようになりました。



え・・・・・・みんな・・・・・

凄くない???・・・・(凹)


きっと今まで、半径5mの世界しか見えていなかったんだと思います。受賞したことで、見える景色は急激に変わり、賞をとったことが嬉しいのと同時に、凹む時間も増えていきました。

私なんて、たいしたことないやん。そう認めるしかなかなったです。2018年の夏か秋の終わり頃、そんな気持ちで穴っぼこに落ちていました。

そうまさに、『slump time

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その頃は、周りばかりを見て、自分にできることが分からなくなっていました。

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そして、スランプタイムの原因はそれだけではなく。わたしは、コンテストというものが、受賞して終わりでなくて、その結果を次に生かしてこそ、だと思っていたのです。もちろん、受賞によってたくさんの方がOTO OTOのことを知ってくださって、アクセサリー作品を新しいお客様に見ていただくことに、大いに繋がっていました。

しかし、肝心の受賞作品「スヌード」は?というと...。賞をとった地点で、止まっていたんです。お客様から、販売して欲しいというご要望もいただいていました。

しかし、先にも書いた通り、わたしは編み物をするのが初めてでした。そんな初心者のわたしが編んだものを販売するなんて....しかも、よくあるニット製品ではなく、形も少し変わっているし...。作品としては出来上がっていたけれど、商品としては完成していなかったんです。

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他の受賞作家さまが、受賞作品を次の展開にどんどん進めていかれる中、わたしは何もできていない。日々、それが胸に突っかかっていました。

そんなことを考えていたある日、偶然にも編み物作家のblancoさんと知り合う機会が訪れました。その時、「ちょっと編み物のこと聞いてみよう。編み方のコツとか教えてもらえないだろう。」と感じて、メールを送らせてもらったのです。


2、自分のできないことについて、誰かの力を借りてみようと思ったきっかけ

わたしは「編み物を教えてもらえませんか?」とblancoさんにメールをしてみました。すると、ご快諾のお返事を頂いて、初めて2人でお会いすることになりました。

その時は、わたしの編み方が合っているのか見てもらう・早く編むコツなどをお聞きできれば、という気持ちでした。しかし実際にお会いしてみて、わたしの気持ちが変わりました。

まず、編み物が簡単ではないということでした。編んで終わりではなく、アイロン作業があることを教えてもらいました。(え?あ、アイロン?)編み方にも色々あることを教えてもらいました。(え?そこに針通すの?)いやいやこれは・・・わたしが編み物を習得するには、5年かかる?いや、10年かかる?これは果てしないな・・・(凹)

しかし、そんな初心者のわたしでも、blancoさんの説明は凄くわかりやすく感じたのです。編み物教室をされていることもあって、教え方が上手だったんです。これはわたしの主観ですが、人に教えることが上手=技術を信頼できると思っています。

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そしてその日の帰り道、わたしは決意したのです。私が編もうとしたら、商品が完成するのは、一体いつになるのか見当もつかない。だから、技術に信頼のおけるblancoさんに、スヌードを制作をお願いできないか相談してみようと。


3、誰かに頼ることで、ものづくりの可能性が広がった

そしてすぐに、blancoさんにまたメールをしました。「スヌードの商品化に力を貸していただけないでしょうか?」と。すると、ありがたいことにご快諾のお返事をいただくことができました。そこから2人の共作が始まったのです。

一緒に毛糸屋さんへ行って、毛糸選びにアドバイスを貰いました。肌触りを考えると、毛100%が良いといご意見をいただいたり。色は任せてもらったのですが、この5色可愛いですよね。(←少しわたしも頑張った点)

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また、ニット製品ってお手入れどうするの?なんて知識が、わたしにはなく。そこも、blancoさんが実際にサンプルの洗濯テストをしてくださって、洗い方を教えて下さいました。わたしはそれを文面にまとめる。

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そんなやり取りを何度も重ね、受賞から約1年後。「ニットの輪っか飾りスヌード」を販売することが叶いました。blancoさんの制作スケジュールを考え、限定4点を販売させていただき、見事完売となりました。

2018年10月。販売当日は、ちょうど門司港(福岡)での出展があって、門司港でminneのカートをオープンさせました。オープンは朝の10時。しかし何故だか門司港から時報117に繋がらなくて....周りにいらっしゃったスタッフさんにweb時報を見ていただきながら、10時を迎えていました。

そして、10時スタートと同時に注文が入ったこと。それはもう、本当に嬉しい出来事でした。

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こうして、blancoさんのお力を借りたことで、受賞後1年経って、やっと作品を商品として届けることができました。わたし1人では、5年かかっても商品にすることはできなかったかもしれません。

自分ができないことは、自分だけでは止まったままです。できるようになるには、何年もかかるかもしれない。でも、誰かの力を借りることで、すぐできるかもしれない。止まっていたことが動き出すかもしれない。

わたしは、このスヌード販売の経験を通して、このことを実感しました。アイデア×技術で、可能性が一気に広がった出来事でした。そのことがきっかけとなり、2019年今年、色々な作家さまと一緒にものづくりができました。(前回の記事)

先日、デザフェスでこのスヌードをご購入くださったお客様が、巻いている姿を見せに来てくださいました。もう、なんというか、感激でした。

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以前、別のお客様も、お写真を見せてくださったことがあって。その時も嬉しかったなあ。他のお2人はどんな方なんやろう。いつか、お会いできる機会を楽しみにしています。

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やりたいことやアイデアって、頭の中にあるだけではあまり意味を発揮しなくて、実現してやっと価値がでるものだと(私は)思っています。

でも、自分にはできることと、できないことがある。できるようになるために、努力したり取得したりすること、それもひとつの方法。素晴らしいことだと思います。でも、それが何年かかるか途方もないことだとしたら、誰かに力を借りて、実現させてみることも、素晴らしいことだと思います。どちらも良い。

ものづくりって、自分が手を動かすことはもちろん、誰かの手を借りたり、時には機械を取り入れてみたりも、良いと思うのです。それによって、可能性はどんどん広がる。これからも、色んな可能性がたくさん広がっていったら嬉しいなあと思います。

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そして最後に。

誰かに力を借りることについて、わたしが心がけることも書いておきます。

それは、自分も頑張ること。できない時は、誰かに頼って、その分、自分にできることは人一倍頑張る。いつまでも、人と比べていても仕方がないから、自分にできないこと と できることを、ちゃんと認める

とても抽象的な話になるけれど、自分が頑張ることによって、周りの人が自分に力を貸して下さるようになるのだと思うのです。だから、わたしは、力を貸してもらえる人間でいられるように、これからも自分にできることを精一杯頑張っていたいと思います。 

vol.17 おわり
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