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2月3日、春が訪れたかのよう... パーセル、クッサーによる、バロック期、アイルランドでのセレブレイション!

ピーター・ウィーラン率いるアイリッシュ・バロック・オーケストラの演奏、セスティーナの合唱、マリア・ケオハネ(ソプラノ)らの歌で、バロック期のアイルランドを見つめる、"The Hibernian Muse"。
LINN/CKD685

1694年、ダブリンのトリニティ・カレッジ(現在はアイルランドを代表する大学... だが、創立当初は、イギリスによるアイルランド支配の一端も担っていた... )、100周年記念式典のために委嘱された、パーセル(1659-95)のオード『偉大な創立者を讃えよ』と、1711年、ダブリンにて、宗主国、イギリスのアン女王の誕生日を祝う、クッサー(現在のスロヴァキアの首都、ブラティスラヴァで生れ、フランスで研鑽を積んだ後、ドイツの各地の宮廷で活動、ロンドンを経て、1707年、トリニティ・カレッジの楽長に就任... )のセレナータ『世界から寄せられるパルナスス山への讃美』による、"The Hibernian Muse"(ハイバーニアンとはアイルランド人のこと... )。

普段、なかなか注目することのないバロック期のアイルランドの音楽シーン... ということで、興味津々の2つのセレブレイションなのだけれど、まず、耳を捉えるのは、セレブレイションならではの花々しさ!その花々しさ、どこか"ほのぼの"としており、良い意味でローカル?例えば、パーセルのオードは、ロンドンの王室のために書かれたものよりのびのびとしているようで... クッサーのセレナータは牧歌的で、歌の国、アイルランドをほんのりと感じられるのか... そこに、アイリッシュ・トラッド、パーセルによる「リリーバレロ」なども挿まれ、アイルランド風味で全体を引き立てる!いや、ロンドンに負けない魅力、絶妙に放たれる!

という、"The Hibernian Muse"を聴かせてくれた、ウィーラン+アイリッシュ・バロック管... 北アイルランドのヴォーカル・アンサンブル、セスティーナの合唱も含め、いい具合に朗らか!で、その朗らかさに、アイリッシュが感じられるのか... そこに、ケオハネ(ソプラノ)、グリゴリー(テノール)ら歌手たちの素朴な表情も相俟って、セレブレイションも慇懃にならない!というより、気の置けない雰囲気で包んで、やさしい... そんな音楽に触れていると、春が訪れたかのよう...

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