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10月12日、いとも華麗な、バロック、ヴェネツィアの宝塚!フィーリエたちのオラトリオ『勝利のユディータ』!

ロベルト・ザルペロン率いる、ピリオド・オーケストラ、アンサンブル・ロレンツォ・ダ・ポンテの演奏、サント・スピーリト・アカデミー合唱団(女声)、ルチアーナ・マンチーニ(メッゾ・ソプラノ)らの歌で、ヴィヴァルディのオラトリオ『勝利のユディータ』。

1716年、ヴェネツィア、ピエタ慈善院付属音楽院が誇る女性音楽家集団、フィーリエ(娘たち)のために作曲されたオラトリオ『勝利のユディータ』。旧約聖書のユディト記に基づき、ユダヤ人たちを制圧するため派遣されたアッシリアの将軍、ホロフェルネスに、信仰厚い美しき未亡人、ユディトが、巧みに近付いて、まさに寝首を掻く(衝撃的なグロ・シーンは、有名画家たちの格好の題材に... )!そうして、みんなを窮地から救う物語...

当然ながら、ホロフェルネスを筆頭に、男性キャラ、いろいろ登場。が、フィーリエは女性のみで組織される... となると、男性役も女性が歌うことに... いや、女声だけで描かれる、ミリタリー・クライシス!これが、独特な雰囲気を醸し出す... 低音女声、大活躍!で、宝塚感、漂い出すわけです。ローマでは女性が舞台に立てなかったから、カストラートが女性役を歌っていた頃に、ヴェネツィアではその真逆の状況があったとは... いや、異性装への垣根の低さと、ローマ―ヴェネツィアの両極が生むこの幅たるや!バロック、すげぇ... となる。でもって、21世紀に何某かのメッセージを放つのか『勝利のユディータ』。改めて見つめると、興味深い作品だなと...

一方で、ヴィヴァルディが書いたアリアの数々が、どれもこれも魅力的!女声だけだからとか、旧約聖書が題材だからとか、そうしたことを制約としない、鬼才、ヴィヴァルディ!この人ならではの感性で、ガシガシと音楽を書いてゆく... このオラトリオが作曲される3年前、1713年、ヴィヴァルディは、オペラに進出。そういう経験が、このオラトリオにも反映されているのだろう... しっかりとドラマを紡ぎ出しつつ、ひとつひとつのナンバーで聴かせる!おもしろいのは、ホロフェルネスの前でユディータが歌うアリア... 『四季』の「春」、終楽章のテーマが聴こえてくる!

というヴィヴァルディのオラトリオを、じっくりと展開してみせるザルペロン+アンサンブル・ロレンツォ・ダ・ポンテ。彼らの色彩に富むサウンド、女声のみのオラトリオにより彩りをもたらして、カラフル!そこに、艶やかに魅力的なナンバーを歌い上げる歌手陣... ユディータを歌うマンチーニ(メッゾ・ソプラノ)の真っ直ぐさ、ホロフェルネスを歌うビスクオーラ(メッゾ・ソプラノ)の妖しさのコントラスト、印象的で、ドラマを盛り上げる!いや、惹き込まれます。


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