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12月15日、エレキ・ギターから生み出されるやさしさ!アウトサイドから癒す、シベ、"Lost & Found"。

イギリス、注目のギタリスト、ショーン・シベが、エレキ・ギターで、ヒルデガルト・フォン・ビンゲンから、20世紀、アメリカのマルチなアウトサイダーたち、同世代のイギリスの作曲家たち、さらに、ビル・エヴァンス、チック・コリア、までを弾いてしまう、"Lost & Found"。
PENTATONE/PTC5186988

気になる次世代ギタリスト、ショーン・シベ(b.1992)... スコットランド、エディンバラで生まれ(お母さんが日本人!)、スコットランド王立音楽院で学び、イタリアのパオロ・ペゴラーロ(ギターの名教師として知られる... )に師事、クラシックのフィールドで活動するギタリストなのだけれど、クラシックにに囚われないスタンスが、まさしく、現代っ子!

それを象徴するような、"Lost & Found"... いきなりヒルデガルト・フォン・ビンゲンで始まります。いや、エレキでヒルデガルトの衝撃... しかし、ヒルデガルトの幻視が導いた音楽というのは、エレキくらい突き抜けたサウンドの方が、真に迫るのかも... からの、チック・コリアです。いや、中世から一気にジャズの大家!この大胆さ、現代っ子の為せる業... 

いや、"Lost & Found"の内容をざっと見渡せば、眩暈を起こしそうになる。アメリカのマルチ・アーティストの鬼才たち、ムーンドッグ(1916-99)、ジュリアス・イーストマン(1940-90)、メレディス・モンク(b.1942)に、イラン系イギリス人、ターンテーブル・アーティストにして作曲家、シヴァ・フェシャレキ(b.1987)ら、一筋縄にはいかない面々の作品を取り上げつつ、シベと同世代であるイギリスの次世代の作曲家たち、ダニエル・キダネ(b.1986)、オリヴァー・リース(b.1990)、さらに、20世紀の大家、メシアン(1908-92)、ビル・エヴァンス(1929-80)まで、多彩を極める!

で、多彩を極めている面々、丁寧に見つめれば、みなアウトサイダー... そう、これが、このアルバムのテーマ!で、アウトサイドから、硬直化した世界を解し、傷付いた現代人の精神を癒す... 一見、ブっ飛んでいるようで、思いの外、やさしい... けど、そこには、強いヴィジョンが貫かれていて、ただならない... そんな、"Lost & Found"、なのです。

そして、シベのエレキ・ギターが凄い。エレキならではの力強さはありつつ、とにかく、繊細!そして、やさしい... まるで、水彩絵の具が水に滲んで、ふわーっと広がってゆくような、そんな瑞々しさを見せる。その瑞々しさからポエジーが溢れる!もう、ため息... でもって、電気が生むヴィヴィットさ、どこまでも広がっていきそうなスペイシーさ... シベの繊細なタッチと相俟って、美しい星雲の中を遊泳するような... そんな感覚に包まれれば、魂から癒されてしまう。

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