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9月27日、師、ベートーヴェンから受け継がれるものと、新時代、ロマン主義の息吹が織り成す妙... リースの音楽...

ピリオド系弦楽四重奏団、シュパンツィヒ四重奏団による、ベートーヴェンの弟子、リースの弦楽四重奏曲のシリーズ、Vol.4。

フェルディナント・リース(1784-1838)。
かのベートーヴェンが生まれた街、ボンで生れ、16歳でウィーンへと出て(1801)、ベートーヴェンの弟子(ボンの宮廷のコンサート・マスターだったリースの父親は、ベートーヴェンのヴァイオリンの師であり、その関係性は世代を遡る... )となり、アシスタントも務め、楽聖を支えもした人物(楽聖の最古の伝記の著者としても知られる... )。で、ベートーヴェンの下、ウィーンで研鑽を積んだ後、ピアノのヴィルトゥオーゾとしてロシア、スウェーデンを巡り、各地を沸かせ、やがて、ロンドンを拠点(1813-24)とし、ボンへの帰郷を挿み、最後はフランクフルトを拠点(1827-38)に、作曲家として、指揮者として、ベートーヴェンの紹介者としても精力的に活動した。

というリースの弦楽四重奏曲にスポットを当てる、シュパンツィヒQのシリーズ... Vol.4は、弦楽四重奏曲だけでなく、弦楽五重奏曲も取り上げられ... ウィーンを離れ、ロシアへと向かう年、1809年に作曲された弦楽五重奏曲、Op.37(ベートーヴェンの友人、19世紀のヴァイオリンのヴィルトゥオーゾ、シュパンツィヒに献呈されている... それを、21世紀のシュパンツィヒQが演奏するという... )に、故郷、ボンへと戻っていた頃、1825年から翌年に掛けて作曲された弦楽四重奏曲、Op.150-1の2曲が取り上げられる。

いや、興味深い、リースの弦楽四/五重奏曲... ウィーンの香り漂う?で、同時代を生きたシューベルト味もある?という点、ロマン主義が顔を覗かせているか?弦楽五重奏曲に、ウルトラ古典主義、ベートーヴェンの尖がった感覚が呼び覚まされる?弦楽四重奏曲。どちらも、古典主義からロマン主義へのうつろいの中にある音楽、過渡的なのだけれど、新旧の感性、絶妙に融け合い... 融け合ってこそ師を越えてゆくところあって、より豊かな音楽が繰り出される。過渡性にこそリースの魅力は表れるのかも...

そんなリースを聴かせてくれたシュパンツィヒQ(弦楽五重奏曲では、ヴィオラにマサデスが加わる... )。彼らならではの鋭いノン・ヴィブラートから繰り出される克明な演奏が、リースの音楽をしっかりと掘り起こし、過渡期をピリっとさせ、印象的。もちろん、弦楽ならではの麗しさ、味わいもあって、このあたりは、リースの19世紀の作曲家としての深みも... 普段は、ベートーヴェンという偉大な名前とともに登場するリースだけれど、しっかりとその魅力、伝えてくれる。

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