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9月22日、ハーディングフェーレで『ペール・ギュント』を... 北欧ロマン主義の名作が、グっと味わい深くなって驚いた!

ノルウェーの民俗楽器、ハーディングフェーレも弾きこなす、ノルウェーのヴァイオリニスト、ラグンヒル・ヘムシングが、ヴァイオリンとハーディングフェーレを用い、ノルウェーの気鋭のアンサンブル、トロンハイム・ソロイスツとともに、グリーグの『ペール・ギュント』を奏でる!

ノルウェーの民俗楽器、ハーディングフェーレ... ヴァイオリンに似ているけれど、ヴィオラ・ダ・ガンバから派生した楽器というのが、ポイント(象嵌細工はアクセント!)。で、そのサウンド、ガンバの透明感を引き継ぎつつの、ヴァイオリンの小気味良さ、表情の豊かさもありつつの、もちろん民俗楽器ならではの味わい深さも!いや、なかなかにおもしろい楽器なのです。そんなハーディングフェーレも加わる『ペール・ギュント』!

定番、2つの組曲(1891/92)に収録されている8曲に、オリジナルである劇音楽(1874-75)から、「ハリング」、「スプリンガー」、「ソルヴェイグの子守唄」、ピアノ曲集『農民の暮らしと情景』(1872)の第2曲、「通り行く婚礼の行事」を加えて、全12曲構成。物語の筋を追うのではなく、ハーディングフェーレの絶妙なトーンを引き込み、ロマンティックなグリーグの音楽に、リアルなノルウェーの情景を息衝かせる、ヘムシングのアレンジ。お馴染みの「朝」に始まり、物語の世界観を鮮やかに描き出しながら、フィナーレは「山の魔王の宮殿にて」で盛り上がる!これが、最高!

いや、澄み切ったその音楽、劇音楽にして、どこか人間味に薄いよう(それこそが北欧ロマン主義の魅力... )に感じられていたのだけれど、ハーディングフェーレが登場すると、俄然、人間味に溢れる!この楽器が持つフォークロワならではのテイストが、グリーグの国民楽派としての性格を煌めかせ、何より、聴く者を一気にフィヨルドの奥の奥へと誘うのだ...

そんな『ペール・ギュント』を聴かせてくれたヘムシング!ヴァイオリンを弾いてクラシカルに、ハーディングフェーレを弾いてフォークロワに、その縦横無尽さが引き出す、北欧の圧倒的な自然と、ノルウェーを生きて来た人々の熱量というか... これまでの『ペール・ギュント』では味わえなかった感覚に驚かされた。そして、トロンハイム・ソロイスツの瑞々しいサウンド!大オーケストラで、ドヤとやるのではなく、弦楽のヴィヴィットさで描き出される北欧の雄大な情景に圧倒され、惹き込まれた。いや、聴き知った名曲がこうも新鮮に響くとは!

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