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2月12日、ドビュッシーを支えたカプレの、まるでドビュッシーを思わせるオラトリオ『イエスの鏡』。美しい。

ドイツの公共放送100周年、100年前の音楽を取り上げる好企画、"1923"から、ハワード・アーマンが率いたバイエルン放送合唱団、アンケ・フォンドゥング(メッゾ・ソプラノ)の歌、ミュンヒェン放送管の演奏で、カプレのオラトリオ『イエスの鏡』。
BR-KLASSIK/900342

ドビュッシー(1862-1918)の神秘劇『聖セバスティアンの殉教』や、バレエ『おもちゃ箱』のオーケストレーション、「月の光」の最も一般的なオーケストラ・アレンジで知られる、カプレ(1878-1925)。ドビュッシー作品とともに、その名を目にすることが多いわけだけれど、ここで聴くのは、カプレのオリジナル作品!1923年に作曲された、フランスの劇作家で詩人、アンリ・ゲオンの詩による、オラトリオ『イエスの鏡』。聖母マリアの視点からイエスの生涯を語り、女声のみで歌われるという異色作...

ドビュッシーがオーケストレーションを任せただけに、ドビュッシーの音楽をよく理解し、そのカラーをより瑞々しいものとして具現化できた作曲家が、カプレ。その能力を、そのまま反映させたのが『イエスの鏡』。そこには、より純化したドビュッシー像が展開されるようで、不思議... 何より、その麗しい響き!まるで、フランス音楽の魅惑が蒸留され、得も言えぬ芳しさを放つかのよう!聖書の厳めしさ、忘れさせる!

そんなカプレのオラトリオを聴かせてくれた、アーマンが率いたバイエルン放送合唱団(女声)に、フォンドゥング(メッゾ・ソプラノ)、ミュンヒェン放送管。まず耳を捉えるのは、聖母マリアを歌うフォンドゥングの優美な歌声!この優美さで語られるイエスの生涯は、耽美... そして、ドイツ勢の精緻さが、かえってカプレのフランス性、引き立てて... いや、もう、全てが美しく、惹き込まれた。


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