見出し画像

8月13日、美しい夢の中を漂うような... この陶酔感!リヒャルト・シュトラウスの歌曲、言葉を失います。

ドイツのソプラノ、ハンナ・エリーザベト・ミュラーが、クリストフ・エッシェンバッハの指揮、ケルンWDR響の演奏で、リヒャルト・シュトラウスのオーケストラ伴奏付き歌曲の数々を歌う、"Sinnbild"。

「セレナーデ」(モットルのオーケストレーションで... )、「朝!」、「冬の霊感」、「万霊節」(ヘーガーのオーケストレーションで... )、「森の喜び」、「こんにちは、愛らしいミルテよ!」、「あおい」(リームのオーケストレーションで... )という、普段、あまり聴く機会の少ない7曲に、リヒャルトのオーケストラ伴奏付き歌曲といえば、この作品、『最後の4つの歌』で締める、"Sinnbild(象徴)"。

いや、リヒャルトの音楽が持つ、様々な表情の、麗しさのみを抽出して紡がれるような、そんなナンバーの数々... てか、こうも、唯、美しい音楽って、ちょっと他に無いんじゃないかと... で、そこから生まれる浮遊感が、たまらない!美し過ぎて地に足が着かないような感覚... リヒャルトお得意の交響詩やオペラでは味わえない感覚。

で、『最後の4つの歌』が歌われるのだけれど、第二次大戦が終結して3年後、リヒャルトの死が間近に迫る1948年に作曲された、リヒャルトを象徴する作品のひとつ... 歴史に翻弄され、至った、厭世、達観、そして、悔悟もあるだろう、作曲家の今世への別れの歌。7曲の美し過ぎるオーケストラ伴奏付き歌曲の後でこの作品を聴けば、唯美しいだけじゃない、遣る瀬無さにも似た感情が際立ち、いつも以上に感慨を噛み締めるてしまう。

という"Sinnbild"を聴かせてくれた、ミュラーの美しいソプラノ!やわらかで、軽やかで、ちょっと浮世離れしたような美しさ、惹き込まれる... そこに、エッシェンバッハ、ケルンWDR響の、丁寧にして、エフォートレスな演奏!でもって、歌、演奏、相俟って、まるで無重力を味わうようなヘヴンリーさ!陶酔...

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?