音のタイル張り舗道。

それは、サティの作品からいただいたタイトル。で、サティらしいヘンテコな一曲。何しろ、音のタイル?なのである。もうね、サティにしかあり得ないシュールさ... けど、その"音のタイル"が、CDに思えたのです。そんな"音のタイル"が一枚一枚並べられて、やがて"舗道"みたいに伸びていったらおもしろいだろうなァ... そうなったら、壮観だろうなァ... という、漠然としたイメージを抱きながら付けたタイトルでした。
でもって、今、改めて、この作品を聴いてみるのだけれど、思っていた以上にヘンテコ... タイトルに限らず、ヘンテコな音楽。なぜヘンテコかと言うと、タイトルそのままに、音のタイルそのものだったから...

弦楽四部にフルートとクラリネットという軽やかな編成で織り成されるその音楽は、ちょっと機械ちっくなフレーズで形作られていて... というより、フレーズでしかなく、それが延々と続くという、まさに同じ模様のタイル(=フレーズ)が並べられて舗道を成す音楽。一見、シュールに思えていた音のタイトルも、実際にその音楽に触れてみれば、まったく以って的を射たタイトルであることに気付かされる。いや、おもしろい!音でタイルを創り出してしまうとは、さすが、サティ。

一方で、その音楽、おもしろいかというと、これが考え物。いや、考えている内に、どこかで聴いたような感じがするのだよね... という、既視感の中を彷徨い、いろいろ記憶を手繰り寄せて、ハッとする。そうだ、こどもの頃に遊んだゲーム!レトロゲームのゲーム・ミュージックのそれだ!てか、楽器を電子音に置き換えれば、そのものだよ、これ...

そして、これこそが、音のタイル張り舗道の意義。そう、それは、背景で鳴っている音楽。

家具の音楽。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?