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9月3日、新ウィーン楽派による究極的な交響曲?抽象の無垢の美しさに惹き込まれた。

スイスを代表する作曲家にして指揮者(ちょっと忘れがちだけど、世界的オーボエ奏者!)、ハインツ・ホリガーと、ローザンヌ室内管の演奏で、シェーンベルクとウェーベルンの交響曲。

シェーンベルクの1番の室内交響曲(1906)と、ウェーベルンの交響曲(1928)。そして、シェーンベルクのピアノのための6つの小品(1911)をホリガーがオーケストレーションしたものに、ウェーベルンの弦楽四重奏のための5つの断章(1909)、弦楽合奏版(1929)の4曲が取り上げられる。いや、新ウィーン楽派の師弟コンビによる、なかなかに渋い構成...

で、まずは、12音技法に至る前のシェーンベルクの1番の室内交響曲。19世紀来のロマン主義を引き摺る中、無調が滲み出して表現主義に彩られつつ、"室内"という規模が古典主義のリヴァイヴァルに思えてきて、擬古典主義を先取りする?いや、この過渡性の悶えがたまらない!今、改めて聴いてみると、妙に刺激的で、聴き入ってしまう。

からの、ウェーベルンの交響曲は、音列、炸裂!よって、全然シンフォニックじゃない... 音がパラパラと降ってきての鮮やかなる抽象... でもって、音と音の間に、妙なる"間"が生まれ、東洋的?何だか禅の境地... 交響曲=絶対音楽と考えれば、これは、究極的な交響曲と言えるのかも... 古典主義の時代に整備されて以来、交響曲の到達点がここに?

続く、シェーンベルクの6つの小品、ホリガーによる室内オーケストラ版は、ホリガーの彩色が見事!それでいて、ウェーベルンからの流れを巧みに引き込んで、より麗しい抽象を展開。からナチュラルにウェーベルンの5つの断章、弦楽合奏版がつながり、また研ぎ澄まされた世界を織り成して、美しい... いや、抽象の無垢の美しさ、ツボ...

そんな新ウィーン楽派の交響曲を聴かせてくれたホリガー、ローザンヌ室内管。そもそも新ウィーン楽派の面々に"交響曲"が結び付かないところで、新ウィーン楽派流の交響曲の世界、冴え切りながら美麗に仕上げてくるホリガーの手腕に脱帽。ローザンヌ室内管の瑞々しい響きもすばらしく、思い掛けなく、惹き込まれた。

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