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さぶすクラシック日誌。2023年版!

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毎日、1タイトル、スポティファイでクラシックの新譜を聴いてみた。
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#20世紀

4月4日、バッハ、構築の極みと、ウェーベルン、抽象の極みが織り成す、絶対音楽の庭...

ピリオドに軸足を置きながら、大胆に時代を飛び越えてゆくヴァイオリニスト、ロドルフォ・リヒターと、彼が率いるリヒター・アンサンブルの演奏で、バッハの『フーガの技法』と、ウェーベルンによる弦楽四重奏のための3作品... 絶対音楽の両極を並べる大胆な組み合わせ! passacaille/PAS1129 対位法の大家、バッハ(1685-1750)の集大成、『フーガの技法』に、12音技法を極めたウェーベルン(1883-1945)の弦楽四重奏のための作品、5つの断章(1909)、6つの

3月18日、まるで映画を見ているかのような、そんな感覚を覚える、ショスタコーヴィチの交響曲、12番、15番...

フィンランドのマエストロ、ヨン・ストゥールゴールズが、首席指揮者に就任して間もないBBCフィルハーモニックとともに、ショスタコーヴィチの交響曲、12番、「1917年」と、15番を取り上げる。 CHANDOS/CHSA5334 ショスタコーヴィチ(1906-75)にとっての最後の交響曲らしい交響曲、12番、「1917年」(1961)... タイトルの通り、ロシア革命(1917)を、4楽章=4つの場面から壮大に描き上げる、プロパガンダ的性格もある交響曲。一方、ショスタコーヴィチ

3月17日、マーラーからのショスタコーヴィチへ、2つの"10番"をつないでもたらされる新体験!

ヤープ・ファン・ズヴェーデン率いる、香港フィルハーモニー管弦楽団の演奏で、マーラーの未完の交響曲、10番(1924年、メンゲルベルクがコンセルトヘボウで演奏するにあたり改訂した版での世界初録音!)と、ショスタコーヴィチの10番の交響曲... 興味深い、2つの"10番"… NAXOS/8574372 マーラー(1860-1911)の死の前年に書き始められた、マーラーの11作目の交響曲、10番... 1911年、その死により、未完に終わるのだけれど、その遺稿を保持していたアルマ

3月16日、"WORKS UNVEILED"、ヴェールを脱いだ、アレンジャー、ショスタコーヴィチ、学生、ショスタコーヴィチ...

フランスのピアニスト、ニコラ・スタヴィが、ショスタコーヴィチの室内楽版、14番の交響曲、「死者の歌」、などなど、知られざる作品、版を掘り起こす、"WORKS UNVEILED"。 BIS/BISSA2550 ショスタコーヴィチの交響曲の中でも、特に癖強めな14番(規模の小さいオーケストラの伴奏でとソプラノとバスが歌う、まるでカンタータのような... )を、作曲者自身のアレンジで、ソプラノとバスがピアノとパーカッションの伴奏で歌う版(となると、もう完全に連作歌曲集?)と...

3月15日、シルヴェストロフ、『静寂の歌』、そこから溢れ出す、厭世、止めどなく、揺さぶられるのです。

ピアノのヴィルトゥオーザ、エレーヌ・グリモーが、ドイツのバリトン、コンスタンティン・クリンメルとともに、ウクライナを代表する作曲家、シルヴェストロフのソヴィエト時代の作品、『静寂の歌』を取り上げる... Deutsche Grammophon/4864104 東西冷戦の緊張緩和=デタントの一方で、社会主義の限界が露わとなり始め、閉塞感、深めてゆく、ソヴィエト体制下... 1974年から77年に掛けて作曲された、シルヴェストロフ(b.1937)の『静寂の歌』。"5つの歌"、"

3月14日、苦難の歴史と、ひたむきな音楽人生が導き出す、"シルヴェストロフならでは"の、やさしい音楽...

イギリスのヴァイオリニスト、ダニエル・ローランドと、ウクライナのピアニスト、ボリス・フェドロフによる、ウクライナを代表する作曲家、シルヴェストロフの室内楽作品集、"The Messenger"。 CHALLENGE CLASSICS/CC72939 ロシアによるウクライナ侵攻を目の当たりにし、今、改めて注目されているように感じる、ウクライナ、キーウに生まれ、育ち、学び、長年、活動の拠点としてきたシルヴェストロフ(b.1937)の音楽... そのエッセンスを詰め込んだアルバム

2月16日、普段、ほとんど注目されることのない、フランス・オペレッタの興味深さ... てか、そのカラっと晴れ渡るトーン、最高!

バンジャマン・レヴィ率いる、国立カンヌ管弦楽団の演奏、パトリシア・プティボン(ソプラノ)、ロラン・ナウリ(バス・バリトン)らが歌う、両大戦間におけるフランス・オペレッタ集、"CROISETTE"。 ERATO/5419719619 第二帝政期(1852-70)、オッフェンバック(1819-80)が形作り、一世を風靡したオペレッタだったけれど、普仏戦争が勃発し、第二帝政が呆気なく瓦解すると、人々の関心はオペレッタから離れ... オッフェンバック人気に刺激を受け、興隆してゆくウ

2月15日、さすが、自然主義文学の国のオペラ... 改めて、プーランクの戦後のオペラ、『人間の声』に感服。

フランスの気になるマエストロ、アレクサンドル・ブロック率いる、リール国立管弦楽団の演奏で、フランスを代表するソプラノ、ヴェロニク・ジャンスが歌う、プーランクのモノ・オペラ『人間の声』。 ALPHA/ALPHA899 フランス6人組の名付け親であり、プーランク(1899-1963)とは旧知、コクトー(1889-1963)の戯曲『人間の声』(1930)をオペラ化した、モノ・オペラ『人間の声』(1958)。1959年、そのコクトーの演出により、パリ、オペラ・コミック座で初演された

2月14日、それは、フランスらしさを蒸留し、抽出した、類稀なる芳しき音楽! アーンの美しいピアノ作品の数々...

イタリアのピアニスト、アレッサンドロ・デリャヴァンの演奏で、ベネズエラに生まれ、ベル・エポックのフランスで才能を開花、20世紀前半のフランスで活躍した作曲家、アーンのピアノ独奏作品全集、4枚組。 PIANO CLASSICS/PCL10257 4枚組、前半の2枚を費やす、大作、全53曲、4つの組曲で構成される『当惑したナイチンゲール』(1902-10)をはじめ、幼くして才能を開花させた、アーン(1874-1947)、8歳、最初のピアノ作品、インスピレーション、ワルツ(188

2月13日、無声映画を思わせる、雰囲気、漂わせる... フローラン・シュミットの『サロメの悲劇』、黙劇版!

ジュリアン・マスモンデ率いる、フランスの気鋭のアンサンブル、レザパッシュ!の演奏で、フローラン・シュミットの『サロメの悲劇』... 一般的な組曲版、バレエ版ではなく、原典の黙劇版で... b・record/LBM049 1913年、ディアギレフ率いるバレエ・リュスが、新設されたばかりのシャンゼリゼ劇場で上演した4作目(ちなみに、2作目が『春の祭典』!)、フローラン・シュミット(1870-1958)のバレエ『サロメの悲劇』。バレエ・リュスならではの大オーケストラによる、エキゾ

2月12日、ドビュッシーを支えたカプレの、まるでドビュッシーを思わせるオラトリオ『イエスの鏡』。美しい。

ドイツの公共放送100周年、100年前の音楽を取り上げる好企画、"1923"から、ハワード・アーマンが率いたバイエルン放送合唱団、アンケ・フォンドゥング(メッゾ・ソプラノ)の歌、ミュンヒェン放送管の演奏で、カプレのオラトリオ『イエスの鏡』。 BR-KLASSIK/900342 ドビュッシー(1862-1918)の神秘劇『聖セバスティアンの殉教』や、バレエ『おもちゃ箱』のオーケストレーション、「月の光」の最も一般的なオーケストラ・アレンジで知られる、カプレ(1878-1925

2月11日、今から100年前... 1923年の音楽パノラマの興味深さ... 音楽から時代を垣間見る...

ドイツの公共放送100年を記念して、バイエルン放送ファミリーが掘り起こす、100年前の音楽!トッホ、ヴァイル、クシェネク、バルトークが、1923年に作曲した4作品、ズバリ、"1923"! BR-KLASSIK/900206 ウィーン出身のトッホ(1887-1964)が、マンハイム音楽大学で教えていた頃の作品、舞踊組曲(フルート、クラリネット、ヴァイオリン、ヴィオラ、コントラバスとパーカッションによる)に、ヴァイル(1900-50)が、ブゾーニについて学んでいた最後の年に書い

2月10日、ヴァイマル共和国のヴァイル!HKグルーバー×スウェーデン室内管が引き立てる!

鬼才、HKグルーバーの指揮、スウェーデン室内管弦楽団の演奏で、ヴァイルの音楽劇『銀の湖』から序曲とソング(HKグルーバーが歌う!)に、普段、聴くことのない1番に、ヴァイルの交響曲といえば、の2番... BIS/BISSA2579 ヴァイル(1900-50)が、ブゾーニ(1866-1924)に師事していた頃、1921年、20歳の作品、1番の交響曲(ベルリン交響曲)に、ナチスの政権獲得によりドイツを去ることになる1933年に上演された音楽劇『銀の湖』の序曲とソング、3曲、そし

2月9日、ウィーン、ベルリン、そしてアメリカ... 20世紀の苦難が育むラートハウスの音楽の芳醇さ!

ポーランド系のユダヤ人、ラートハウスの音楽を掘り起こす、ポーランドのアンサンブル、カロル・ラートハウス・アンサンブルによる、ラートハウスの室内楽作品と歌曲の数々。 DUX/DUX1854 カロル・ラートハウス(1895-1954)。 元はポーランド領、当時はオーストリア=ハンガリー帝国、現在はウクライナのテルノーピリにて、ユダヤ系の家に生まれた、ラートハウス。幼くして音楽の才能を開花、やがて、帝都、ウィーンに出て、ウィーン音楽演劇大学に入り、シュレーカーに師事。第1次大戦(