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音野里たより(50)〜プロ vs アマ〜

仕事を辞めてはや2年半。
あっという間だ。
時間が加速してるみたいだ。
どんどん過ぎていく。
働いてたときと大違いだ。

以前は、時間が進まずなが〜く感じてた。
イヤな気分で月曜が始まり、水曜日には
もう一週間分の疲れが溜まっていた。
週末まであと2日もあるのか〜やれやれ。

つねに予定表に振り回され、次から次にやってくる
タスクをこなしていくのに精一杯だった。
ようやくたどり着いた週末も、予定外の仕事が入ったり、
仕事がなくても来週のことを考えてしまいうんざりしたり。

そういう日々から解放されたのだ。
さぞや晴々とした毎日が待っていることだろう。

でも実際はそうでもなかった。
確かにイヤなことはしなくてよくなった。
気持ちはずいぶん楽になった。
しかしそれがデフォルトになってしまうと何も感じなくなる。
まあ、そういうもんだよね。

職場に行く代わりに、音野里に行く。
仕事する代わりに、畑して音楽する。
有難いことだが、慣れてしまって当たり前になっている。
言ってみれば、これが今のボクの仕事みたいなものだ。

はて?
以前の仕事と今の畑仕事と何が違うのか。

以前は賃金をもらってたが今はもらっていない。
お金になるのがプロの仕事で、お金にならないのがアマか。
たとえ畑仕事がどれだけキツかろうとお金にならなきゃ仕事じゃない?

お金になるのは他人のために働くから。
お金にならないのは自分のために働くから。

他人のために働くのはもうこりごり。
これからは人間じゃなく自然を相手にゆっくり暮らすのだ。
そう考えて、この音野里生活を選んだのであった。

自分のために野菜をつくり、自分のために音楽をつくる。
自分が良ければそれでいい。
だから、野菜の出来が悪くてもだいじょぶ。
音楽の出来が悪くてもだいじょぶ。
自己満足の世界だ。

とは言っても、ちっとは色気が残ってるので、
野菜をご近所さんに配ったり、音源をネット配信したりしてる。
強要したりしないので、ちょっとだけカンベンしてね!

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