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陽はまた昇り、人はまた山に登る。

 登るべき山はひとつじゃない。たくさんある。
 
 なぜ登るのかって?
 そこに山があるからじゃない。その山を越えないと次の山が見えてこないからだ。
 
 登り切ると見えてくる次なる山に登るために、登頂したらその山を下る。下らないことには、次の山に登れないから。

 よっこらしょ。
 
 なぜ人は登山を繰り返すのだろう?
 
 きっと、登らなければ見えない景色があることを知っているから。登らず、汗を流さず麓にいると、人生を照らす光の半分は山の影。眼下に光の大地の全体掌握は一生望めない。
 幾重にも姿を変える大地の顔に出会うため、下りたらまた覚悟を決めて汗を流す。
 
 気持ちの高まりが、山の高みへの原動力。

 一つ、また一つ山を制覇しても、我がこころ、足ることを知らず。
 一歩、また一歩とゴールに近づいている感触はあるのに、終わりはまだその片鱗さえ見せてくれない。間違ってはいけないから、腰を据えて一山一山を丁寧にこなしていく。

 苦労は百も承知。百名山もなんのその精神で荷物を背負い込み、今日も明日も人生の山を登っては下り、そしてまた登る。


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