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死は思考の臨界点か。

 死んでしまうことについて考えることがある。

 詳しくは語り合わないけど(あ、この人も同じようなことを考えてる)という人は割と多い。多くの人が、生きながら死を考えてる。

 でも、死を考えながら生きている人は、みんな壁にぶち当たる。誰も経験していないことだから。

 死んでしまうのは怖い。
 何が怖いのかといえば、思考がすっぽり抜けてしまうことが。

 感じたり、考えたりすることができなくなるって、終わりのない井戸に落ちていくみたいで恐ろしい。ということは、生きながら死を考えると、死んでしまうまで井戸の底に落ち続けるということか?

 伯母のシスター経由で神父さまに話を訊いたら「人はキリストに戻っていく」とカテキズムの一文を教えてくれた。
 伯父のお坊さんは説法を賜る前に逝ってしまったけれど、無常を波状で教えてくれただろうか。

 ……。

 死んでしまっっても考える自分が残っていたら……。

 そりゃずいぶん気が楽になる。


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