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【二輪の風景-12】Coffee break.

 2時間走ったら休憩を入れることにしている。いつもどおりのペースで走れば、ちょうど2時間でいいころあいとなる。
 無理はしない。もう少し先まで走ったら、なんてことはしない。疲労が一気に加速してしまうし、第一楽しくない。

 香水だってほどよく薄められるから心地いいってことを思い出した。気持ちの腑が落ち着くペースまで速度を薄めてバイクを停めた。すると色の濃かった時間が散らかっていく。浸透圧が働いて、周囲と自分の濃度が均衡をとろうと探りを入れ始める。犬が敵意を嗅ぎ分けでもするかのように。
 内外の濃度が違えば違うほど、血行のように行き交う感覚の授受がよく働く。

 養分を与えてもらった初夏の樹木のように心は満たされる。そこに追い打ち。とびっきりの香りを放つストレート・コーヒー。

 心に残す思い出の輝石をまたひとつ。

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