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ちっちゃな男になりたかないさ。

 運命の比重が偏ると平常心が乱れるのは、感情が地場の引力に歪められるからだ。体幹が揺さぶられ、大地に対し平行でいられなくなる。平衡を保てなくなる所以。


 妬み嫉みほど、人を小さくする野暮はない。わかっちゃいるけど「つい」羨望が海中から潜望の如くその目をにょきっと突き出したら、懐刀ふところがたなを空想所蔵倉から取り出して、地場から引力を切り離すに限る。名刀、物騒、そのような連想したならば、いやなに、使い古した鋏でもかまいやしない。

 ちょきん。

 比べるものがなくなれば、引きも押されもしなくなる。嫌なことには耳塞ぐ都合のいい老人魂借りてきて、苦差異臭いものには蓋をする。

 嗚呼、人徳への道の、なんと険しく長きこと。まだまだだなあ、と我を窘め、今日も背伸びで平常顔

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