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期待値と起こりうる現実。

 世の中、なかなか思ったとおりにコトは進まない。バターを塗った面をカーペットに落とす確率はカーペットの値段に比例する事実を暴いたマーフィーは、人が思い描く期待値の裏側を突いた。
 
 レコードにB面があるように、人には影がある。いい顔をした善人ふうが実は悪党だったり。純朴を装って金を巻きあげるヤカラもあとを絶たない。
 
 そもそものたとえがよくないと指摘することなかれ。レコードをCDに変えようっている腹づもりかい? 
 だけどさ、いかにデジタルに歌舞こうとも、期待値どおりに物事は進まない。CDに、すくわれる足がないとでも? 
 いやいや。なんなら裏側をのぞいてみるといい。
 ほら、そこには何もない。今の君みたいだ。
 
 人は『北京折りたたみ都市』のしがない低所得の労働者のように、昼夜の入れ替わりを巧みに渡り歩いていく。そこには輝きもあるだろうが、暗闇も確かにあった。これまでの人生が長いか短いかはわからないけど、振り返りの道のりは陽光ばかり、と言える人はいないだろう。
 
 旅は『JR上野駅公園口』(柳美里)。
 いつ人生の踏み板が裏がわるかわからない。そんなことを真剣に考えた。今回の騒動で本当に職を失った人物を知っているだけに、その波紋はやけに重い。
 
 明日は我が身かもしれない。
 
 最悪を想定してベストを尽くすと誰かが言っていたけれど、反期待値はきっと転ばぬ先の知恵。備えは出来うる限り万全に。
 カーペットは安物だ。これだけでバターを塗った面をカーペットに落とす確率も格段に減る。もっともトーストにバターを塗る確率はもともと極めて低いのだけれども。

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