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いい塩梅の投資でグッチに磨きをかける。〜趣味のオートバイの話 2

オートバイの音を目ん玉飛び出すほど高いお金を払うことなく、いい塩梅の出費で楽しみたい。
そんな思いで始めた独自調査。
果たして納得の結末を迎えることができるのか?
趣味のオートバイの話 1
から続く2話目。

MOTOGUTTIはイタリア最古参のバイクメーカーとはいえ、日本ではいかんせんマイナーすぎる。販売台数も少なければ、タマ数の制約は購入制限につながり、そのせいで所有者も極端に少ない。マイノリティのセオリーを正道で往く、潔いといえば高潔な決意の結果。ゆえに流通している情報も薄氷くらい薄い。密集した住宅地の路地に頭を突っ込むようにネット網に目を凝らしても、欲しい情報の手がかりさえつかめない。

欲しい情報とは、排気音改造計画の機密事項。
かくなるうえは仕方ない。今や受けた電話が英語だったから思わず切った、己の実力だけがモノを言う時代とは違う。この時代、Google先生が不得手な英語を補ってくれる翻訳天国の時勢である。
ブラウザの使用言語に英語を追加して、アルファベットで検索をかけてみた。

「MOTOGUZZI exhoust」・・・・・etc.

しかるのち、、、。

出た!

でも情報量は相変わらず少ない。MOTOGUZZIは世界的に見てもマイナーでマニアックなバイクだったってこと? それとも実用寄りのバイクに趣味の情報は要らないってこと?

それでも、わずかでも情報は入手できた。おおいなる前進だった。

検索結果の画像、映像、WEBページに片っ端からアクセスしてみた。ワークライフ・アンバランスを翌日の仕事を心配するもうひとりの自分に咎められながら、良心につつかれ傷を負いながら、波を、渡る。
「もう遅いから、今日はここまでにしとこう」という決意はあった。
だけど、いったん決めたデッドラインを幾度となく趣味の甘い囁きが覆していく。
いつもなら体内時計の秒針子守唄に誘われるまま落ちていく眠りの穴ぼこに、いっこうに収まらない。
おかげで、眠らなければならないのに眠らないでいると、瞼の裏側が熱で膨張することを改めて思い知らされた。しかもこの熱膨張は重さを伴う。

犠牲はあったが、粘った甲斐はあった。おかげで、問題は解決に向けて動き出す手応えを感じ取った。
だけど、勇んではいけない。淡い期待の光は、まだ手中に収まったわけではない。遠くにぼんやり浮かんでいるだけだ。期待値が高まっただけで、問題はまだ何ひとつ解決してはいない。

ひとつの出口は見えていた。すぐさま行動に移すこともできた。だけどいったん足を止めた。昂った気持ちにまかせた判断が、これまで最良の答えだった試しがなかったからだ。

後悔はしたくない。だから一晩アイデアを寝かせてみることにした。時間を置くことで、見落としていた重大な欠陥が見えてくることがある。そいつを見つけ、ぷちっとつぶしてから行動を起こしても遅くはない。

問題は、一晩の睡眠で得られるはずの冴えたアタマ(といっても土台が土台だから高が知れている)を睡眠不足で棒に振っているせいで、重大な問題に気づけるかどうかだ。

どうなんだろう? うまく考えられるのか?

だが、すでにそんなことを呑気に考える時間ではなくなっていた。
目覚まし時計が覚醒の知覚をゆすぶるまで2時間を切っていた。

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寝よう。少しでも。
寝坊の理由が、ネットを見過ぎて寝過ごしました、で済むわけはない。
そんなこと、ハナからわかっている。
大人の風上にもおけない欲望の導くままに行動してしまう子どもじみた自分を棚に上げて「大人なんだもの」と得意になってベッドにもぐりこんだ。

(続く)

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