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言い訳。

 そこそこの経験を積み、役職も得た。人生、達観の域に達しつつあると思っていた。
「係長、小川軒のレーズンウィッチ、差し入れいただきましたぁっ!」
『おお、そうかっ』身を乗り出す自分がいた。

 童心にかえったのではない。童心が棲みついている。人格の軸がそこにあったことにようやく気づいた。

 人は達観していくのではないのかもな、と考えた。大人ぶった衣を一枚ずつ身に纏っていくだけ。

 童心を抱えたまま涼しい顔でやっていくための言い訳。

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