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積み上げて“個”人。
教育は、量産だと思っていた。1+1は2を共有し、「文を読んでどう思うか?」の問いに、思ったこと自体が捨ておかれ、模範解答に辿り着かないと点がもらえない敷かれたレールの体制に、個は没すると思っていた。
上意下逹で、仕切る者は無条件に鼻高。教えられる下層の者は見上げる先の鼻の穴の下、ねじり鉢巻汗を流して詰め込んで、人生レースの上位に向けて尻を叩かれる。
こんなだから、社会人製造期は、出来不出来でフルイにかけられる金太郎飴量産機に思えていたのだよ。
ところが、ですよ。最近になって、考え方が変わってきてさ。本当のところは、わたしたちは頭を押さえつけられながらも、その実、隠しとおしていた本分はしたたかだったんじゃないのかなって。最初のうちは何が何だか無我夢中で言われたとおりをこなしてきたけど、純真無垢で素直な心でも、やがて芽が出る、知恵がつく。ひそかに“個”を育んでいたんだよ。
だって、ほら、人はひとりずつ違って出来上がってくるじゃない。
なぜか?
それはね。
他人知れず積み上げる感受の「心の栞」それぞれが、世界にひとつしかない蕾だったからなんじゃないのかな。そんな小さな特別が集まって個人が出来上がっていくんだもの。ふたつとして同じに仕上がるわけがない。
みすゞさんは、今、私たちが感じていることを寛容の繭で包んでくれていたよね。
みんなちがって、みんないい。
当時と違うのは、違うことの肯定をモラルからルールにしちゃったこと。感受性が受け取る話を、決まりで縛っちゃうようになったからね。ここにも上位下逹があって、見上げるとエラい人の鼻の穴がうかがえる。
もう義務的金太郎飴量産の似た者社会人製造期は卒業したんだもの。もっと信用してくれてもいいんじゃない?
もっとも、思考の芯は、とっくに出来あがっているけどね。
地はすでに「みんなちがって、みんないい」に染まってる。
わたしだけじゃない。あなたの個も、みんなの個も、もう誰にも止められない。
だから。
それぞれが胸を張って「じぶん」を積み上げていけばいい。
さあて、今年も363日積み上げてきた2021.12.29。年が明ければすべてご破算で、また1からやり直しになるけれど、溜まった「個」の積み上げにリセットは効かない。安定の我が道、進みましょ。
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