収支シミュレーションに必要な項目

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東京大家塾のクライアントからも、シミュレーション項目に関する質問をたくさんお寄せいただきます。「どのような経費があるのか」「いくらで試算すべきなのか」「税金の計算方法はどのようにするのか」などがよくある質問です。

まず、試算の方法として超概算見積もり、概算見積もり、積算見積もりの3種類を紹介します。

超概算見積もりは-50%~+100%の幅で、概算見積もりは-25%~+50%の幅で、積算見積もりは-5%~+10%の幅で試算します。

ここでは、項目別に概算見積もりで試算していきます。ご自分でシミュレーションをする中で調べていき、より精度の高い数字に出会ったら、差し替えてください。

ただ、差し替えるには自分でシミュレーションを作ることが前提です。シミュレーション項目は収入、支出、税金です。

収入のシミュレーションから見ていきます。

① 空室率

5~20%で試算します。

② 家賃下落率

0.5%~2.5%で試算します。

③ 更新料や礼金

今後の収入としては見ません。地域にもよりますが減少傾向だからです。もし、もらえたらラッキーと思うくらいでちょうどよいのです。なお、シミュレーションの原則論として「収入は少なめ」に「支出は多め」に見積もるようにします。

④ その他の項目

駐車場・駐輪場・自動販売機・携帯電話のアンテナ・電柱・通信機器の電気代・看板広告などが挙げられます。これらの収入も期待せずに、もしもらえたらラッキーと思いましょう。
次に支出です。年間分です。

⑤ 固定資産税・都市計画税

物件価格の0.5%で試算します。

⑥ 管理委託手数料

収入の5%で試算します。

⑦ 入居募集経費

戸数×年間退去率25%×家賃2ヶ月分として試算します。

⑧ 借入金返済金額

ExcelのPMT関数を使い金利2~4%で試算します。

⑨ 原状回復費

入居者が退去した後に部屋をキレイにする費用です。築年数によって変動します。築10年までなら建物面積×500円で。築11年以上の場合には2,500円×建物面積で試算します。

⑩ 水道光熱費

5,000円×戸数で試算します。

⑪ 定期清掃費

10,000円×戸数で試算します。

⑫ 損害保険料

物件価格の0.1%で試算します。

⑬ その他の支出

区分マンション(管理費・修繕積立金)、借地(地代)、エレベータの保守点検、浄化槽(維持費は1人当たり10,000円)、ケーブルテレビ(利用料:1戸あたり6,000円)、インターネット(利用料:1戸あたり15,000円)があります。

以上が支出です。

次いで、税金の試算です。

⑭ 減価償却費(建物)

土地・建物の割合を固定資産税評価額で按分して試算します。固定資産税評価額が不明な場合は類推します。

⑮ 減価償却費(設備)

建物を建物:設備=7:3(木造)または8:2(非木造)の割合で按分します。

⑯ 元金返済金額

ExcelのPPMT関数を用いて計算します。

⑰ 税金

個人は所得税等・法人は法人税等は、収入から(支出+減価償却費-元金)を引いて、税率30%(実効税率概算)として試算します。なお、ここで税額を正確に計算する必要はありません。

⑱デッドクロス分析

不動産投資の最大の落とし穴と言われる財務上の問題です。例え、収入が一定・支出が一定のままでも、税金が増えていく構造上の課題です。元金返済金額が減価償却費を上回る時期を見極めます。

⑲ 売却シミュレーション

売却価格と税引き後の手取りを試算します。税金は個人の5年以内の売却は40%、5年超は20%で試算します。法人は30%で試算します。

⑳ 大規模修繕費

15年周期で建物本体価格の10%で試算します。

いただいたサポートは更なる研究や発表のための経費とさせていただきます。よろしくお願いします。