エレーヌについて(前編)
(この note は、あくまでもフィクションとしてお楽しみください)
こんにちは、マルセル・ジュグラリスです。
フランス人男性です。ボンジュール!
このnoteを開いてくださってありがとう。今、天国からあなたに話しかけています。
私は1922年生まれなので、生きていればアラ100ですね。
ちなみに若いときはこんな顔をしていました。
さてこのnoteにたどり着いたということは、あなたは以下の3点を満たしているはずです。
・「おともたび」三保松原編を体験している
・三保松原に伝わる「羽衣伝説」をだいたい知っている
・三保松原にわりと興味を持っている
もし上記の条件に当てはまらない場合は、すぐにこのnoteを閉じてください。あなたとは口も利きたくありません。
しかし条件に当てはまるというあなた!あなたに伝えたい!
あなたがこのnoteを開いてくれるのを、ずっと待っていましたよ!!
今日は私の妻、三保松原にその名を刻む悲運の舞姫「エレーヌ・ジュグラリス」について、あなたにたっぷり自慢したいと思います。
そう、今からあなたが読むのは、天国のフランス人男性がかつての愛妻について自慢するnoteです。
あれ?
今、それを聞いて読むのをやめようとしませんでしたか?
閉じないでください!最後まで私の自慢を聞いてください!
まずは私、マルセル・ジュグラリスについて自己紹介をさせてください。
こちらが私の略歴です。
【私の略歴】
どうです?この怒涛の人生。なかなかすごいでしょう?
肩書は、新聞記者、特派員、ジャーナリスト、翻訳家、執筆家、フランス映画のPR大使、日本映画のカンヌ映画祭出品お助けマン・・・エトセトラ・・・
日本には1951年から31年滞在し、フランスと日本の文化の架け橋を長年担った功績で、日本国からこんな勲章までいただいたんですよ。
旭日中綬章(キョクジツチュウジュショウ)っていうんですけど、こんなのなかなかもらえないですよね?
ごめんなさい、私の自慢になってしまいました。
そうじゃないんです。わたしはエレーヌの自慢がしたいんです。
年表を見て気づいたと思いますが、私はかつての愛妻、エレーヌと30歳の時に死別しました。いえ、実際には彼女が不治の病である白血病に侵されてから、結婚を決めたので、かつての恋人といった方が正確かもしれません。
私の恋人、エレーヌはこんな顔をしています。
はい美人!
とっても美しいですよね?
エレーヌは1916年生まれで、幼いころからダンサーとしての修行に励み、その傍らで教職免許も取得し、物理の教師としても働くなど、当時としては大変なスーパーウーマンでした。こちらがエレーヌの3大特徴です。
私は戦時中、レジスタンス活動で投獄されていて、終戦とともに釈放され、1945年にエレーヌと出会いました。
エレーヌと付き合えた時はうれしかったですね!本当に美しく聡明な女性でしたから!そしてエレーヌと深く付き合うにつれ、彼女にもうひとつの重大な特徴が現れたのです。
新たな特徴を追加した、こちらがエレーヌの4大特徴です。
エレーヌから「能が好き」って聞いたときは、思わず
「ケスクセ!」(何それ!)ってフランス語で叫んでしまいました。
でもね、よく考えたら最初に能を彼女に教えたのは私かもしれません。私も東洋の美や哲学にとても興味があり、日本に伝わる長い歴史を持つ伝統的な演劇、つまり能の話を彼女にしていたのです。
彼女は言いました「能が好き、どうしても能が舞いたい」と。
愛する恋人にそう言われては、全力で応援するしかない!
ということで、後編に続きます!
果たして、戦後すぐのフランスで「能」の舞台を実現できるのか!?
悪戦苦闘をお伝えします!
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