糖尿病・内分泌内科に進むメリットデメリット
今回は糖尿病・内分泌内科に進んだ私が、
実際に進んでみて感じたメリットとデメリットを
QOL的な観点を交えてお伝えしたいと思う。
(内科専門医を取得後の時点で)
もちろん、私自身、他の診療科を経験したこともなければ、たくさんの職場を経験したわけでもないので、あくまでもこんな一例があったよ、というテンションでみていただければと思う。
*他の科を下げる意図は1ミリもない!
私が糖尿病・内分泌内科を選んだ理由
私が進路としてこの科を選んだ理由について。
まず、学問的に興味があったのはもちろん、
自分が希望する内科の中で比較的女性の割合が多いため、女性でも働きやすいイメージがあったからだ。
(QOLはかなり自分の中で重要!)
途中、消化器内科にも若干惹かれた(初期研修医時代に内視鏡をさせてもらったのが楽しかった)のだが、結局学問自体の面白さや緊急の多さなど総合的に判断してこちらを選択した。
外科は、というと。
学生実習の際、手術室のモニター音がどうしても苦手で向いてないと判断した。
メリット
①Joslerとの相性が良い
内科離れが進んでいる諸悪の根源、Josler。
一番大変なのが症例集めと言われている。
大学病院も市中病院も経験したが、
糖尿病内科は他科依頼がかなり多い。
それも内科外科問わず、あらゆる科から依頼が来るので、症例集めで悩むことはほぼなかった。
私の場合は他科依頼で担当医に勝手に名前を入れてokだったので、依頼先が同じ後期研修医の先生でなければ、ありがたく症例として使わせてもらった。
②緊急が少なく、日中比較的ゆとりがある
うちの科は緊急が少ない。
もちろんDKAやHHSが来ることもあるが、
病院の規模によっても頻度が変わる。
私の病院では、日中に来たDKA、HHSであれば、
ある程度夕方までに調整されているので、
指示さえ入れておけば、夜間は電話のみで済んだ。
(もちろんこれは病院次第、1日夜通し細かく調整する病院もある)
仕事自体はほぼ定時内で終わる。
これは職場によるところも大きいと思う。
今の市中病院では基本定時。
大学だと遅いと20時、早いと18時くらいだった。
日中外来や内科の救急当番にあたってなければ比較的ゆとりもあるので、私は担当した併診患者で
ささっと160個分の症例登録を作っていた。
(慣れれば10分程度で作れるので)
③手技が少ない
これは人によってはデメリットでもあるのだが、
手技が少ない(というかほとんどない)。
そのため、妊娠中に仕事の制限がなかった。
(放射線浴びる仕事や力仕事などがない)
かつ、手技がないので、職場復帰する際に、
そこまでブランクを感じずに済む(と思う)。
④治療がオーダーメイドで楽しい
もちろんガイドラインはあるが、
糖尿病の治療については新規薬剤が次から次へと出ており、その人のADLやライフスタイルに応じて、色々な治療の仕方が考えられる。
同じ患者さんでも何を優先するかでDr間でも治療が異なる場合があり、それを議論するのも楽しい。
この"オーダーメイド感"が楽しい。
血糖コントロールが悪く、不安定な患者で
治療の正解を見つけた時はたまらなく嬉しい。
デメリット
①外来が好きでない人には苦痛
糖尿病内科では外来でかなり細かく問診する。
生活習慣、食事習慣、家族歴、、、
そのため1人1人の患者との外来時間は比較的とられるし、密接に関わることになる。
(私はオリジナルの問診票を作って時短)
外来が嫌いな人には正直苦痛だと思う。
あとは治療には患者さんの協力が必要不可欠のため、協力が得られなかったりするといつまでたっても改善せず、徒労感のみが残る。
うまいこと患者さんを治療に乗り気にさせる話術は必要。
②手技が苦手
メリットで手技が少ないと書いたが、
逆に言えば、手技を苦手とする人が多い。
(もちろんできる人もいると思う)
そして、重症疾患が来た時の頼りなさ、、
(私だけじゃないよね、、?)
それでも救急当番には当たるので、毎回いろんな先生に頭を下げながらやっている。
人工呼吸器や気管挿管、CVなんて研修医以来やっていない、、、
コードブルーで呼ばれても、
正直一番にはつきたくないと思っている。
③病院内での立ち位置は低め
②のこともあり、他の科に対しての立ち位置は低め。
他の科より一般内科振り分け症例(肺炎や尿路感染など)が多いとか、当番が多く当てられたりとか。
まあ実際ゆとりはあるので、そこは仕方ない部分かと思っている。
④内分泌症例を集めるのが難しい
これまでは学会でそれぞれ糖尿病内科試験と内分泌専門医試験が設けられていたが、新制度になり、内科のサブスぺ領域として両者が合体した。
これにより例えば糖尿病内科の専門医だけほしいと思っていた人も必然的に内分泌内科の症例を集めなくてはならなくなった。
しかし、内分泌症例(甲状腺以外)は大学病院のような大病院でないとなかなか見る機会が少ない。
そのため、後期研修のローテをする場合は連動研修可能な後期研修2年目以降(医師4年目以降)に大学病院を回らないと症例が集まらない可能性がある。
まとめ
自分は今の科を選んで後悔は全くしていないので
(Joslerがあったとしても)
QOLも大切にしたい内科希望の人にはおすすめ。
ただ、他の科に比べ、緊急に弱くはなるので、
いかに上手く頭を下げて他の科の先生と関係を良好に保つのが重要になる。
もちろん患者の治療も患者の協力がかなり大切になるので、患者との関係性も大事にする必要がある。
そういう意味では、"人付き合い"が上手い人向けの科かもしれない。
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