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今年良かったコンテンツ2021

今年も残すところあとわずか、毎度半ば備忘録として残している良かったコンテンツの1年の総括。思いついたものから雑に紹介していこうと思います。「これ良かったから是非見てみてくれ!」という布教的な目論見もあるので気になったものがあれば調べてもらえるとありがたし…。

■FINAL FANTASY XIV: ENDWALKER 暁月のフィナーレ

ある程度時系列で振り返っていこうと思ってましたがダメでした。なんてったってこれを書いている今も、暁月のフィナーレの余韻の渦中にいるのだもの・・・。
知らない方に向けて説明すると、FF14というのはMMOというジャンルのゲームでして、インターネット上に24時間構築されている世界に、大人数が入り込んで戦闘したり生産したり生活する、というようなゲームなのです。今回のこの「ENDWALKER」という拡張アップデートでは運営8年継続的に追加されてきた、コンテンツの中核を成すメインストーリーが、「ハイデリン・ゾディアークサーガ」として完結を迎える、という内容だったんですね。
あらゆる事がネタバレになるので突っ込んだ事が何も言えませんが、ざっくり言うとプレイ歴6年のそのすべての冒険の軌跡を祝福してくれるような内容になっていたんですね~。「最後なので盛大にファンサービスを。」って内容を見て、MCUで言うところのエンドゲームだなぁなんて思ったりしました。
FF14のストーリーは骨太で良いですね。こう、「消費されること」に特化したコンテンツとは一線を画すというか。いろんな思いを込めて全力で作られているのがひしひしと伝わってきて、私も1滴も余さず全力で楽しもう!と思うことしきりでした。
シナリオ、演出、デザイン、グラフィック、そして音楽。全てが素晴らしい大傑作でした。

■ゲームさんぽ

開始当初から熱心に見ていた「ゲームさんぽ」
今年も凄く興味深い話が聴けて大変面白かったです。
特にCD PROJEKT RED(cyberpunk2077の会社)所属の榊原さんのお話が本当に興味深かったです。ゲーム制作の裏側の深い内容の数々、そういうカンファレンスでないと聞けないぞ、という専門的な内容になっていて良かったです。
ゲームのエンバイロメントアーティストは私の仕事にも直接かかわる部分だったので、非常に刺激となりました。
あと、榊原さん、それから建築の八馬さん、ギリシャオタクの藤村さん等の話を聞いていて、「本当に人生を豊かにするのは知識や歴史を”趣味”の視点で弄ぶこと」なんだなぁと思います。こういうウィットに富んだ話ができる大人になりたいなぁ。

■シン・エヴァンゲリオン劇場版

終わる事自体がほとんど奇跡に近い、というような感覚はシリーズをずっと追ってきた人ほど共通の認識として強いと思います。
そんなエヴァが2021年に堂々完結。それも最高で完璧な着地を決めてくれたとあれば、年間ベストコンテンツに選ばないわけにはいかないでしょう。
エヴァといえば、私にとってもはや一つのIPというより「人生の一部であったもの」と言えるほど感性に影響を受けたコンテンツでした。そのくらい人の深い部分に影響を与えてきたシリーズだからこそ、並大抵の終わり方では誰しも納得できなかったはずです。シンエヴァはそういう期待、社会現象をも作品の内側に取り込んで、あらゆる要素を「終わり」に導いてくれました。映画ですら連続ドラマ化する昨今、暁月のフィナーレと並んで「終わること」の大事さについて改めて考えさせられたコンテンツだったと思います。

■VOY@GER

エヴァといえば、作画監督を務められていた錦織敦史さんが監督となったVOY@GER。アイドルマスターシリーズ15周年を記念して作られたコンセプトムービーである本作。短いながら映像的なインパクトでは今年観たなかでトップクラスの衝撃でした。というのも、カメラがぐりぐり動きながら15人がキレキレに踊っている様子を、なんと全編手描きで作られているということ。手描きでしか出せない可愛らしさや美しさが随所にあり、とても見ごたえがありました。技術的には3DCGがフルに活用されていると予想しますが、そのあたりCGWORLDとかで特集されないかな。

■サイダーのように言葉が湧き上がる

(すでにfilmarksにレビューを書いていたのでそこから引用)

大傑作でした。"ニューレトロ"と評すべきか独特な画作りがポップで好きだった。ショッピングモールを舞台に選んだのも、どこか懐かしい、バブルの名残みたいなものを想起して、センスがあるなぁと思った。
スマホに映る自分の出っ歯を見てひどく顔を歪ませるシーンだったり、映像的に凄くアイデアが溢れていて見ていて飽きなかった。
牛尾さんの劇伴も、モダンだけどちょっと懐かしくて不思議な印象、それから「現実に地続きでどこかにある田舎と、その箱庭感」みたいなものを音楽から感じて凄く良かった。
ちょっと筆舌に尽くしがたいのだけど、とにかく爽やかでサイダーのような、良い映画でした。

■オッドタクシー

とにかく脚本が素晴らしいというのはもう周知の通りだと思います。今年の良かったテレビアニメと言えばいの一番に名前が挙がるのがこのオッドタクシーでしょう。「ばらばらな登場人物のエピソードがやがて一つの結末に集約していく群像劇」という立付けが私は大好きなのですが本作もそうした系譜の一つだと思います。自分の考えの深いところに何かフィードバックがあるかと言えば微妙ですが、あっと驚く仕掛けがあったり、エンターテイメントとしては間違いなく超一級であると思います。

■SSSS.DYNAZENON

テレビアニメで言えばダイナゼノンも結構熱心に見てました。シンプルにただ一言、ヒロインが可愛い!

■Twitch及びストリーマー文化

今年は日本のストリーマー文化の存在感が飛躍した年だったんじゃないかな。もともと私は去年まで暇な空き時間等はVtuberのコンテンツを結構見ていましたが、今年はTwitchのストリーマーの配信をよく見ていました。
きっかけはにじさんじのVtuberの方を交えてStylishnoobさん界隈の人たちが「Golf it」をやっているのを見て、このおじさん達面白いぞ、と思ったことでした。

そこから派生してSHAKAさん、SPYGEAさん、k4senさん、ボドカさん等の配信を見るようになりました。
彼ら、プロゲーマー出身だったり、ゲームの手腕で有名になった方ばかりで、「ゲーム体力」が尋常じゃないんですよね。例えばAPEXの大会などでも、純粋にプレイで魅せてくれるんですよね。そこが新鮮で楽しいなと思いました。
あと面白いのがstylishnoobさんに端を発する「2次会文化」
大会等の後に参加者で集まって2次会と称してゲーム配信等をするわけですが、毎回「いかに起きていられるか」というチキンレースになるんですね。ひどいときには24時間ぶっ通しで配信を続けたり・・・。
あまり無茶しないでほしいなぁと思う反面、まだまだ下らないことに全力でいてほしいなぁと思います。

■たそがれメモランダム

結構前の漫画だけど、久しぶりにいい漫画に出会えたな!と感じたのが本作。基本的に緩やかな日常を描きつつ人の心の機微を鋭く描く、というようないわばARIAの系譜だと思います。本作は広島の横川を舞台にしていて、学生時代に過ごした場所がばんばん登場することも推しポイントの一つでした。同作者の「モブ子の恋」に至っては、主人公が一人暮らししている地域が、大学時代借りてたアパートと番地レベルで近かった、というのが凄く新鮮な体験でした。田村茜さんは長くフォローしていきたい作家さんとなりました。

■やさしいヒカリ

今年読んだ漫画の中だとこちらも非常に好きでした。こちらも緩く日常が移ろっていく様子を描いていて、自分の好みってこういうところだよなぁと思いました。(そもそも学生時代のバイブルがARIAだからなぁ。)
中村さんの漫画を読むと、"彼氏彼女"でもない"友達以上恋人未満"ともちょっと違う、「名前のついていない関係性、距離」を描くのがとても上手な方だなぁなんて思ったりしました。

■縁の手紙

LINEマンガで連載されていた韓国の作家さんチョ・ヒョナさんの著書である本作。表紙から既にキマっているように確かな画力と空間設計、レイアウトがすさまじく秀逸で、とても良かったです。フルカラーなこともあってバンドデシネの風合いがあります。また、話についても(所謂)ジブリ的なちょっと不思議なファンタジーという感じで読みやすかったです。
何やら本国では長編のアニメ化が決定しているらしく、アニメ界隈を賑わす話題の一作になると予想しています。

■AECANE

向こう5年は超えられないであろうと誰もが思った傑作、スパイダーバースにひっ迫するクオリティの映像表現がこんなに早く登場すると誰が予想したでしょう。League of Legendsでクオリティの高いPVを作ってきたチームによる初のドラマシリーズである本作。どこで止めてもコンセプトアートかの如くキマりにキマった画面構成、油絵的なタッチでぐりぐり動く3Dキャラクター、綿密に描き込まれた背景。えげつないクオリティで頭の中を直接殴打されるような良さがありました。ちなみに言うと映像表現だけじゃなくてストーリーも骨太で良いです。登場人物の個々のエピソードが有機的に絡み合って一本のストーリーになっていて、良かったです。

■星宮とと+TEMPLIME

今年は割と雑にfuture bassとかクラブミュージックを聴いて過ごす、みたいなことが多かったですが、振り返ってみれば星宮とと+TEMPLIMEのアルバムを一番長く聴いていたみたいです。何が良いって言葉で説明できないけど今年の自分のモードにすごくフィットしていたんだろうなぁ。「イレイサー」「cloud tears」「タイムサーフ」あたりが好きです。

■総評

今年は「クロスオーバー」と「マルチバース化」が加速した年だったと感じています。例えばストリーマー界隈だと有名youtuberやVtuberや芸能人、プロゲーマーやイラストレーター等、本来交わらないはずの界隈の方がapexの大会等で一堂に会す光景。映画で言うとMCUなどは言わずもがなですが、マトリックスやDUNEをはじめ「過去のコンテンツを参照して、現代の要素とミックスする」というのがもはやスタンダードとなりました。facebookがmetaに社名を変え、「メタバース」という言葉がネットニュースを賑わせるようになった事も、「本来交わらなかったはずの世界がクロスする」という昨今の潮流の一つとして見れそうです。
クロスオーバーは確かに"エモい"です。スマブラだって、ソラと任天堂キャラが並んでいるのを見て言い知れぬ感動を覚えた人も多いはずです。その半面、こんなに雑に消費していってもいいのか、とも思います。ここらで一度立ち止まって「創作物に本当に求めていることって何だろう」という事を見つめなおすべき時なのかもしれません。

また、それとは別に個人的な話をすれば、今年はやはり人生の一部であるFF14とエヴァがいったんの完結を迎えたことが、存在感として非常に大きかったです。来年以降もこうしたコンテンツと同じように、自分の深いところに長く刺さり続けるコンテンツに出会えるといいなぁと思います。

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