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#40絵を描く。 世にも奇妙なグレーの世界-⑤交通ルール編

凸凹発達の9歳息子の絵を展覧しています。

言葉の壁が厚い彼にとって、絵を描くことは、自身を表現するための1つのツールになっています。

A4コピー用紙にせっせとしたためた絵を
今回も『グレー世界の奇妙な難題』と供に展覧します。

▼『グレー世界の奇妙な難題』シリーズ
・序章 #36
・時間編 #37
・季節編 #38
・色編 #39 

今回は【交通ルール編】です。


まもなく3年生も終わりを迎えます。
今年度を振り返れば、
昨年度よりも安定してきた感じもあり、
母として少しばかり気を楽にして過ごせた 良き1年でした。

1年前に比べると、言葉の理解も格段に伸びて、ようやく、それらしい簡単な言葉のやり取りを楽しむことができるようになりました。
この成長は喜ばしい反面、また違ったフェーズの困りごともでてきましたが…

その話はまた今度にしておきます。

願わくば、
4年生も今年度同様
安定した生活を送れるように
新年度も変わらず伴走し、陰ながら見守って行きます。

さて。
世にも奇妙なグレーの世界シリーズは
『信号機編』です。

※※※※※
悩ましき 黄色信号

交差点 by.息子9才

朝の登校時に
交差点の黄色信号を気にし始めたのは
3年生1学期頃。

大きな交差点の信号が切り替わる様子を
交差点を曲がっても、振り返りながら
見えなくなるまで確認をします。

黄色信号の一体何がそんなに気になるのか。

息子「黄色は短いねぇ」

確かに。
赤や青よりも随分と短いのは
交通ルールの常識です。

私的には 
黄色はすぐに切り替わるため
気に留めるほど記憶には残らないモノだ
と思っていましたが…

つい最近まで2択(白黒)で世界ができていた息子。
3年生になり、3択目であるグレー世界の入口に ようやく立った彼にとって、
他よりも短い時間で切り替わる『信号』は
見逃し難い大きな謎なのでしょう。

そんなわけで
『赤信号』や『青信号』とは明らかに異質で目立つモノとして
『黄色信号』というグレー世界が
毎朝の交差点より突如、浮かび上がってしまったわけです。

長い信号と短い信号 by.息子9才

困ったのは 車に乗車中の時のこと。

息子「あー!黄色だよ!待って!
   ちょっと止まって!!
   見てるかねぇ。黄色好きだよねぇ。」

大きな声で言うもんだから、何事か!?と
ドキッとする時があります。

もちろん、車の場合は黄色信号を見るために
交差点に居座るわけにも行きませんので
息子の希望は叶いません。

スルーも何回か続くと、
息子の勝手なるマイルールからは
どんどんかけ離れるため

息子「黄色は短いね。ねぇ、短いよね?」
   「黄色は短いのダメだねぇ?」
   「黄色はやだよねぇ?」

などと 不安と怒りで
黄色信号の質問連投が始まります。

この新しい事象に対しての解決は
本人が『納得』することぐらいしかないため
一連の件は 数ヶ月続きました。

カラフル道路 by.息子9才

そうなると。

次に現れるグレーな世界は…

そのルールです。


息子「青は〜進め。赤は〜止まれ。
   黄色は?母ちゃん黄色は?」

私 「黄色は 止まれだよ。」

黄色信号の基本は 止まれ
ということを習った息子は、
答えを知っていても 私に問うてきます。
多分、自分の思っている答えが返ってくるのが面白いのでしょう。

何度も同じやり取りをしながら、
毎朝の登校をしていた3年生の2学期。

このルール…
グレーな世界の 若葉マークである息子にとっては 難儀な厄介者です。

実際には、黄色でも止まらずに進む車もよく見かけるものでして…。

ルールがあっても 止まらずに進んでいる
ナゾの状況を 見逃すわけがない息子。

一体何事か!?由々しきこと起こっている!

と なると…始まるのは
何度も繰り返す 確認の質問です。

息子「黄色は止まれでしょ。ダメだよねぇ。
   ねぇ?母ちゃん?止まれ?」

その通りです。
でも、車は急には止まれないので、
停止線を越して交差点に進入していたら
進んでもセーフなのです。
ということを、少し端折って

母 「黄色は止まれ。でも。
  急に止ったらぶつかって危ないから
  進んでもセーフ。」

信号機さん気をつけてね by.息子9才


この『セーフ』というワードは
思いの外 お宝ワードでして
グレーな世界に直面し 不安定になった息子に 思いもよらなぬ効果を発揮してくれています。

以前は『大丈夫』という言葉をつかっていましたが、
大丈夫じゃないよ! と反撃することも覚えた息子。
グレー世界の新しい事象を『納得』するためのワードとしては
あまりに聞き慣れすぎたため
納得感に欠けてしまったのでしょう。

そんな中
なんとなく思いつきで放った新たなワード『セーフ』について

息子「 ? ?
   黄色はセーフ??セーフなの?」

と聞き慣れない言葉に
気持ちも切り替わるようで
自分なりに『セーフ』と『曖昧な事象』を結びつけようと
思考を巡らせているようです。

以前
#36グレーな世界『時間編』でもあった
時間がない!間に合わない問題にも
『セーフ』ワードは力を発揮してくれました。

私的には、言葉が変わっただけで
『大丈夫』も『セーフ』も
ほぼほぼ 同じような意味で言っているのですが…

息子的には、
奇妙なグレー世界を捕らえるために必要な
手掛かりのようなモノになっている様子です。

お宝ワードのおかげもあって
3年生3学期の登校では、
交差点の信号はたまに振り返って見る程度で
もう黄色信号の話題も出なくなりました。


飛行機の絵の切れ端より by.息子9才


『〇〇だけど、△△でもセーフ!!!』
という 白黒はっきりしないこのフレーズは
政治家の常套句 「記憶にございません」のように
モヤっと煙に巻かれたような
そして どっちつかずで ずるいような

使うのに ちょっぴり 引け目も感じてしまいますが…

お宝は 使ってなんぼ!
持ち腐れのないよう 旬を逃さず使います。

必殺フレーズは
「グレーな事象には 『セーフ』を使う!」
「グレー世界にはセーフ」
「グレーはセーフ」
「グレーと言ったらセーフ」

なんか語呂がしっくりこない…
もう少し キャッチーな感じが欲しいな…
 

そして

ふと思い浮かんだのは…あのキャッチフレーズ。

「ゴホン!といえば龍角散」

シンプルながら語呂も良く
覚えやすいキャッチーなフレーズだなぁと
感嘆した次第です。

ではでは。

クレーン車とくつ下ニンジン by.息子9才

▼世にも奇妙なグレー世界シリーズ
↓序章

↓時間編

↓季節編

↓色編


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