世紀末と言われるこの時代に、今・・・ギリシャ神話が新しい!

今、ギリシャ神話が新しい。「古事記」や「日本書紀」などの日本の神々の神話と異なり、ギリシャ神話は原典があるわけではない。

ホメロスの「イリアス」や「オデュッセイア」、ヘシオドスの「神統記」や「仕事と日」などを紐解き、その源を掬い取るしかない。

ギリシャ神話は現代の教科書

しかし、ギリシャ神話には今の地球環境や社会情勢など、私たちが身につまされたり、教訓とするべきことが多く含まれていることに気づかされる。

人類創世の話からは、様々なことが学び取れる。ギリシャ神話においては、もともと人類は男しか存在しなかった。それが女性の出現によって、争いが起こるようになり、世界が変貌する。その女性は「パンドラ」という。と言えば、皆さんは「パンドラの箱」の逸話を思い出すだろう。

ギリシャ神話においては、人間は神々と同じように病を知らなかった。そして神々と同じように自然界からの恩恵を受け、労働という労無くして生きてゆくことができていた。しかし、一度神々からはく奪された「火」を再び手に入れたあたりから、少し様子が変わってくる。火は、明るさや発明、料理などを人間に与えたが、同時に兵器を作る術を与え、争いを巻き起こすことになる。

それらの話もとても象徴的に描かれている。

人類を創り出し、人間に味方した神プロメテウスの逸話も興味深い。全能の神ゼウスとの駆け引きの中で、人間は牛の肉の部分を得ることになるが、それは人間が「肉=腐ってゆく」、すなわち滅びるもの、であることを決定づけた出来事となった。反面、神は骨を選び、不滅を手にする。この辺りの目先だけにとらわれるところも、私たち人間への教訓となっていることに気づかされる。

以上のようにギリシャ神話は、古くて実は新しい、まさに今の時代に私たちに警鐘や教訓を与えてくれる宝の玉手箱ともいえるのだ。

このような話を、独自の解釈でオリジナル脚本として書き下ろして、朗読劇にしたのが今回、芝公園のアートスペース・ブランコで行われる「ギリシャ神話の調べ2019」である。

きっと、皆さんもその中に、それぞれの神話の教えを見つけることができるに違いない。

http://art-blanco.com/greece2019/


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