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明日はクイーンズ駅伝

明日、令和3年11月28日(日曜日)は、宮城県で『第41回全日本実業団対抗女子駅伝競走大会』が開催されます。

近年は『クイーンズ駅伝』の愛称で呼ばれています。

3連覇を狙う『JP日本郵政グループ』と、初優勝を目指す『積水化学』の争いが注目を集めていますが、両チームを含め、多くのチームがベストな状態で大会に臨むことができなかったのではないかと、オーダー表を見て感じました。

JP日本郵政グループ

3連覇を狙う『日本郵政グループ』は、今年開催された東京オリンピック代表の2選手を前半に配置し、先行逃げ切りを図るオーダー。

『第1区』を任されたのが、マラソン代表の鈴木亜由子選手。

本来ならば、10km以上の長い距離を走る『第3区』か『第5区』を任される選手ですが、故障を繰り返しながらもオリンピックのマラソンに照準を合わせていただけに、まだ蓄積した疲労が抜けきらないのかもしれません。
しかし、駅伝で優勝を狙うチームは序盤から遅れるレースは避けたいところで、『7.6km』と全6区間中3番目に長い距離でもある『第1区』を経験豊富な鈴木選手に託したといったところでしょうか。

続く、最も短い『3.3km』の『第2区』に、積極的な走りが持ち味のルーキーの小坂井智絵選手を配置し、オリンピック『10000m』で7位入賞、『5000m』は日本新記録を出し入賞まであと一歩の9位と活躍した廣中璃梨佳に、『10.9km』と最長距離のエース区間『第3区』を任せています。

『第3区』までで、流れに乗れていれば、外国人選手が唯一エントリーできる『第4区』を任されたルーキーながら、高校時代の実績十分の三原梓選手が、『3.6km』の短い距離を駆け抜けていきそうです。

『第5区』は、『10.0km』と『第3区』に次ぐ長い距離を走る区間で、昨年は鈴木選手が任されましたが、今年は入社4年目の太田琴菜選手。
『5000m』では、15分33秒台のベストを持っていますが、『10000m』のベストタイムは33分台と実績に乏しいので、プレッシャーのかかる中、この区間いかに凌ぐかが、3連覇にとって重要となってきそうです。

アンカー『第6区』の『6.795km』は、昨年区間賞を獲得し、2位以下を引き離して2連覇のゴールテープを切った大西ひかり選手が今回も任されており、監督としては先頭の見える位置でタスキをもらえれば何とかしてくれると考えているかもしれませんね。

積水化学

初優勝を狙う『積水化学』は、『JP日本郵政グループ』同様に、東京オリンピック代表選手2人がエントリーしていますが、昨年『第3区』で圧巻の走りを見せた新谷仁美選手が、オリンピックの重圧からか、昨年のような走りを今季見せることができていないのが気がかりです。

今年は『第1区』に、昨年『第5区』で悔しい逆転を許してしまった森智香子選手を起用。
『3000m障害』を主戦場としている選手で、昨年は長い距離への対応が出来なかった感が否めませんが、一斉スタートの『第1区』では、障害レースで培ったペースの上げ下げに対応できそうです。

続く『第2区』は、東京オリンピック『1500m』で予選敗退ながら、大きく自己記録を更新した卜部蘭選手が2年連続起用されています。
昨年、同区間区間賞で、新谷選手に勢いをつけてタスキを繋いでいるだけに、前後の区間の選手にとっては頼もしい限りではないでしょうか。

エース区間の『第3区』には、新谷選手に代わり、昨年『第1区』で区間3位と好スタートを切った佐藤早也伽選手が起用されました。
フルマラソンでも好成績を残しており、長い距離への不安は少なくなっていることと思います。

カギを握るのが『第4区』を任された入社2年目の弟子丸小春選手でしょうか。
スピード区間のこの区間で、競っていた場合、いかに自分の走りに集中できるかがポイントとなりそうです。

今年は、裏エース区間の『第5区』に回った新谷選手も、駅伝となれば、個人レースとは違った強さを見せてくれると、一ファンである私個人的には思っています。
他チームが、この区間にベストな状態の選手を送り込めていないこともあり、多少調子が悪くても区間賞を獲得してくれると信じています。

アンカーを任された入社2年目の木村梨七選手は、高校時代の切れを取り戻してきており、先頭あるいは先頭が見える位置に居れば優勝のゴールテープを切る可能性が高いと思われます。
仙台育英高出身で、地元での初優勝を飾れるか楽しみですね。

資生堂

予選会である『プリンセス駅伝』を制して、一躍優勝候補に上がってきた『資生堂』は、予選会のメンバーから外れていた五島莉乃選手がメンバーに復帰してきました。

『第1区』から『第4区』までは、『プリンセス駅伝』と同じ、木村友香選手、樺沢和佳奈選手、佐藤成葉選手、ジェプングティチ・ジュディ選手。

『プリンセス駅伝』の『第5区』で区間賞を獲得したベテランの高島由香選手をアンカーに起用し、五島選手を『第5区』に起用したのには、高島選手がこのレースで競技人生に一区切りをつけてしまうのでないかと思ってしまいました。
勝負区間を『第5区』ではなく、アンカー『第6区』と読んでの起用かもしれませんね。

デンソー

指導体制が変わり、若手選手中心の元女王『デンソー』が侮れないと思っています。

『第1区』を任された新人の酒井美玖選手は、小柄ながら力強い走りが持ち味で、粘って上位でつないでくれるようなら、チームに勢いをつけてくれそうです。

高校の後輩からタスキを渡される『第2区』の矢野栞理選手は、昨年『第1区』で区間8位と上位でタスキを繋いでおり、移籍後入社2年目ながらチームではベテランで安心して任せられる選手。

エース区間の『第3区』を任された矢田みくに選手は、まだ22歳と若い選手ですが、『5000m』で15分19秒台、『10000m』で31分34秒台と、日本トップクラスの持ちタイムを持っており、勢いに乗った時の強さには定評があり、昨年も同区間5位と好走しているだけに注目です。

『第4区』は、これまでレギュラーだったロバ・ゼイトナ・フーサン選手から、代表の座を奪った20歳のブカ・デスタ・ブルカ選手の走りに期待。 
どちらも、エチオピア出身の若い選手ですが、一緒に練習できるのが強みですね。

『第5区』は昨年に続き、21歳の小笠原朱里選手が任されました。
入社1年目にエース区間の『第3区』を任されており、昨年は裏エース区間の『第5区』に回ったものの、区間2位と快走を見せています。
なかなか高校時代の実績を乗り越えられずにいますが、その素質は矢田選手に引けを取らない存在です。

アンカーは『京セラ』から移籍してきた松田杏奈選手が任されました。
入社1年目ながら、27歳と今回のメンバーで最年長で、2区の矢野選手と共に移籍組ではありますが、若いチームにとって頼れるお姉さん的な存在ではないでしょうか。

ワコール

『JP日本郵政グループ』、『積水化学』と同様に、今年のオリンピック代表2人が名を連ねているのが、昨年4位の『ワコール』。

前回大会を駅伝ラストランと発表された日本長距離界のレジェンドの一人である福士加代子選手が、今回登録メンバー入りしていたことで、ネットがざわついていましたが、万が一大会当日に6人のメンバーを揃えることが出来ない時の為と、そんな苦しいチーム事情の中で、メンバーを支える精神的な柱としてエントリーされたのかもしれませんね。

『第1区』に『10000m』オリンピック代表の安藤友香選手、エース区間の『第3区』に『マラソン』オリンピック代表の一山麻緒選手と、昨年と同じ区間に東京オリンピック代表を配置してきましたが、正直優勝争いに加わるのは厳しいと言わざるを得ません。
昨年、スタートダッシュに失敗した安藤選手が、いかに上位でつなげるかが、『クイーンズ8』の座を守るためには必要不可欠となってきそうですね。

『第1区』に注目

今年は例年以上に『第1区』に注目が集まりそうです。

今年の東京オリンピック代表が、先述の鈴木選手、安藤選手の他に、『5000m』代表の萩谷楓選手(エディオン)もエントリー。

『プリンセス駅伝』での激走が印象深い木村選手に、後半の遅れを恐れず積極的に先頭に食らいつく兼友良夏選手(京セラ)、調子の良い時のラストの切れ味が鋭い岡本春美選手(ヤマダホールディングス)と横江里沙選手(大塚製薬)、ロードレースの実績のある酒井選手、大森菜月選手(ダイハツ)、荘司麻衣選手(ユニクロ)、出水田眞紀選手(第一生命)、マラソンを走れる谷本観月選手(天満屋)等々、区間賞争いも楽しみです。

萩谷選手が、勢いに乗っており、スピードもあるので、萩谷選手が前に出たときに、どのように対応するか迷ってしまうと、本来の力を発揮できない選手も出てくるかもしれませんね。

萩谷選手は、入社後3年連続で『第1区』起用となりますが、前々回が4位、前回が6位と区間賞を逃しているだけに、今回は絶対に区間賞をと燃えているのではないでしょうか。