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衝撃的な快走!!

今日は、『第39回全日本大学女子駅伝対校選手権大会』が宮城県で開催されましたね。

『第1区』はスローペースから、後半のスピード勝負となりましたが、史上2校目の『5連覇』を目指す『名城大』の山本有真選手(3年)が区間賞を獲得すると、ゴールデンアスリートにも選ばれた経歴を持ちながらも、今季で陸上競技から退くことを発表した『第2区』の髙松智美ムセンビ選手(4年)が、自身の持つ区間記録を19秒更新する快走で、1度も先頭を譲らない完全優勝での『5連覇』達成に貢献しました。

『第5区』のエース区間を任された、『10000m』の日本学生記録保持者の小林成美選手(3年生)が区間3位と、『立命館大』以来の『全区間区間賞』での優勝を逃したのは悔しかったでしょうが、それが次回以降のモチベーションとなると思いますので、小林選手は今回の悔しさを忘れないで頑張ってもらいたいところです。

『第5区』の激走!

ところで、『全区間区間賞』での優勝を阻んだ選手は誰かというと・・・、『拓殖大』のスーパールーキーの不破聖衣来選手(1年)でした。

『大東文化大』の鈴木優花選手(4年)の4年連続の区間賞をも阻んでの区間賞獲得でした。

その走りが圧巻でした。

『第5区』は9.2kmと最も長いエース区間で、区間2位の鈴木選手も初の『28分台』突入となる区間新記録『28分59秒』をマークしましたが、その鈴木選手のすぐ後方まで追い上げてきた不破選手のタイムは『28分00秒』!

これまでの区間記録を1分14秒も更新する快走です。

9位でタスキを受け、3位まで順位を上げ、チーム初の表彰台に貢献する激走でした。

目標となる選手が前にいる好条件ではありましたが、いかに今回のタイムが凄いのかというと、前回大会で区間記録を出した加世田梨花選手(当時・名城大4年/現・ダイハツ)、鈴木選手、小林選手の3選手は、『10000m』で31分30秒前後の日本トップクラスのベストタイムを持つ選手で、その選手たちがマークしたタイムを約1分も上回った点です。

ロードレースとトラックレースのタイムは一概に比較できませんが、今回のタイムを『10000m』に換算すると、『30分26秒』!!

昨年の日本選手権で新谷仁美選手(積水化学)がマークした、『10000m』の日本記録『30分20秒44』に近しい走りを見せたことになります。

今年は、大学進学で環境も変わり、貧血等でシーズンを通して完璧な練習が積めたとは言えない状況での快走は、まさに異次元の走りでした。

中学時代から積極果敢に先頭に立ち、独走でも速いペースを作れる日本トップクラスの選手でしたが・・・。

早生まれの選手なので、来年までジュニア資格を有しており、『5000m』や『10000m』で、ジュニア日本記録の更新を期待していた選手ではありましたが、ジュニアの域を超える記録も狙えそうですね。

今後の日本女子中・長距離界はどうなる?

昨年までは、一度は競技人生から離れた新谷選手の活躍もあり、ベテラン選手が強さを見せていた日本女子中・長距離界ですが、今年の東京オリンピックには、20代前半の田中希実選手(豊田織機TC)や廣中璃梨佳選手(日本郵政グループ)、萩谷楓選手(エディオン)、山中柚乃選手(愛媛銀行)が選ばれ、田中選手と廣中選手が入賞するなど若い選手の活躍が目立つようになってきました。

それでも、先週の『プリンセス駅伝』では、経験の豊富なベテラン選手勢の快走も見られ、日本の女子中・長距離界は、過去最高水準と言って良いほど充実してきています。

シューズの機能向上等の要因もあるかもしれませんが、世界から取り残されていた長い低迷期を抜けた感じがします。

東京オリンピックが1年延期での開催となったため、来年、再来年と連続して『世界陸上(世界陸上競技選手権大会)』が、その翌年には『パリオリンピック』が控えています。

1997年にアテネで開催された世界選手権の『10000m』で千葉真子さん(当時・旭化成)が銅メダルを獲得して以来の、ワールドクラスのトラックレースでの日本女子メダリストが誕生する日が来ることを願うばかりです。