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チャラ男の望月

最近やんごとなきお方と結婚した男性に嫌悪感を感じる人は多いと思います。その理由はそれほど様々でなく、焦点は絞られいてるでしょう。過去数年間の一連の出来事を思い起こして結論付ければ、彼は表面キラキラしていればそれでいいだけの単なるチャラ男だ、ということです。婚約中は海外で矢面に立たずやんごとなき方に全て丸投げ。結婚会見でも、愛だのすべったのと言いたい放題言って、全部人のせい。彼が真実に直面し、真摯な態度で対応していれば嫌悪を感じる人も少なく、かえって応援してくれる人が増え、この先の人生見通しが明るくなったことでしょう。そもそもどうしてこんなことになったのか...。私は彼らの読みが浅かったのだと思います。

世間では女性宮家だの女系天皇などと騒がれていますが、伝統にのっとり、かのお方も結婚で帝の一族をお出になる旨承知していたと思います。一旦一族を出て普通の人になっても、家族としても絆はあるでしょうから、それ相応のお付き合いもあるだろうし、それによる人脈的な便宜なども図られるのでしょう。金銭的な面は知りませんが、公表されずともプチ持参金や隠れお支度金、秘密の遺産のようなものもおありでしょう。ですから、結婚後は自由自在、適当にお金もあり、プチセレブのような身分は想像していたでしょう。第一、普通の夫婦が結婚生活の大部分の時間直面する問題は住宅に関するローンです。それがないだけでも生活に余裕は生まれ、あくせくしなくても楽しく生きられるはずです。それなのにどこでどう間違ったか、婚約したいと言った瞬間から二人の行く手は茨と暗雲で覆われてしまいました。

もちろん問題は彼の方に起きたわけですが、彼の家族の問題は今はおいておきましょう。じゃあ、彼は一体何者? よく知りませんが、大学卒業後は就職もしてかなり当たり前のことをしていたように思います。社会人としてどこどこ大学の大学院にも通っていたとか。社会人で、しかも継続してお勉強もして。それなのに突拍子もなくどこかのお国の弁護士資格を取りたいというような話がどうして出てきたのでしょうか。それは一体何のためだったのでしょうか。第一、法学部も卒業していない人がなぜ弁護士になれるのか? こういう風に見ていくと彼という人間が見えてくる気がします。

まずいかにも本気で何かにチャレンジしたことがない人という印象。かっこいいからやっちゃおう、あ、できちゃった、ということが彼の人生には重なったのかもしれません。だから軽い気持ちでやってもうまく行っちゃう。そんな風に自分のことをラッキーパーソンだと考えているのでしょう。きっと、やんごとなき方ともそのような感じで接触したところうまく行っちゃったんでしょうね。

しかし、今日の彼は既婚者で、まだ働けるかもわからない奥様がおり、恐らく奥様側の潤沢な資金で住まいが供給され、何でもかんでも特別待遇を受け、それを拒否するでもなく、ありがたいでもなく、当たり前のように享受している印象があります。彼の表情は決して恥じていない、返って、安っぽいセレブの表情が見て取れます。

しかし、これは、海外生活の長い私から見ると、どこかで見た風景です。海外では主夫がかなり多いのです。もちろん、主夫ならば、奥様が相当いいところで働いているか、高い地位についているか。よく見るのは女性外交官の夫です。しかし、夫婦に子どもがいれば、家のことはやはり誰かがやらなければならず、夫と妻のキャリアや収入を天秤にかけて、相談の上、主夫が誕生しているようです。このような主夫には最近結婚された彼と共通する表情は全くありません。問題はまじで何もやっていない夫、チャラ夫です。これにはチャラ女のパートナーがいるという特徴もあります。夫婦そろって働かず、親が丸抱えで面倒見ているケースです。しかも意外と多いのです。チャラ女の親が裕福で、邪魔にならない限りチャラ男も面倒見ているような風景です。彼の表情はまさにこれらのケースの男たちに合致します。

ではなぜこんなことが起きるのでしょう。ずばり、二つの要素があります。一つはチャラ女の親が甘い。もう一つはチャラ男に何ら特技も信念もなく、♪諸行無常~♪とか、♬水の流れのように~♬とか、流れに身を任せ、おちゃらけでやってみたことが、たまたまうまくいったりして、それで勢いに乗る、そういう日和見主義、お調子者タイプの人を夫にするということです。この二つの要素が重なるとどうもあのような表情をしてお手柄のような得意顔になるように思います。

こういうことは海外では多く、とくにラテン系の国々では美しいチャラ夫をよく目にします。だから、同様の真理であれば、新婚直下の彼は今、チャラ夫としての地位を確立し、♩この世をばわが世とぞ思ふ望月の~♩というほくそ笑みがついぞ出てしまうのです。

ただし、今は2021年です。藤原氏の盛衰から1000年経っているし、たとえ彼らが海外にいようとも所詮日本人ですから、こういうプチセレブ婚は本国では受け入れられないわけです。当のチャラ夫も、不合格という不名誉なレッテルを押され、彼の特徴である経歴を誇張してしまう癖も手伝って、単なる軽率な男と評価され、嫌悪感を与えるのです。人口が日本の約二倍のある国では弁護士の数が日本の何十倍です。それは、法学部さえ出ていれば弁護士になるのは簡単だからです。そしてこれら多くの方が弁護士として働いていません。日本では警察官の多くが法学部出身と聞いたことがありますが、これにちょっと似ています。いくら資格があっても日本の弁護士のような地位が得られることはなく、チャラ夫もその辺ご存じじゃなかったのか、と今更ながら疑問です。

やんごとなき出自の奥様の影響が何年続くかわかりませんが、やがてはこの世の一隅でローカルチャラ夫として生きる運命なのかもしれません。キラキラしてさえいれば、安っぽい生き方でいいのですから、ローカルだろうとチャラ夫はチャラ夫。そうして生きていく可能性はあります。人々の記憶から忘れ去られれば悪目立ちするより安泰です。まあ、10年待ってみましょう。奥様の方でもその頃は御実家の支援こそ続くかもしれませんが、人々の記憶から消えている存在ならば、エコノミークラスのチケットがエグゼクティブクラスに代わるような魔法はないかもしれません。ご夫婦そろって幸せならば人が何と言おうと幸せなんですから。世の中、恥はかなぐり捨てて軽く生き抜くという手もあるのかもしれません。

最近チャラ夫の奥様の御親戚にあたられる元プリンセスたちが、その当時の帝にお別れを告げる儀式の動画を見る機会がありました。どのお方も「慈しんでいただき…」と感謝のことばを申し上げられていました。これは大変美しい儀式ですね。この度結婚された姫がこのような儀式もなく、ましてやご自身の結婚式もされないことを悔やまれる日が来るかもしれません。

(上記のイラストはパブリックドメインQからダウンロードしたものを一部だけカットして使わせていただいています)

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