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好きな人には、好きって伝える

臆病になる理由はいつも
君の瞳の奥に
誰かの影をみたとき

そこに私じゃない
誰かが見えた時

私たちが友達だった頃、
私の歌の景色の中に
君は誰かを思い出していた
その瞳がとても寂しそうだった

そういえば、私の気持ちを
君にばらしちゃったお喋りくんも
同じフレーズで目に涙を貯めていたっけ

だから君と付き合ってから、
カラオケに行った時も
その覚えたラブソングを
君が誰を想って覚えたのか
わかっていた

ずっと誰の隣にいたかったか知ってから
その影が時折見えるのを
無視することはできなかった

それでも、
過去にまでやきもちを焼くなんて
とんでもない、やきもち焼きだった

ただ寂しかった
それが何人かなら
まだ良かったかもしれないけど、
たった1人の誰かだったから

あの頃の私は分かっていなかった
私が好きになった君は
彼女を好きだった気持ちでも
つくられていたことを

そうして、
勝手にどんどん臆病になっていった

過去も丸ごと好き、なんて芸当は
私にはとても無理だった

友達には、過去は過去だよ!
とか言うのだろうけど、当事者は
そんな簡単じゃないんだよね

反省

とてもじゃないけど、
彼女と同じ土俵にいる気にはなれなくて、
一方的に土俵を降りた

君と別れてから
君が思い出になるまで
誰とも恋はしない
そう決めていた

私の中に君が残ったままだったら
私と同じ想いをさせるかもしれないから

あれからどれくらい経っただろうか、
春が過ぎ、夏が過ぎ、秋の入口

泣くだけ泣いて吐き出して、
色んなことに没頭して、
たくさんの人たちと会話して、
君に見せたかった景色を
全部ひとりで消化して

君がやっと思い出になってきた頃、
「友達に戻りたい」
と君からメールが届いた

「大好きだったから無理です」
そこではじめて、君に想いを伝えた

あほな私だ

それから君の連絡先を消した

最後に偶然会った時、
君も私も晴れやかな笑顔で会えたね

君が大好きだった
その時の私には、その気持ちだけで十分だった

「僕にできるのは、この想いを言葉にすること」
君がよく歌っていたフレーズにも
そんな風な言葉があったね

どんな過去があろうとも
どんなに怖くても

その一言が、
私には足りなかったのかも
しれないから

私の今に君はいないけど、
私の思い出の中に
確かに君の存在がある


このお話は、
過去の話の仲間です

さよならまでのカウントダウン
時の過ぎゆくままに