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真夏の6㎞

太陽は真上にあった

飲み干した液体が
身体に入れたそばから出ていく
そんな真っ青な
真夏の日

試合に負けた罰で
走ってこいと命じられた海岸線

海を眺めながら走るのは
苦痛ではないけど

アスファルトの上にたまる
ジリジリとした熱に
身体が暑いと逃げたがっている

疲れ切った身体には
終わりがみえない

折り返しの中間地点
上り坂のカーブの
海の青さ

このまま飛び込んでしまいたい

いつのまにか
心は空っぽで
ひたすら走り続けていた

なんとか辿り着いたゴール

お昼のおにぎりを頬張りながら
チームメイトは
みんな同じ場所で
同じことを思っていたと言った

それは
私たちが過ごした中で唯一
心がそろった瞬間だったかもしれない

知らない町の
知らない海

あの青さと海の冷たさに
のみこまれたかった
あの夏の日