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最初が、ではなく、最初だけ、肝心。

皆さま、Gong Xi Fa Cai。毎年この時期になると、わたしのSNSをにぎやかににしてくれるのが「イーサン」だ。

『ミッション・インポッシブル』のトム・クルーズではなく、タイの東北地方でもなく(これはイサーン)、マレーシアやシンガポールの中国正月で食べられている祝い料理、それがイーサン。

漢字で書くと「魚生」で、発音表記はYee Sang、Lou Sang、Yushengなど。多種の野菜に刺身(=生の魚とはつまりは刺身)を混ぜて食べるサラダのようなもので、さまざま味や食感が混じり合うおいしさに加えて、食べる前に願いごとを声に出しながら、みんなで一皿を囲んで一緒に混ぜるというイベント性も抜群。

そんなイーサンうんちくは下記の記事を参照していただくとして、わたしがマレーシアではじめてイーサンを食べたとき、いちばん驚いたのは、これである。

えっ、盛り上がるのは、最初だけ?  Yes, it is. はい、そうです。

忘れもしない2008年の中国正月。会社の同僚と中国料理店でランチ。最初に出てきたイーサンをみんなで混ぜて、食べた。これがマレーシアの中国正月なのね~!とテンションが上がった。

人生で初めて食べたイーサン。デジカメで撮影していてよかった!
箸を使ってみんなで混ぜる。右上にみえるのがソースで、甘酸っぱいプラム味

ところが、ものの数分で食べ終わり。そしたら通常どおりのランチへ。華人同僚はみないつもの表情でご飯を食べて、そしておしまいだった。

おいおい、盛り上がるのは最初だけなんかーい。さらに、メインの祝い料理が最初に食べる前菜ということにも驚いた。前菜が本番だった。


例えるなら、乾杯だけ盛り上がって、あとはふつうの飲み会という感じか。それとも、イントロなしの米津玄氏さんのレモンみたいなもんか(いや、違うか)。


そういえば。マレーシアで何度か参加した結婚パーティーや会社のアニュアルディナーにも多少通じるものがある気がする。それは、最初ではなくて、終わり方。日本の場合、司会か誰かが「これで終わります」のようなシメの挨拶があるところ、それがない。華人の結婚パーティーでは、デザートが運ばれてきたら終わりの合図だそうで、食べ終わったら、みんなで自然解散。こういうパーティー形式もあるのね。


ってことをなつかしく思い出す。皆さん、1年に1度、今だけ限定で、東京でもイーサンを提供してるマレーシア料理店がいくつあるので、ぜひご体験あれ。味もおいしいですよ。

■マレーアジアンクイジーン渋谷店
詳細はこちら:https://www.malayasiancuisine.com/

2,500円 (4名~6名様向け・税抜)

■マサマサ 市ヶ谷
詳細はこちら:https://masakmasakjp.com/

TAKEOUT:¥2,903 税込(3-4人分) DINE-IN:¥2,956 税込(3-4人分)


■イーサンの記事はこちら
日馬文化比較:おせちとイーサン


■イーサンについてうんちく。
・イーサンは漢字で「魚生」と書くように、生の魚、つまり刺身がメインの食材。魚の発音Yuは「繁栄」「気前の良さ」を表し、生のSangは在や長生き、出発という縁起のいい漢字と結びついている。

・食べるときに、みんなで箸を使って混ぜて、できるだけ高いところから落とす。高いというのは収入アップや昇進につながり、混ぜるときに皿から具が飛び散ってしまうのも、あふれるほど財があるということで、よい意味とされている。

・現地の刺身はサーモンが定番でマグロやタイのことも。細切りの大根、人参、きゅうりなどの野菜にらっきょう、揚げた餃子の皮、砕いたピーナッツにポメロとよばれるグレープフルーツに似た果物も入っている。甘ずっぱい梅のタレをっかけて混ぜて食べる。

イーサンを食べて願おう。今年もみんな健康で笑顔でいられますことを。

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