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【美術館を味わう①】東京から1時間、日常から離れて脳を洗う/DIC川村記念美術館(千葉県)

私は美術館に行くのが好きである。

アートをみる、というのももちろん好きだけれど、美術館に行くこと自体が好きなのかもしれない、と最近気づいた。

昔、ディズニーランドに行く時、向かう電車からシンデレラ城が見えてきた瞬間、とても興奮したのを覚えているが、大人になった今、美術館に向かう時、たまに同じ興奮を感じることができる。ディズニーランドのメインはアトラクションかもしれないが、あくまでもディズニーランド全体が好きだったように、美術館のメインはアートかもしれないが、私は美術館そのものが好きなのだと感じた。おそらく、私にとって美術館は1種のエンターテイメントで、ディズニーランドのようにエリア全体で体験設計されていると、そこにまんまとやられてしまうのだと思う。

さて、本題に入ると、先ほど書いたように美術館そのものに高揚することがあり、せっかくなのでその記録を残していきたいと思っている。何が良かったのだろう?という自分の整理も兼ねて、なるべく細かく書いていければと思うのだが、続けるということを第一にまずは、書いてみる。

そして、記念すべき1回目は、つい先週訪れた千葉県のDIC川村記念美術館。都心から決して近いわけではないが、アクセスは悪くなく、それなのにしっかりと日常生活から離れてアートを楽しむことができる、十分に行く価値のある美術館だった。特に、常設のコレクションがよかったので、時期を問わず行ってみてほしい。

行こうと思ったきっかけ

自然の中にある美術館が元々好きなので、いつか行きたいと思っていた中のひとつであった。近くに水辺や緑があり天気がいい日に行ったら、すごく気持ちいいだろうなあと。

たまたま日曜日が丸1日空いていたのと天気も良さそうだったので、どこか展示でも見に行こうかと調べていたら、「ミニマル/コンセプチュアル:ドロテ&コンラート・フィッシャーと1960–70年代美術」がちょうど始まり、そしてなんとダン・フレヴィンが展示されることがわかり、大興奮。バケットリスト(死ぬまでにやりたい100のこと)に「ダン・フレヴィンハウスに行く」が入っているくらい好きなので、これはと思い、母を誘って行くことにした。

千葉県佐倉市にあるので、東京からだとなかなかに遠いのだけれど、東京駅からバスで一本なので、それに乗れてしまうとかなり楽であった。

美術館到着〜美術館入場前

バスが到着すると、緑のエントランスがあった。すぐ美術館の建物が見えないあたりの焦らし方が、好きである。

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美術館の入場が時間指定の予約制だったのだが、バスに乗れるかわからなかったので、かなり余裕を持った時間で予約をしていた。エントランスに立っていた警備員さんに時間を伝えると「まだ時間があるから庭園を散歩するといいよ」と丁寧に教えてくれたので、言われた通りにまずは庭園を歩いてみることにした。

先に書いておくと、この施設は、とてもシンプルな作りである。美術館の建物ひとつ、ギフトショップとレストランが入っている建物ひとつ、あとは広い庭園とベンチ。庭園の中にも、アートがたくさんあるわけではなく、広場に彫刻がひとつ。

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そのため、何かをする時間ではなく、何もしない時間を過ごすのに最適である。ひとりでぼーっとするのもいいなと思ったし、気の許せる誰かと、ゆったりとした時間を過ごすのもいいなと思った。私と母は、東京から買ってきたパンを食べながら、見えない敵と戦っている男の子を観察していた。

美術館内

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さて、庭園で小1時間過ごしたところで、いよいよ美術館への入場時間になった。中に入ってチケットを見せて、ロッカーに手荷物を預けていざ展示室へ。エントランスホールの天井が綺麗で(美術館あるある)写真を撮ったら、早速受付のお姉さんが飛んできて怒られた。館内は一切撮影禁止でした。これが、この美術館があまり知られていない所以の気がした。

私は(というかおそらく大勢の人が)企画展からみて、余った時間でコレクション展をみる。ただ、冒頭からお伝えしているように、ここのコレクション展はとても良かった。なので時間を十分に残しておくことをお勧めする。

企画展「ミニマル/コンセプチュアル:ドロテ&コンラート・フィッシャーと1960–70年代美術」について、さらっと触れておくと、なんと、ダン・フレヴィンが調整中だった!

そもそもタトリンのためのモニュメント1点だけで、そもそも点数はあまり期待していなかったから良いのだが、それでも一目見たかった。よく見るとHPに書いてあったので、私が悪い。ただただ残念であった。

この展示のよかった点は、この時代の美術に関わる人を広く、そして詳しく紹介していてとても勉強になった。私自身、自信を持ってアートに詳しいとは言えないので、そこまで具体的な感想は書けないことをお許しいただきたい。この展示を通して、こんな人いたのか、この人の考え方は面白いな!という発見がいくつかあったのは良かった。

ただ、この展示、説明が多く、実物として観れるものが少ない。例えば、私はブルースナウマンも好きで、yellow roomの仕組みや、それを展示するに至った手紙のやり取りなどが見れて、それはそれでとても興味深いのだが、欲を言うと実物が見たい。と思ってしまう。

さあ、企画展を見終えて、コレクション展に移動したのだが、そこで素敵な空間と出会うことができた。それが「ロスコ・ルーム」である。

「ロスコ・ルーム」は、マーク・ロスコを展示するために作られた部屋だった。この部屋の存在をもともと知っていたわけではなかったのだけれど、作品のサイズと部屋の壁の幅がピッタリだったので、すぐにこの作品のために作られた部屋だとわかった。なんだか、地中海美術館のモネの部屋を思い出した。どうやら、ロスコだけの展示空間があるのは世界で4か所しかないらしい。

少し薄暗く、壁一面に広がる巨大な作品に囲まれる空間に圧倒される。ロスコの作品は、瞑想のような気分をもたらすとよく言われる。私はこれまで抽象的すぎて、ロスコの良さがあまりよくわからなかった。ただ、この空間で初めて、一人でじっと味わいたくなった。仕事で疲弊しているときとか、ふらっとこの部屋に入り、ぼーっと頭の中を整理する、そんなことができたら最高だなとおもった。写真がなく言葉で伝えることしかできないのが残念なので、ぜひ一度行ってみてほしい。

ロスコの他にも、アンディ・ウォーホルやフランク・ステラなど見応えたっぷりのコレクションだった。

退館〜帰り道

展示を見終えて、ギャラリーショップをのぞくのも大好きだ。ここのギャラリーショップも見ていて楽しかった。特に書籍が充実していたと思う。企画展のガイドブックもそそられたが、展示自体でかなり説明を読み込むことができたので買うのはやめた。

さて、美術館の建物を後にして、バスの時間まで小1時間あったので、併設されているレストランで、お茶をすることにした。特段変わった作りのレストランではないものの、シックで落ち着いた空間で、展示の感想を語り合うにはちょうど良い。そこで食べた栗のパイとピーチティがなんとも美味しかった。ちなみに、私は立ち寄れなかったが、美術館内にも茶室があるようだ。

そして、バスの時間になり、無事東京に帰ったのだが、バスを待つ場所にあった、飯田善國の屋外彫刻が、天気の良い空と一体化していて、すごく綺麗だった。

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まとめ

東京からだと、日帰りで問題なくいける。ただしっかりと、都会から切り離された空間に足を踏み入れることができ、そこでゆったりとアートを楽しむことができる。そしてなんといっても、ロスコ・ルームが素晴らしい。どちらかというと刺激を受けたいというより、日常と離れてぼーっとしたい時に行くのがおすすめかなと思った。

今回初めて、美術館について書いてみたが、うっかりするとただ私の日記みたいになってしまうので、とても難しかった。脳をしっかり動かしながら、何が楽しかったのか?どのように綺麗だったのか?もっと考えながら楽しもうと思った。あとは写真が少なかったのが悔やまれたので、次いく際は気をつけようと思った。

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