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ここ10年で1番胸キュンした話


片思いしている彼の話をしてみる。



最近はコロナ禍と言う事もあり、彼が夜に遊ぶ頻度が減り会ってくれる頻度が高くなった。

付き合っている訳ではないが、付き合っている様な錯覚に陥る。

「はっ」として、いけないいけないと言い聞かせながら幸せボケしない様に気を付ける。

先日、彼の家でワインを飲みながら映画を観て、遅い時間だしお風呂を沸かそうかとなった。

私は一緒に入るのが好きだが、彼は嫌がる。

「一緒に入る?」

と服を脱ぎながら冗談で聞くと、被せ気味で

「入らないよ。」

と、目の前でドアをバタリと閉められる。

ここ一年はこのやり取りがお決まりになっているのだが、しつこく続けていると10回に1回位奇跡が起きてバスタブに招待して貰えるのだ。

その日は失敗に終わり、スキンシップがないまま就寝時間になってしまった。

お風呂に一緒に入れなくても、セックスはするかな?

と、期待しながら彼を後ろから抱き締めてみるも反応がない。

5分位悩んで聞いてみる。

「今日はしない?」

「しないよ。昨日したでしょ。」

「明日の朝はする?」

「しないよ。走りに行くから。」

「なんでよ、ケチ。ケチケチケチ」

「あーもう。」

彼が振り返り今までにやらない事をした。

「はい、おやすみのちゅー。」

「…!」

キュン死にした。

またすぐに背中を向けて寝てしまった彼を後ろから抱き締めて黙って寝る事にした。

我ながら安上がりな女である。

ドキドキして自分の心臓の音が彼の背中に伝わって自分に返って来る。

暫く眠れない時間が続いた。

彼の寝息を聞きながら、この時間がいつまでも続きます様にと願った。

35歳にして、10年片思いしている40男のおやすみのちゅーで不覚にも胸キュンしてしまった。

こんな思い出を積み重ねたいな、としみじみ思うのだ。

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