失恋1周年

11年にも渡る片想いに終止符を打った日から1年が経った。

失恋当時はひと言でいうと「もう恋なんてしない」状態であったが、今は「言わないよ絶対」と追加出来る位にまで回復した。
例の彼とはもう連絡を取る仲ではないものの、SNSで繋がっている。
度々朝方に投稿される女の子の匂わせ写真、キャバクラ通い、朝帰り、旅行…それらを俯瞰して見れるようになった。
魔法が解けると人間は不思議なもので、彼の顔さえ別人に見える様になる。

「こんなブスだったっけ？」

と、ある時友人に真面目に尋ねると

「前からこんな顔だったよ。肌も汚いし、何で好きなのかなと思ってたよ。」

と言われた。女同士の会話は結構恐い。
思い返してみると、コンビニの店員さんやタクシーの運転手さんへの横柄な態度も気になっていたし、大型犬のラブラドールを連れてタクシーに乗りたいが故に「介助犬なんです」と嘘を付いたりするのが凄く嫌だった。
会計をする度に、高額な金額に対して「やすっ」と言いながらカードで支払いをした上でちゃっかり領収書を貰っているのもダサいと思っていた。
2人きりでいる時は頼りがいがあると思っていたのに、仲間内で一緒にいると先輩達から教わった事をそのまま話したり行動しているだけだった事が分かり、自分がないなと感じていた。
彼の母親や親友と喧嘩をした際、自分に都合が悪い事や厳しくアドバイスする人からの意見をシャットアウトして遠ざける癖も良くないと思っていたし、それが私に向けられたのもすぐに感じた。
犬が顔を舐める様なキスも嫌だったし、前戯のないセックスも嫌だった。

全て魔法と言うか、麻酔の様なものが掛かっていただけで自分でも彼の悪い所は把握していたのだ。
周りの人から「時間薬だね」と良くアドバイスを貰っていたが、こんなにもこの薬が効くとは思っていなかった。

先月の誕生日に、彼から短いながらもお祝いのLINEが来た。
単純に誕生日を祝ってくれた嬉しい気持ちもあるが、同時に恋愛感情が動かなかった事に自分でも驚いた。
どうやら私は完全復活した様だ。
一生ゾンビの様に心の中で燻るかなと予感していた失恋だったが、一年でやっと上手く消化(昇華)出来た。
ゾンビはむしろ彼の方だった。

(LINEゾンビに関して、詳しくは以下の記事を参照願う)

新しく出会った人とデートはしているけれども、まだ新たな恋にまでは発展していない。
けれどやっぱり待ち合わせの為にお洒落をして向かう5分前はワクワクするし、気の合う人と一緒に飲みながら過ごす夜は楽しい。

最近一気に涼しくなり、革のジャケットを着ようと探したら去年彼のお店に忘れたままだった事を思い出し、あの日から一年経った事に気付いた。

何だかもう大丈夫そう。