音絵青説

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おとえあおとです。 小説をnoteとカクヨムに投稿しています。 全てはフィクションであり実在のいかなる名称の全てと関係がありません。

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透明侵略 ブランネスカの無力な憂国 [ 手記001 ]  仮説...統合失調症は隠蔽工作である

仮説...統合失調症は隠蔽工作である わたしのように懐疑主義に満ち溢れている人間は世間では糖質と呼ばれコケにされるようだ。 糖質とは何か、それは統合失調症という精神疾患を略したネットスラングだ。 ネット上で糖質糖質と小学生のようにキャッキャと騒いでいる連中に私は怖気を感じざるを得ない。 彼らは彼らにとって眉唾な話は全て虚構と判断するようだ。 無理もない。 普通の家庭に生まれ育てば学校教育などの既にある体制を疑う機会はそう得られないだろう。 教わったことを教わった通りに反復す

    • AIウィルス AIマルウェア

      ほんの20年か前には与太話だったろうことが次々と現実になって久しく、最早大抵のことでは驚かなくなってしまった我々現代人の寝首をかいたのは、他ならぬコンピュータであった。 いや、コンピュータウィルス、マルウェアといった方が良いか。 旧来人の手で作られていたその悪意の塊のようなソフトウェアがAIによって自動で進化増殖する、まさしく現実のウィルスのようなものに変貌を遂げたのは去年の冬のことであった。 しかし最近までその存在は気づかれていなかった。 なぜかといえばそれが深層学習によっ

      • 人を殺した [ #1 ] 洗う。鳴る。

        人を殺した。 仕方なかった。 包丁で刺した。 気持ちよかった。 恨みがあったから。 あいつが悪い。 あいつが私を挑発しコケにしたんだ。 あいつが悪い。 包丁を抜いた時の感覚とあの顔が忘れられない。 愉快だった。 信じられない、とでも言いたげな顔が嬉しかった。 そういう平和ボケを打倒することが幸せに思えた。 とうとう悪を打ち滅ぼせたのだと、自分を誇りにさえ思えた。 けれどそれは長くは続かなかった。 包丁を洗う。 何も計画していなかったから、これからについて漸く頭を使おうとして

        • N-G-Leak [ FILE1 ] テントにて

          彼にとって、その日はいつもの仕事の日でしかなかった。 しかし、その日こそが彼の、最期の日となった。 誰かへ宛てた、祈りの声は届かない。 黒い海が眼前に、斜めに空を切り取っている。 さざなみを感じる事もできないまま、強い衝撃ーーー それで、終わりだった。 もうあとには何もない。 黒でもない、闇でもない、暗がりでもない。 冷たくもない、痛くもない、痺れでもない。 考えられない、感じられない、そうと知る事もない。 あっけなく、終わり、消える。 積み上げた知識も、鍛えた技術も、清濁

        透明侵略 ブランネスカの無力な憂国 [ 手記001 ]  仮説...統合失調症は隠蔽工作である

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        • 人を殺した
          1本
        • 不老不死戦争
          1本
        • ぼくのエッセイ。
          0本
        • N-G-Leak
          2本
        • アンムヌ手稿~ある素人書記の拙い前世界事変記~
          4本

        記事

          アンムヌ手稿 [ PAGE3 ] ネンヘンとヤクユの素敵な夜に

          ネンヘンは窓を見ていた。 正確には窓の外、遠くに浮かぶ雲がかった月を、窓越しに眺めていた。 ベッドの上で、枕に頭を預けながら。 ふわふわした手触りのお気に入りの寝巻に身を包んで。 でも、ナイトキャップは外してしまった。 ちょっと暑苦しかったからだ。 別に、暑い時期というわけではないし、空調が強すぎるというわけでもない。 なんとなく、体が火照っている感覚がじんわりと、続いているだけだ。 やけに目が冴えて眠れない夜だった。 これはきっと、隣にヤクユがいるからだと、純粋に推理した。

          アンムヌ手稿 [ PAGE3 ] ネンヘンとヤクユの素敵な夜に

          不老不死戦争 [ 其の零 ] 発端

          かの大国ご自慢の大企業が、かねてより傘下企業に研究させていた不老不死を完成させたというリークが、まず出回った。 あまりに眉唾だったので、誰も信じようとしなかったし、すぐに忘れ去られた。 僕は当時は「また無闇矢鱈なコンテンツか?欺いているのかな?嘯いているのかな?」と思いつつも調べてみたのを記憶している。 情報ソースが全て同じリークサイトであった為、そこで端末を閉じたのことも何故だか印象的だった。 1ヶ月後、その傘下企業で爆発事故が発生。 世界中でニュースが放映され、世間

          不老不死戦争 [ 其の零 ] 発端

          N-G-Leak [ FILE0 ] どしゃ降りに襲来警報

          思えば幸せな人生だった。 街の人々の笑顔を守る為に生きる事を、 自ら選べるような優しい環境に恵まれていたのだから。 それを疑う事なく、信じていられたのだから。 1月31日。 この街に於いて今年度最低の気温を記録した。 その日は雪が降るという予報もあったが、実際は霙混じりの大雨となった。 雨足は強く、傘の庇護からあぶれた不幸な皮膚たちは、 感覚がなくなるほどにかじかんでしまっていた。 見てみるとあからさまに赤くしもやけていて、苦笑いしてしまう。 そそくさと急ぎ足で帰路を歩む中

          N-G-Leak [ FILE0 ] どしゃ降りに襲来警報

          アンムヌ手稿 [ PAGE2 ] ホルスとジャルフと憂鬱な取調室

          ホルス刑事は呆れていた。 (一体全体この取り調べはなんなんだ?) 要領を得ない話が延々続いている。 神だのなんだのという非科学な言葉がしきりに飛び出す。 もういっそ、頭を目の前の机にブチ当てて 「勘弁してくれ!もう降参だ!」と言いたくなる。 が、潔白なので、余計なことはできないでいた。 (これは本当に取り調べなのか?) 彼は唯物論者であった。 こうじて無神論者でもあった。 あらゆる神秘は科学で説明できると考えていたし、 未解明な事柄もいずれは科学が暴き、全ては物質によ

          アンムヌ手稿 [ PAGE2 ] ホルスとジャルフと憂鬱な取調室

          アンムヌ手稿 [ PAGE1 ] キッツとライヒと奇妙な手紙

          はじまりはやはり朝だった。 ベルカヴァという土地で農場を経営するキッツという名の婆さんは、 "自宅の玄関前に奇妙なものが落ちているのを発見し不審に思ったので通報をしました。" と、妙な口調で保安官に電話をした。 飲んだくれで有名な保安官ライヒは、その日も朝まで飲み通していたために到着が遅れた。 ライヒは、現場でキッツから受け取った「それ」をろくすっぽ確認する事もなく、車の後部座席に投げ込む。 更には、キッツからの話も適当にあしらってそそくさと詰所に帰ってしまったという

          アンムヌ手稿 [ PAGE1 ] キッツとライヒと奇妙な手紙

          アンムヌ手稿 [ PAGE0 ] 素人書記の端書

          どこから書けばいいのでしょうか。 神を名乗るものが私を「書記」として指名した事からでしょうか。 私には「他人様に見せる前提の文章」を書いてきたような経験がないという事も添えましょうか。 その話をするならば、私は幼い頃から文字を連ねるのが好きでした。 しかし、私のその趣味はあまり歓迎されてきませんでした。 学校にせよ職場にせよ、知り合った人たちの多くは「無駄の少ない簡潔な短文」を好む傾向があったので、私の冗長で余計に塗れた文字列は好まれなかったのだと自己分析しております。

          アンムヌ手稿 [ PAGE0 ] 素人書記の端書