MOE_40th_5人展

MOE 40th Anniversary 5人展

※この記事は2018年5月12日に、はてなブログにて公開したものです

※2019年12月19日~12月29日に松坂屋名古屋店で「人気絵本のひみつ展」と題して開催されるのが、最後の巡回のようです。行くチャンスのある方はぜひ!

松屋銀座で2018年5月7日まで開催されていたものに行ってきました。

酒井駒子先生がお目当てだったほかは、お名前と作風は知っているけれど……くらいだったのですが、大ボリュームで大変見ごたえのある展覧会でした。
絵本の原画展だったけど、子ども連れよりもわりと若い人々が多かったように思います。お名前のラインナップから、そんな気はしていたけれど。

酒井駒子先生

『よるくま』、『ロンパーちゃんとふうせん』、『BとIとRとD』などの原画が中心。
酒井駒子先生の原画を実際に見るのは初めてで、主にアクリル絵の具と色鉛筆を使って描かれているのだと初めて知りました。どうやって描かれてるんだろうとずっと思っていた……。
絵本の絵でありながら、一枚いちまい、全体の余白なども含めて一つの絵画作品として成り立っているなあと感じました。
『BとIとRとD』は段ボールを土台とするコラージュだった。

島田ゆか先生

〈バムとケロ〉シリーズ、〈ガラゴ〉シリーズ、『ぶーちゃんとおにいちゃん』の原画を中心に展示。
〈バムとケロ〉シリーズは有名なのと、『絵本からうまれたおいしいお菓子』で『バムとケロのにちようび』の概要は知っていましたが、作品は読んだことがなかった作家さん。
正直あんまりかわいくない……というイメージだったんですが、印象が完全に変わりました。今度図書館で『ぶーちゃんとおにいちゃん』借りてきます。『ぼんちゃんとおとうと』も読ませてほしい。
ただ書き込みが細かいというだけでなく、家具や持ち物などのディティールがものすごく凝っていて、眺めているだけで楽しくなる。
そして常に映りこんでいる茶色いうさぎ(……?)やらあおむしくんやらがとってもかわいい……。
作品ごとに絵の具でカラーパレットを作るこだわりに驚きました。

なかやみわ先生

〈やさいのがっこう〉シリーズ、〈そらまめくん〉シリーズ、〈くろくん〉シリーズを中心に展示。
『そらまめくんのベッド』は昔から大好きな絵本でよく読んでいましたが、それ以外の作品は今回初めて見ました(そらまめくんの絵が出てくるまで、『そらまめくんのベッド』の作者だと気づかなかった……)。
パステルと色鉛筆をメインに、グラデーションがものすごく細やかに描かれていた。
もともとデザイナーさんだからキャラクター設定を細かく作るというのもそうだけど、作品も、細部まできっちりしているなあという印象を受けた。

ヒグチユウコ先生

〈せかいいちのねこ〉シリーズ、〈ギュスターヴくん〉シリーズのほか、カレンダー用イラストの原画なども。
猫のイラストが人気を博しているのは知っていたけど、こちらも正直ちょっと怖い絵だな……と思っていました。
ところが不思議なことに、一枚ずつ作品を見ていくうちに、だんだん愛おしくなっていく。やっぱりちょっと不気味であることは変わらないんだけれど。
テニエルが描いた『不思議の国のアリス』の挿絵を少し思い出しました。
それと展示されている原画だけではなくて、先生手描きのらくがき(コメントやイラスト)が壁中に!
あれは展示期間が終わったら破棄されてしまうんだろうか……それとも巡回先にも持っていってくれるのかな。

ヨシタケシンスケ先生

『りんごかもしれない』がヒットしていたのは知っていたけれど、読んだことはなかった。
『りんごかもしれない』や『もうぬげない』、『つまんないつまんない』といった絵本作品のほかにインタビュー記事的なもの(読者からの質問に答えたり自己紹介したり)の原画もあり、そのネガティブっぷりに大変共感してしまいました。朝起きてまず「もうだめだ」って思ってしまうとか、とにかく全然仕事が進まないとか。
メモを常に持ち歩いていて、溜まったらファイリングしてアタッシュケースにしまうというのに驚いた。でも、発想の元ネタだし、たしかにものすごく大事なものだ……。
あと配色センスがない(と編集者さんに言われたとのご本人談)から着彩は別のデザイナーさんが担当しているというのも、今回初めて知りました。
絵をスキャンして、最終的にパソコンで調整して仕上げてらっしゃるのは、今回紹介された5人の作家さんの中ではこの方だけかもしれない。

この覚書は主に絵についてですが、MOEや絵本にまつわるインタビューのキャプションがあったり、お気に入りの物たちや影響を受けた本なども展示してあったりして、すごく良かったです。

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