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本、物語、詩

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#マンガ

手塚治虫『罪と罰』

手塚治虫『罪と罰』

角川文庫、1995

表題作「罪と罰」について

※作品内容およびドストエフスキー『罪と罰』のネタバレを含みます

各登場人物名といちばん基本の「青年が金貸しの老婆を殺し、最終的に自首する」という筋以外はだいたい何もかもドストエフスキー『罪と罰』違っていてびっくりした……原作どおりだったら漫画にする必要もないわけだけど……

わたしにとってはドストエフスキー『罪と罰』でいちばん強く印象に残っている

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益田ミリ『どうしても嫌いな人 すーちゃんの決心』

益田ミリ『どうしても嫌いな人 すーちゃんの決心』

幻冬舎文庫、2013

主人公側の心情や考えはほとんど独白や台詞によって言語化されているんだけれど、それでも、1コマずつ進んでいく漫画という形式のテンポが、淡々とのしかかってくるものを描いていた。
せめて終わりが良くてほっとした。

(呟き投稿にURLを含めようとすると微妙に文字数が足りず……)

高野文子『るきさん』

高野文子『るきさん』

筑摩書房、1996

気軽に会いに行けるところに気安い友だちがいるのって、ものすごいアドバンテージだな……と。
そうじゃなくてひとりでも大丈夫なんだよ、というのを、最後にるきさんを単身ナポリへ赴かせる、そしてそれをえっちゃんに平然と受け止めさせることで示したのが作品の意志なのだろうけど、もし、自分の近くに、いつでもすぐに会いに行ける友だちがいてくれたら、ひとりで生きていくうえでとても大きいだろうな

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『海が走るエンドロール』

『海が走るエンドロール』

たらちねジョン、秋田書店

心のやわらかい、大事にしている部分が、何気ない他人の言葉で傷ついてしまうシーンがたくさんあって、そういうくりかえしで傷だらけになってしまうのは現実によくあることで、そこを的確に突きつつ、傷を乗り越えて前進していく登場人物たちを描いているところが良いところだなと思います。
あんまり元気がないときは読めませんが。

#名刺代わりの漫画10選

CLAMP『カードキャプターさくら』

市川春子『25時のバカンス』

堀田きいち『君と僕。』

瀬野反人『ヘテロギニア リンギスティコ』

星野桂『D.Gray-man』

久保帯人『BLEACH』

ソウマトウ『シャドーハウス』

古舘春一『ハイキュー!!』

もち『キューティクル探偵因幡』

大久保圭『アルテ』

(選外)加藤和恵『青の祓魔師』

望月淳『ヴァニタスの手記』

よしながふみ『

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井上まい『大丈夫倶楽部』(マンガ5)
主人公が聡明で、自分に対しても他人に対しても誠実なのがすごく好きだな……と思いました。紙の単行本が出たら欲しい。
https://manga-5.com/series/13

『思えば遠くにオブスクラ』

『思えば遠くにオブスクラ』

靴下ぬぎ子、秋田書店、上下巻

すごく良かった。作品のつくりも、絵も、漫画としての表現も好き。
上巻読みおえた段階で良いなあと思っていたけど、下巻まで読んだらもっと良かったです。ぽーんと移住したい。言葉がろくに通じなくてもいろんな習慣や文化や手に入るものが違っても、どこにでも住める人間になりたい。

帰属意識については、個人的にずっとうまくこねられずにつついている状態なので(つついている様子の例)

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『シャドーハウス』

アニメをきっかけに手に取りましたが、アニメも原作も、どちらもとてもおもしろく、良い作品でした。
原作の、世界観に合った繊細な絵柄やコマの端々の小さな遊びと、アニメのくりっとしたかわいらしい絵柄と生き生きとした動き、どちらもとても好き。

主人公たちが少しずつ互いを知り、協力しあいながら、自らの知恵と勇気、そして個性的な能力によって、都合のいい情報しか与えない「大人たち」に対抗していくストーリーはも

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