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『バーチャルスナックマリコ 第1話』短編オトシネマ(オーディオドラマ)脚本

「耳で聴いて心で感じる」オトシネマは、音の映画をコンセプトに、様々な音声作品をSpotify等の音声プラットフォームにて配信しております。

こちらのオトシネマ作品集【脚本アーカイブ】では、配信されている作品を文章の形でご紹介させて頂きます。

耳の不自由な方、聴くのが難しい環境の方も、是非こちらからオトシネマコンテンツをお楽しみ頂けましたら幸いです。

バーチャルスナックマリコ_

『バーチャルスナックマリコ』
  ~第1話  マリコ様降臨~


登場人物

■マリコママ(45歳・バーチャルスナックマリコのママ)
■里中瑛士(27歳のとある会社員)

あらすじ
仕事でトラブルを抱え、会社に帰れなくなった会社員・里中瑛士。
彼は繁華街で、バーチャルスナックマリコを営むマリコママに遭遇する。
店内に入ると、そこには里中の常識を覆す『バーチャル』な空間が!?
そして、マリコママの驚くべき素性とは…?!

(※以下Spotifyリンクよりオーディオドラマのご視聴が可能です。)

マリコママとの出会い

(街中の賑わう音と、気怠そうにゆっくりと歩く足音が聴こえる👣)

里中「ああ、参ったな…。会社戻りたくない…。うわっ!」

(『ドン、ドドン!』と盛大に転ぶ音と『ビリビリッ!』と布が裂ける音が聴こえてくる。)

里中「いって~・・・。」

(『ガタゴト』と音が鳴り、看板が出された。)

マリコ「ちょっと、そこ邪魔よ!…って、大丈夫なの?足でもくじいた?」
里中 「だ、大丈夫です。」
マリコ「盛大に破けてるけどねぇ~。スラックスのお・し・り!🤭」
里中 「げっ!💦」
マリコは『はぁ…。』とため息を一つこぼした。
マリコ「仕方ないわねぇ…。ウチで応急処置してったら?その恰好じゃ帰れないでしょ。」
里中「すいません、助かります😓」
里中(ナレーション:以下NA)【ここで俺は初めて看板を見た。
『バーチャルスナック?マリコ??何だそれ?バーチャルスナックって・・・ⅤRとか・・・?』】
マリコ「どうするの?入るならさっさと入って。私も暇じゃないんだから!😕」
里中「あ、すみません!それじゃあ、お言葉に甘えて…。」

いざ、店内へ!

(店内のムーディーなトランペットの音楽が流れ始める🎵)
(そして、『コツコツ』と歩く足音が聴こえてくる👠)

マリコ「とりあえずー・・・その辺にでも座ってて。」
里中(NA)【そういうと、彼女はカーテンで仕切られた奥に入って行った。】

(『シャッ』とカーテンを閉める音が聴こえる。)

里中(NA)【店内を見渡すと、確かにそこはスナックだった。
カウンターにスツールが5つ程。4人掛けのボックスシートが一つ。
かなり…小さ目の店だ。棚には高そうな酒の瓶が並んでいる。
ソファもスツールも、ワインレッド。
何というか・・・失礼ながら昔ながらの場末のスナックだな。
声掛けてくれたお姉さんも、昔の二時間ドラマの再放送でしか見た事ないようなボディコンスーツに派手なメイクだったもんな…。】
マリコ「はい、お待たせ。これ使っていいわよ。」

(『ポン』と何かが置かれた音が聴こえる。)

里中 「え!?これは・・・😯💦」
マリコ「両面テープとガムテープ。これで何とかなるでしょ😕」
里中 「え、裁縫道具とかは・・・。」
そう聞くと、マリコは笑いながらズバッと答えた。
マリコ「無いし😆 あったとしてもまさか私が縫ってあげるとでも?」
里中 「そ、そーですよね!これお借りしますー!」

(『ベリベリ』とガムテープを使う音が聴こえてくる。)

マリコ「何か飲むー?もちろん有料だけど😉」
里中 「いや、俺まだ仕事中なんで。アルコールはまずいっす。」
マリコ「は?ここアルコールなんて置いてないわよ。」
里中 「え?だってここスナックですよね?」
マリコ「バーチャル・スナックよ😕」と、『バーチャル』の部分をより強調させて言った。
里中 「どのあたりがバーチャルなんですか?ⅤRとかメタバースとかそういうやつですよね?🤔」
マリコ「あー・・・そのへんは…。まあ、追々ね。」
里中 「追々・・・?」

不思議な店内

マリコ「現状は雰囲気ね。雰囲気が、バーチャルってこと。」
里中 「雰囲気…。まあそれはいいですけど、お酒あるじゃないですか。」
里中(NA)【そう言うと俺は棚の上にしこたまある酒瓶を指さした。】
マリコ「ああ、あれは飴細工よ!映画とかで見た事ない?
乱闘シーンとかで頭ぶん殴るやつ。本物だと怪我するからねぇ~😌
でも飴細工は結構値が張るから、あの手前の3本だけね。
あとは、空瓶よ。フリマサイトでコツコツ集めたの🤭
だいたい、ここ喫茶店営業の許認可しかないからお酒は出せないの。
コーヒー?紅茶?梅昆布茶もあるけど😁」
里中 「じゃあ、コーヒーでお願いします。」
マリコ「はい。えっと・・・名前なんだった?」
里中 「里中です。里中瑛士です。」
マリコ「ふーん。里中君ね。アタシはマリコよ。」
里中 「マリコさん。」
マリコ「そ、マリコママでぇす✨  スナック感出るでしょ!😊」

里中(NA)【そう言うとマリコさんは煙草を燻らせた。つられて俺も、胸ポケットから電子タバコを取り出した。】
マリコ「ちょっと!ここ禁煙よ!😠」
里中 「え?マリコさん吸ってるじゃないですか!😮」
マリコ「これは玩具よ。手品のやつ、知らない? シガレットチョコは流石に火がつかないからねぇ。その点これは雰囲気出るのよ~。ガチャガチャで当てたんだけどね!🤭」と、面白そうに笑いながら話した。
里中 「何なんすか、それ・・・💦」
マリコ「里中君も、薄々わかってきたと思うけど。ここはスナック風のアミューズメント施設だと思って。」
里中 「需要あるんすか?ここ。スナック風の喫茶店って事ですよね?」
マリコ「は?失礼しちゃうわね!バーチャル・スナックだって言ってるでしょ!😠💢  アンタ恩をあだで返す気?返しなさいよ、そのガムテープ!!」

(『バタバタバタ』と暴れる音が聴こえてくる。)

里中「すいません!勘弁してくださいよー!」

本当の姿・・・?!

(『パラッ』と何かが落ちる音が聴こえた。)

里中「あれ?」
里中(NA)【会社のIDみたいなカードが落ちて、それを拾った。
メガネをかけた地味そうな若い女性の写真の・・・これは・・・?!
超大手のスーパークラウン堂の社員証・・・!!】
マリコ「はっ!それ返して!!😨💦」
里中 「この藤城・・さん・・・?誰すか?」
マリコ「・・・バレたからには仕方ないわ。このマリコママは、世を忍ぶ仮の姿。私の本当の姿は…。派遣社員の藤城・・・藤城希星(フジシロキララ)よ!!😣」
里中 「いや、その場合仮の姿は、藤城希星の方じゃ・・・じゃなくて! え!これマリコさんなんすか!え、全然違う!😆 あと、滅茶苦茶キラキラネームじゃないすか!そもそも別にバレてなかったっす!」
マリコ「名前の事は放っておいて。いいこと?この事は国家機密レベルだからね。」
里中 「はあ?どこの国家すか。きららの方じゃ・・・。」
マリコ「きららって呼ぶなー!!😫💢」スナックに怒号が響き渡る。
里中 「本当は若いですよね?さっきのカードの写真…。髪も黒かったし・・・。もしかして年下・・すか?🤨」
マリコ「だ・か・ら!ここはバーチャルスナックなの!!😠
昭和の場末のスナック感出してんの、こっちは!
じゃなきゃこんな肩パッドのボディコンスーツ着ないわよ!!
衣装・設定、全てにこだわってるんだからガタガタ言わないで!
このウィッグいくらしたと思ってんの?この煙草なんて何回ガチャ回したと思ってんのよ!!!😫💢
てゆうか、アンタ仕事中なんじゃないの?さっさと仕事戻んなさいよ。応急処置済んだでしょ。」
里中 「それが…仕事でトラブっちゃって…。戻るに戻れないんすよね…。」
マリコ「トラブル?何なの?言ってみなさいよ。」
里中 「実は…。さっき納品したばかりの弊社のアプリに、まあまあ致命的なバグが見つかっちゃって…。」
マリコ「里中君。それ、会社に報告したの?」
里中 「それができないからここで油売ってるんじゃないですか。戻るに戻れなくて…😥」

マリコの隠された力!

(ここから、緊迫感のあるロックの音楽が聴こえ始める💥🎸)

マリコ「1つだけ言うわ。悪い情報程早く報告する。これ鉄則よ。さっ、今すぐパソコン開きなさい。」マリコは、キリッとした声色で話し始めた。
里中 「え・・・?ここで、ですか?💦」
マリコ「いいから。」
里中 「はい・・・。」

(『ジィィ』と鞄のジッパーが開いた音が聴こえる💼)
(そして『カチカチ、カチカチ』とノートPCの操作音が聴こえてくる。)

マリコ「ふーん、成程ねぇ・・。いい?少しここで待ってて。」
里中 「え?いや、まずいですよ。それ会社の・・・。」
マリコ「いいから!私を誰だと思ってるの?😕」
里中 「藤城希星・・・・」

(里中がそう言うと『ボコッ』と殴る音が聴こえる。)

里中 「痛って!😫」
マリコ「バーチャル・スナックマリコよ!!😒」
里中(NA)【そう言うとマリコさんは俺のパソコンを片手にカーテンの奥に消えた。】

(『シャッ』とカーテンを閉める音が聴こえる。)

里中(NA)【数分後カーテンの中からマリコさんが現れた。】

(再び『シャッ』とカーテンの音が聴こえてくる。)

マリコ「おほほほほ!!御覧なさ~い、里中ぁ!!😆✨」
マリコが高笑いをしながら、こちらに向かってきた。
里中 「え?ま、まさか!!直ってる?この短時間で…!どんな裏技使ったんですか?!マリコさん!😮」
マリコ「里中。もう一度聞くわ。私を誰だと思っているの?」
里中 「マリコ様です!!!」
マリコ「よろしい😏」
里中(NA)【狐につままれたような気分だったが、とにかく助かった。】
マリコ「ま、御礼なんていいからたまにはここに遊びにきなさいな。
ここは中々面白いわよ~。世の中の色々が見えて。勿論有料だけどね。
うふふっ✨🤭」
里中 「は、はい・・・。」
里中(NA)【こうして俺はマリコさんと・・・いや、『バーチャルスナック・マリコ』と出会ったのだった。】

《 おしまい 》


作品制作キャスト・スタッフ

■マリコママ(藤城希星):山崎るい
■里中瑛士:田中良明
■脚本・監督:みなち
■編集・選曲:松本大樹

■脚本編集/記事掲載:ニーナ
■イラスト:ひととき

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