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読書感想文 鴨川食堂ごちそう

ネタバレ、あらすじありの読書感想文です。

タイトル 鴨川食堂ごちそう
作者   柏井 壽
出版社  小学館文庫

あらすじ

京都の鴨川ぞいにある食堂には看板がない。鴨川流とこいしの父娘が切り盛りする鴨川食堂と鴨川探偵事務所。
流は元刑事の料理人だ。探偵事務所といっても探すのは「食」探し。もう一度食べたい、「食」を探してくれるのだ。

鰻丼
森山の一人息子敏一は、子供を助けて溺死した。助けた子供の親から送られた鰻丼を森山は捨ててしまう。それから七年、毎年送られる鰻丼を捨て続けた森山だが……その鰻丼が気になってしまう。
いなり寿司
厳しい父と父に逆らわない母に育てられた菜美恵。父親に反対されるとわかっている相手と結婚する為、家を出る前日、母がいなり寿司を食べさせてくれた。甘すぎたできそこないのいなり寿司だったが……
ピザ
常連の妙の作動仲間の淑子は、夫にプロポーズされたときに嘘をついたのが心残り。その時食べたピザが食べたいと言うが。
焼うどん
吉次は、汁物のうどんは好きだが、焼うどんは嫌いだ。病気で余命宣告された日、妻は吉次を慰めながら焼うどんをだした。嫌いな焼うどんをだされた吉次は怒るのだが……
タマゴサンド
写真家の川井は、画家になりたいと思っていたが、美術の女教師の言葉にショックを受ける。憧れていた女教師が作ってくれたタマゴサンドを食べた後告げられたその言葉に、タマゴサンドの味すら覚えていない。だが、あのタマゴサンドが食べたいと食探しを依頼する。
豆腐飯
デザイナーとして大成功した篠山みどり。妹のももこを母代わりに育ててきた。そんなももこの余命短い事がわかった。最後に食べたいものを聞くと子供のころ食べた豆腐飯だという。みどりにとってはみじめで悲しい豆腐飯の記憶。なぜ、ももこはそんなものが食べたいのか理解に苦しみ、悲しくなるみどりだったが……

感想

これで8冊目のようです。NHKのドラマにもなった鴨川食堂。
料理春秋という雑誌の「食探します」という広告だけで、思いでの食を探して欲しい人たちが、全国から京都の鴨川食堂に集まり、思い出の食を探してもらうというシリーズです。
悲しいながらも、優しい結末にほっとできる、短編ばかりです。

とにかく、流のだす料理が素晴らしくおいしそうで、ああ、食べてみたい。いや、こいしになって毎日お父さんの料理を食したいと願ってしまいます。

もう、この年になると、美味しいものを食べるっていうのが、一番の贅沢です。

ただ、流の京都弁は、京都の人に言わせるといささかくどいようです。最近は、京都も普通に関西弁で、まいこさんのような話し方はしないので読んでて違和感があると聞きました。
そうだな、その方生まれも育ちも現在も京都だけれど、あまり京都弁っぽくないなあと思っていました。
小説で方言を演出に使うのって、土地の特徴が出て面白いけれど、なかなか難しいものですね。

物語はどれも優しいお話で、私は鰻丼に泣きました。

さすがにシリーズ8弾ともなると、もはや水戸黄門的なマンネリに陥りますが、それはそれでいいんじゃないかとも思える、鴨川食堂。

裏表紙には、美味しいミステリーってあるけど、ミステリーってほどではないかな。


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