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舞台感想 梅棒16th showdown「曇天ガエシ」

「梅棒」という存在を知ったのは、紅さんのご卒業公演GOD OF STARS 食聖の振付を担当された時です。
そのシーンの振り付けは、やはりいつもの宝塚の振付とは違って、コミカルでかっこよく感じました。その時に「梅棒」というダンスパフォーマンス集団があることを知り、興味がわきました。

ダンスの公演といえば、昔はバレエを良く観に行っていました。特に、熊川哲也さんのバレエはよく観ていました。
コンテンポラリーのような感じでは、かなり前に兵庫県立文化センターで小野寺修二カンパニーデラシネラのカラマーゾフの兄弟を見たことがありますが、少し難解でした。
あとは、コンドルズというダンスカンパニーの舞台を何回か見たことがあります。こちらは、楽しかったです。
でも、宝塚を頻繁に観に行くようになってからは、ダンスの公演からは足が遠のいて「梅棒」という存在を知っても、すぐに公演を観に行こうとは思いませんでした。

しかし、音くり寿ちゃんが出演!と聞いて、がぜん興味がわきました。
私ごひいきの100期生でもあり、歌、芝居、ダンスと三拍子そろった娘役だった音くり寿ちゃん。卒業後の音くりちゃんがどんな風に進化するのか?
観てみたい!ということで、チケットを取りました。

そして、観てまいりました!

衝撃!!!!

めちゃくちゃ楽しかったし、感動したし、面白かったし、最高!!

音くりちゃんが、元タカラジェンヌであることに誇りを感じました。
「梅棒」さんは、小劇場から活動を続けて今に至るすごいプロフェッショナルです。「宝塚」とはかなり違う世界だと感じます。
その梅棒の鶴野さんが、プログラムの座談会で「音さんの稽古初日の芝居を見た瞬間、作品として『勝った』と思った」とおっしゃっているのを読んで、「そうでしょうとも!」って何故か、私が得意に感じてしまいました。

だって、素晴らしかったのですよ。
音くりちゃんが演じる、悪~い女王様の場の支配力。
音くりちゃんへの拍手は凄かったですもの。
迫力の歌声、怒りまくる女王と、息子に甘い母親の二面性のメリハリも素晴らしい。ドレスの着こなし、扇の持ち方一つとっても女王の権威と支配欲が憎らしいほど表現されていて、もう、カ・ン・ペ・キ!!!
悪い女王だけど、下品ではないのよ。
「梅棒」の方たちも、度肝を抜かれたんじゃないでしょうか。
音くりちゃんは、これからも様々な場面で活躍すると思うし、彼女の出演する作品は、観に行きたいなって感じました。

お隣の席の方が、開演前、通路を歩いて後方の方に行かれた男性を見て
「イマジンさんよ! きゃあ」って小声で興奮されていて、「どなたかしら?」なんて、思っていたら、梅棒の伊藤今人さんだったわけです。
後方の座席で、全体を見ておられたのでしょうね。
つまり、私は「梅棒」については何も知らない超ビギナーなわけです。
そんなビギナーが事前にストーリーもチェックせず、ぶっつけで観劇して、楽しめるのか?

結論は、最初から最後まで楽しかったです。

曇天ガエシのあらすじは、こちら。(見終わってから調べてるの。プログラムも見終わってから購入したの……)
“オウゴン”の採掘により発展した国「ジパングリ」で、王の妻によるクーデターが勃発。跡継ぎだったメツ王子は物心つかないうちに王宮を追われ、行方不明に。それから十数年…
女王の圧政に苦しむ人々の救いは、国からオウゴンを盗み出し民に分け与える義賊集団「マサゴ」だった。その中に、成長し街を飛び回るメツの姿が。
一方、武力で圧政を覆そうとするテロ組織「クニクズシ」も怪しい動きを見せていた。
ある日、メツは女王の息子であるヌューダ王子と偶然街で出会い、運命の歯車が回り出す。
果たしてこの国の行く末はいかに…

ダンスといってもしっかりとしたストーリーのある舞台です。
でも、それを言葉として説明するのは、NewTuber役の二人と、楽曲の歌詞とラップだけ。それも、端的な短い説明と、説明臭くない歌詞です。
あとは、演者のダンスと表情、動き、殺陣、それだけです。
でも、あらすじさえ知らずに見た、ビギナーの観客にも、物語の内容が完璧にわかり、登場人物の感情までもが伝わりました。

二日前に、大劇場で宙組公演を観た私としては、愕然としました。
ちなみに、宙組公演の感想はこちら
舞台感想 宝塚歌劇 宙組公演 カジノ・ロワイヤル ~我が名はボンド~|おとぼけ男爵|note

説明セリフにうんざりした宙組公演の作品と
説明が最小限でも、物語が理解でき、登場人物の感情も感じられる梅棒の作品との落差に愕然としたわけです。

宝塚のベテラン演出家は、どうも、説明しすぎるきらいがあります。
初めて見た人でも、お年寄りでもストーリーがわかるようにという親切心かもしれませんが、そんなにだらだら説明しなくてもわかりますよ。

あと、殺陣!

「梅棒」さんの殺陣は、素晴らしいです。
迫力があって、メリハリがあって、ダンス的。
でも、ダンスってわけではなくて、殺陣なんです。
あれ、いいなあ……
「梅棒」さんに、殺陣の振り付けも入って頂くといいのにって感じました。

物語は、J-POPとオリジナルの楽曲にのって繰り広げられます。
聞き覚えのあるJ-POPは、気分もノリノリになりますし、その歌詞がちゃんとそのシーンに合うような選曲になっているのです。
オリジナルの曲も、ちゃんと物語を説明しているけれど、説明くさくないんだな。面白い韻を踏んでいる曲もあって、オリジナルの曲もよかったです。

ダンサーさんも凄いです。人間こいのぼりっていうの? 腕の力だけで横になっちゃう技を組み込んで踊る方とか、すごい力業のポールダンスとか、ブレイキンっていうんですか、ああいうダンスをする方の高度な技を様々に観ることもできます。
そういうアクロバティックなダンスが物語にはまっているんですよ。
本当に、緻密に考えられているなあって感心します。
「笑い」だってちゃんととりますよ。一見さんの私でも、笑えます。
お客さんの煽り方も、笑いのとり方も大したものです。上手いです。
出演者のダンススキルが高い上に、演出や構成がいいから、もう、大満足!

星組の赤と黒を見た大満足に匹敵する大満足!
私の中では、相当に評価が高いです。

こんな素晴らしい作品なのに満席ではなかったから、まだ、チケット取れるのじゃないかなあ~
是非、観るべき!
音くりちゃんの素晴らしい活躍っぷりも絶対見て欲しい!
そう感じる、観劇でした。

本当に、おすすめですよ~





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