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舞台感想 エリザベス・アーデンVSヘレナ・ルビンスタイン

明日海りおさんと戸田恵子さんの挑むような表情の大きな広告を梅田で見た時、なんだか「すごいな」と感じましたが、どんな作品なのか全く知りませんでした。有名な二つの化粧品会社の名前は知っていましたけれど。
私自身は、あまり使った覚えはありません。私は、エスティ・ローダーとシャネルが好きだったからな~
でも、あの大きな広告を見てから調べて見たら、ブロードウェイミュージカルの日本版だったのですね。
あの有名な化粧品会社の創業者が同時代を生きた人で、ライバルだったなんて知りませんでした。
なんだか、面白そう。
京都劇場で上演されるということで、チケットを取ってみました。

京都劇場はそれほど大きな劇場ではないのでどの席でもまあまあ観やすい。でも、全席14500円ってのはねえ、場所によってちょっと差をつけてもいいのにねえ~
おまけに、今回セブンイレブン先行で当選したって喜んでいたのに、
最後列!!!
嘘でしょ!!
特別販売手数料やらなんやらで合計15600円も払ったのに!
最後列かよ!
おまけに隣は二席あいていて、当日券ありだったからなんだか悔しい~
先行抽選だからって良席とは限らないってことは重々承知しておりますが、ここまでの仕打ちは初めてだわ!
ぷんぷん!!!

でも、まあ、観て良かったです。
とってもオシャレなミュージカルです。
ちょっとクラシックな女性のお衣装が素敵だし、シンプルだけど華やかさを感じるセットも良かったです。

ネタバレ、あらすじありの舞台感想です。

幕開きはモノトーンのお衣装に身を包んだ女性たちが、人からどう見られているか? 自分はみっともなくないか不安に感じている様子。
そこに、登場するのが鮮やかなフューシャピンクのお衣装に身を包んだ明日海様演じるエリザベス・アーデン。
赤いドアの華やかな高級化粧品店を経営し、どんな女性も美しくなれると歌います。
明日海さん、相変わらずお美しい。どこかコケティッシュで女性だけではなく男性にもモテそうです。
夫のトミーは仕事の上では部下扱い。
そんなエリザベスの店の近くにヘレナ・ルビンシュタインの店がオープンします。
戸田恵子さん演ずるヘレナは、ブルーのお衣装で堂々たる登場。
私以上にヘレナを経営できる人間がいる?と自信満々で、自分を支える部下のハリーのことを軽んじています。

農民出身なのを隠して上流であるようなふりをするエリザベスは、綺麗なピンクのボトルに入った化粧品でアピールします。
ポーランド出身のユダヤ人であるヘレナは、科学的見地からの化粧品をアピールします。
どこか似た者同士の二人は、男社会でのし上がる女性としてトミーやハリーを評価しません。
結局トミーはエリザベスの元を離れヘレナの元へ。
ハリーはヘレナの元を離れエリザベスの元へ。
手の内を知り尽くしたトミーやハリーは相手を追い落とすために、動き始めますが、逆に自分の首を絞めるはめに……

そして、第二次世界大戦がはじまり、化粧品業界も荒波にもまれることになる。それでも、二人は諦めない。
でも、二人の前には競合他社の存在も立ちはだかる。
女性のセクシーさを強調して安価な商品を売り出すレブロン。
徐々にエリザベスの会社の業績は悪くなっていく。
会社の業績の悪化を理由に会社はエリザベスにある要求を突きつける……

男社会の中で、女性としてのしあがるのが難しい時代にのし上がって、巨万の富を築き上げたエリザベスとヘレナ。
一代でそんな資産を築き上げるには、少々悪どい商売の仕方もあったでしょう。それでも、自分のアイデアや判断で成功を勝ち取ったのも事実。
エリザベスは競走馬に、ヘレナが芸術にと贅沢にお金も使う。
お金さえあれば、上流階級の一員になれると思う二人だけれど、上流階級の人々はやんわりと上品に拒絶するのです。

そんな経験をした二人だからこそ、最も共感できる相手、もしかしたら親友になれる関係だったかもしれない。けれど、二人の選ぶ道は……

二人の女性の痛快な人生が楽しいミュージカルになっていました。

思い通りになる人生なんてないけれど、女性である限り美しくあることは忘れない二人の生き方を見ていたら、もう、仕事もしていないからお化粧やお肌のお手入れなんかはさぼり気味の自分自身をちょっと反省して、急に美容液なんかを使いだしました。
やっぱり、美しくあることに貪欲であることは悪くないなあって感じます。

久しぶりに観た明日海さんの美しさに感動したけれど、
もっと驚いたのが戸田恵子さん!!!
舞台で拝見するのは初めてだったのですが、この方、凄い俳優さんです。
最初の一声で、引き込まれます。
そして、歌が、この方の場合「セリフ」に聞こえる。
いや、歌としてとってもお上手なのですが、すべて「セリフ」として耳にはいってくるような歌なんですよ。
「ミュージカルって突然歌いだすじゃない」感がゼロ。
いつの間にセリフが歌になっていたのかしらと思うほど、自然な歌で、いやあ、まいりました。本当にお上手です。
これほどの、芝居的な歌を聞いたミュージカルは初めてかもしれない。
明日海さんを観に行ったはずなのに、戸田恵子さんに引き込まれてしまいました。もちろん明日海さんも素晴らしかったのですが。
明日海さんは、戸田さんからすごく刺激を受けたのではないかしら。

OGさんたちが卒業後もこのように舞台で活躍されるのも素敵だし、それを観させていただくことで別の素晴らしい俳優さんを見つけて感動することが出きる。
昔は、宝塚というタカラジェンヌが成長し最も美しい瞬間を贅沢に楽しませて頂いて、卒業後は「幸せでいてくれたらいいな」って思うだけでしたが、のぞさまのご卒業あたりから、卒業後のジェンヌさんの公演にも少し足を運ぶようになりました。
それは、それで、新しい世界を見せて頂けることが多くて、刺激になります。

やはり、生の舞台は良い!
生でしか味わえない熱量を感じたりするのが、こちらのパワーにもつながって幸せを感じます。

とてもオシャレで素敵な作品でした。
大千秋楽を迎えてしまったからもう観られませんが、なかなかおすすめの作品でした。

過去の宝塚以外の舞台感想はこちら
宝塚歌劇以外の舞台、映画感想まとめ|おとぼけ男爵 (note.com)




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