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読書感想文 倒産続きの彼女

ネタバレ、あらすじありの読書感想文です。

タイトル 倒産続きの彼女
作者   荒川帆立
出版社  宝島社

あらすじ

ぶりっこ弁護士玉子は、祖母シマの世話をしながら仕事をする女弁護士。
剣持麗子は玉子の一年先輩だが、玉子は麗子が苦手だ。
玉子と麗子は、倒産しかけのゴーラム商会の内部調査をすることになった。倒産の原因を作っているのが近藤まりあという社員らしいと内通がある。
近藤まりあの職歴は小野山メタル、マルサチ木材、高砂フルーツ、ゴーラム商会。すべて勤めて二、三年で倒産している。
まりあは、故意に会社を倒産させているのか? 
経理の社員一人でそんなことが出来るのか?
その調査中にゴーラム商会の総務課の只野が遺体で見つかる。
首をナイフで掻き切られ絶命していた。自殺か? 殺人か? 
そんな時、同じ弁護士事務所の川村が刺され、意識が戻らない。
刺された川村の仕事を引き継いだ哀田弁護士がみつけたゴーラム商会のスポンサーはテトラ貴金属だった。
そして、玉子たちの調査によると、小野山メタル、マルサチ木材、高砂フルーツの優良部門を安値で買ったのもテトラ貴金属であることがわかる。会社の脇を支える優良な部門を安値で買って成長するテトラ貴金属の策略なのか?
玉子の祖母シマの病死やシマの婚約者の登場で物語は……

感想

元彼の遺言状の剣持麗子が、ソフトに登場してきます。
こんなにいい人だったかなあ? ま、前の事件で成長したのか。
今回の主人公は後輩のぶりっ子弁護士玉子。男の前でだけぶりっ子なだけで、仕事っぷりはいたってまとも。なかなか、良い弁護士さんです。
マルサチ木材の息子が、みにくいアヒルの子の定理という、良くわからない定理を話し出すのです。白鳥とアヒルの類似性は、アヒルと別のアヒルとの類似性と同じってことが証明されているっていうような話なのですが、結構おもしろい伏線だと思ったのですが、正規社員と非正規社員に違いはないみたいなところに着地していて、なんとなくモヤモヤしました。そゆこと?

勤める会社が次から次に倒産するっていう設定はおもしろいし、只野が遺体で見つかるっていう前半はめちゃくちゃワクワクするのですが、最後はご都合主義にまとまってしまって、ちょっと消化不良な感じでした。

ただ、玉子の劣等感とか結婚に対するあせりとか、男の味方、友情や祖母への愛情など、人間的な魅力も描かれていて、するする読めるので若い方はおもしろいのかもしれないなあと思いました。


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