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ラジオを聴かないあなたに伝えたい! 書き起こし職人みやーんZZが語るラジオの魅力。/みやーんZZ【ラジオ沼より愛を込めて】

ラジオを深く愛する方々にラジオの魅力を教えてもらう連載「ラジオ沼より愛を込めて」。第2回は、ラジオの書き起こし職人として活躍するみやーんZZさんのインタビューをお届けします。テレビ番組がきっかけで一度は離れたラジオに戻ってきたエピソードや、ラジオの書き起こしを続けるモチベーションなど、たっぷりお話をうかがいました。これまで数多のラジオトークを書き起こしてきた「ラジオ玄人」はどの番組に太鼓判を押すのでしょうか?

——みやーんZZさんとラジオとの出会いを教えてください。

みやーん 小学生のとき、友だちのお兄ちゃんを真似して聴きはじめました。三宅裕司さんの『ヤングパラダイス』が一番最初だったかな。そのあと伊集院光さんの『Oh!デカナイト』を聴いたり、頑張って夜中まで起きて「オールナイトニッポン」(いずれもニッポン放送)を聴いたりしていました。

周りの友だちも結構ラジオを聴いてました。中にはカセットに録音して繰り返し聴くような、すごくラジオ好きなやつもいて。クラスみんなで回し聴きしたりもしていましたね。

——それ以来ずっとラジオを聴く習慣があったんですか?

みやーん いや、高校生になると、ヒップホップ系の音楽に夢中になって、ラジオはあまり聴かなくなりました。そういうジャンルを扱うラジオ番組が少なかったのもありますね。

——一度はラジオから離れていたんですね。再びラジオを聴くようになったのはいつごろですか?

みやーん 2007年頃でしょうか。『リンカーン』(TBSテレビ)で中川家のお兄ちゃん(剛さん)が、練マザファッカーというイカついラッパー集団のリーダー、D.Oさんに弟子入りするというドキュメンタリータッチの企画があって。メンバーに揉まれまくって、最終的にお兄ちゃんが「B-BOY PARK」というイベントでラップを披露するまでになるストーリーで、これがすごくおもしろかったんです。

その企画を宇多丸さん(ヒップホップグループ・ライムスターのMC)がラジオで絶賛していたらしい、しかもPodcastってところで聴けるらしいぞ、と聞きつけて。宇多丸さんのことは、何度もライブに行くくらい好きだったんですが、そこで初めてラジオ番組をされていると知りました。Podcastの仕組みも知らなかったので、いまはいつでもラジオを聴ける環境だということに驚きましたね。

それから好きな番組をiPodでダウンロードして、通勤途中に聴くようになって、またラジオを日常的に聴く習慣が戻ってきた感じでした。

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(ラジオを聴くのは、スマホとイヤフォンで)


——ラジオの書き起こしは、その頃にはじめられたんですか?

みやーん そうですね。どんどんラジオにハマって、いろんな番組を開拓していく中で、ある書き起こしサイトを見つけて。でも、僕が好きだった『ウィークエンドシャッフル』(『ライムスター宇多丸のウィークエンド・シャッフル』TBSラジオ)なんかは全然扱われていなかったんです。仕事で議事録を書いたりするのが得意だったのもあって、「誰もやっていないんならやってみようかな」と軽い気持ちで書き起こしをはじめました。

——記事にするトピックスはどんな基準で選ばれているんですか?

みやーん おもしろい話を聴くと「こんな話聴いてさ」って人に話したくなるじゃないですか。それがひとつの基準です。

いまは、たくさんの人にサイトを見ていただいていますが、単純に「自分が好きなラジオを残しておきたいからやってる」っていう感覚が強いんです。いわば「自分用」ですね。いまはPodcastやラジオクラウドなどのアーカイブサービスもありますが、ラジオで放送されたトークって、基本的に流れていってしまうじゃないですか。記録が残らないというか……。それがすごくもったいないと思っていて。おもしろい話をいつでも楽しめるように、まとめて保管しておきたいっていうのが、サイトを続けているモチベーションです。

——みやーんZZさんの思う、「ラジオの魅力」を教えてください。

みやーん よく言われることですが、まずはパーソナリティとの距離が近いことですね。自分に対して話しかけてくれているような親近感がある。それに、ラジオは他のメディアより比較的時間がたっぷりあるから、ひとつの話題をひとりがゆっくり話してくれるのもいいですよね。そんなラジオだからこそ気付けた、パーソナリティさんの魅力もたくさんあります。

たとえば、宇垣美里さん。テレビで観ていたときは、素敵な方だけど、どこか冷たい雰囲気があるなという印象を受けていたのですが、ラジオを聴いてみると全く違って。好きな漫画やドラマを語るときの、一段ギアを上げたかのような、夢中になって話す感じがすごく魅力的な人でした。いまでは漫画や映画について雑誌の連載などを持たれていますし、ラジオで広く魅力が伝わった方のひとりだと思います。

いろんなラジオを聴きますが、結局、しゃべっている人がとにかく楽しそうに熱をあげて話しているラジオが一番楽しいし、引き込まれるんですよね。「この人がこんなに熱く語るんなら見てみよう、試してみよう」と思えて、何かを好きになるきっかけが多くあるのもラジオの魅力だと思います。

みちょぱさんが、去年ラジオ(『#みちょパラ』(ニッポン放送))で「『ワイルド・スピード』にハマった」って話をしてたんです。「つるっぱげのゴリマッチョがすげー頑張ってる」「ドミニク(主人公)がまじでかっこいい!」って(笑)。流行りの時期でもなく、自分の言葉で自分の好きなポイントだけをガンガン語るのがすごくいいなって、彼女のことが大好きになりました。

——常にたくさんのラジオを聴かれていると思いますが、ラジオになじみのない人へ、ひとつだけおすすめするとしたら、どの番組を選びますか?

みやーん 『安住紳一郎の日曜天国』(TBSラジオ)かな。僕、すごい好きなんです。

安住さんはテレビにたくさん出られていますけど、ラジオではテレビとは全く違う魅力が出ていて。「こんな一面があるんだ!」って発見がたくさんあって、どんどん「安住紳一郎」という人間に引き込まれる。個人的にはそれがすごく「ラジオっぽいな」と思います。リスナーさんの投稿もレベルが高いですし、そこから安住さんが話を広げていくさまにも圧倒されます。

それに、『日曜天国』はラジオクラウドで2007年分から公開されているので、アプリをダウンロードすれば、すぐに聴きはじめられます。

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『日曜天国』のグッズたち

個人的におすすめのエピソードは、成人式の日あたりでよく登場する「孤独な浪人生時代の話」ですね。地元じゃないのに最前列で成人式に出た(2009年1月4日・2013年1月13日・2019年1月13日放送回)とか、いまだに指定校推薦で入学したやつらは許せない!(2016年1月17日放送回)という話とか(笑)。

あと「パンダの名前付け予想」の歴史をたどるのもおすすめです。安住さん、すごいパンダマニアで、過去に6頭も名前を当てているんです。でも、もう自分で名前を当てるのには飽きちゃったみたいで。上野動物園のシャンシャン命名のときは、パンダ好きなリスナーを「パンダジャパンA代表に任命する!」ってリアルに招集して、教育して、その人たちに当てさせる(2017年7月30日・2017年8月6日放送回)っていうむちゃくちゃなことをやりだしてました(笑)。

テレビで観ているだけじゃわからない安住さんの「狂った一面」が出まくってて、どこを聴いてもめちゃくちゃおもしろいですよ。一度聴いたら、きっと15年分遡りたくなるはずです!

——『日曜天国』、ぜひチェックしてみます! 今日はありがとうございました!


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みやーんZZ/ラジオ書き起こし職人。趣味でラジオ番組の書き起こしをスタートし、2016年からは『ライムスター宇多丸のウィークエンド・シャッフル』や『ジェーン・スー 生活は踊る』(いずれもTBSラジオ)の公式書き起こしを担当。週に20~30本のラジオをチェックして、30~40本ほどの書き起こし記事を更新している。

Text:水沢環 Edit:ツドイ
(こちらはTBSラジオ「オトビヨリ」にて2021年9月24日に公開した記事です)